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森で会った冒険者②

 エドの冒険者ギルドで依頼の報告を終えた俺達は、そこで森の中で会った二パーティーの冒険者達と再び会った。

 ツンツンの銀髪の魚人族の少年ソルラをリーダーとした、大きなリュックを持ったドワーフの少年ゲイブ、袖の長い服を着た小人族の少女ルポン、インナーの上に鎧を着た竜人族の少女アライアのアサシンパンサーに追っかけられていたパーティー。

 長い水色の髪の魔法使いの魚人族の少女マルナをリーダーとした、気弱そうなエルフの少年ビービル、大柄の鬼人族の少年フンガ、騎士の格好をした小人族の中年アレンクの最初に森で会ったパーティー。

 この二パーティーとギルドの中で偶然会ってしまった。


「奇遇ね。ここで会うなんて」

「そうだなー」


 どうすっか……。

 多分こいつ等、初心者冒険者である俺がかなり格上の魔物を一撃で倒したから怪しんでると思うんだよなぁ。

 俺はテレパシーでアスレル達に話しかける。


『なぁ。これどうすれば良いと思う?』

『知らないわよ。それぐらい自分で考えてよ』

『ここはとりあえず、早く切り上げるしかないね。仕方ないけど、調査は無しにして次の町に――』

「あんた達、本当に初心者冒険者?」


 マルナがいきなり痛い所を付いてきやがった。


「私達は冒険者始めて一年ぐらいだけど、まだ二級の魔物とはまともに戦えないわよ」

「そうじゃな。鍛えてから冒険者になる者も大勢いるが、いきなりあそこまで強くなるのは無理じゃぞ」


 アレンクの爺さんも怪しんでるな。

 どう言い訳するか……。


「あ~あれだ。運良く急所に当たったんだ」

「いやいやいやいや。それだけで二級を一撃で倒せないわよ」

「まぁいいじゃねぇかマル。言いたくないことかも知れねぇし。それを無理に聞くのは野暮ってやつだろ?」

「……まぁ、そうかも知れないけど」

「そういう事だ。じゃあな」


 俺達は立ち上がりそそくさとギルドを後にした。


「いやぁ、理解が早い奴がいて助かった」

「全く。運が良かっただけでしょ」

「でもよぉ。この世界では、光族は伝説だと思われてるんだろ? 案外バレねぇんじゃねぇか?」

「でも世の中には鋭い人もいるし、やっぱり気を付けた方が良いと思う」

「うん。町を出る前に魔物に関する本を買ってみよう。魔物の知識を入れておけば、ガクラのようなミスはしなくなると思うし」

「何か俺のミス凄い引きずってない?」


――――――――――――――――――――


 ガクラ達が去った後、マルナはテーブルの上に肘をついて頬杖を突く。


「それにしても本当に何だったのかしらあの人達。いくら鍛えてから冒険者になったとしてもあそこまで強くならないわよ普通?」

「そうか?」

「そうか? ってあんたね~。二級の魔物がどれ程強いのかあんたでも知ってるでしょ? 一年冒険者を続けてる私達でもまだまともに戦えない程よ。それを初心者冒険者が一撃で倒せる?」


 マルナがソルラに向かって指を突き付け、ソルラがたじろぐと、ゲイブが代わりに答えた。


「マルナの言う通り、どんなに鍛えても二級を一撃で倒せるなんて並大抵の努力じゃ身に付かない。ましてや最近じゃあ凶暴化している魔物が増えて、普通より強く感じる魔物が多い。僕達を追いかけていたあのアサシンパンサーもそんな風に見えた」

「そうそう。聞きそびれたけど、あんた達どうしてアサシンパンサーに追いかけられてたのよ?」

「いや~。何か面白そうなもんねぇかなぁ~と思って奥の方に行ってみたら、うっかり寝てたアサシンパンサーの尻尾踏んじまって」


 頭の後ろに手を置くソルラを見て、マルナは呆れ顔で顔に手を当てるとため息を吐く。


「ホンット、バカ」

「ソルラが悪いんだぞ! 好奇心なんかで奥に行くから!」

「ルポンだって『確かにありそうだなー』って言ってたじゃねぇか!」

「追いかけられた時はもう駄目かと思ったよ~」


 ソルラとルポンは喧嘩し、アライアはテーブルの上にひれ伏せる。


「全く、この四バカは」

「ほっほっほ。相変わらず元気な者達じゃ」

「お嬢様もなんだかんだ言って楽しそうですしね」

「ンッ」

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