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二つ目の町

「ねぇ。何でネイトラーで馬車を借りようとしなかったの? そっちの方が速いじゃない」

「ふざけんな。俺が乗り物に弱いのは知ってるだろ。酔っちまうだろ」


 装備を整えてネイトラーを発ち二時間ぐらい経った頃、歩くのが面倒になったのか、アスレルが文句を言いだした。

 俺以外のアスレル、メイト、エグラル、フォクサーの装備は、

 アスレルは水色の鞭に水色とオレンジの上下一体の服。

 メイトは黄色い剣に青色のインナーの上に銀色の胸当てに紫のズボン。

 エグラルは腕に鉄の籠手、赤い鉢金に白い服に黒のズボン。

 フォクサーは新しい魔法銃、白いインナーの上に灰色のジャケットに青いズボン。


「別にあんたが酔おうがどうでも良いでしょ」

「ふざけんなガサツ女。調査開始の矢先にグロッキーなんて御免だぞぶっ!!」


 アスレルの拳が飛んできて俺は殴り飛ばされた。


「おーい。遊んでねぇで行くぞ」

「これのどこが遊んでる様に見えるんだ」


 俺は起き上がって皆の元に行き、再び次の町まで歩く。


「それで、この道通りに進むと何て町に着くんだ?」

「このまま道通りに進むと『エド』って町に着くよ。ネイトラーと同じ中立地帯の町だね」

「まだ中立地帯なのか」

「意外と広いよ。多分他の種族の土地にも負けないぐらい」


 って事は、そのエドって町も色んな種族がいるのか。

 特定の種族の土地の町の種族割合が気になるが、まぁ焦らずに行こうか。


「あの林を抜ければ見えてくると思うよ」

「じゃあさっさと通ろうぜ」


 俺達は林の中に入る。


「あれって竹かな?」


 林の中を歩いていると、フォクサーがそう言って指さした。


「うん。竹だね」

「随分和風な景色になってきたな」


 竹を見ると確かにな。

 改めて林の中を歩くと、ふと俺達は何かの気配を感じると、気配を感じた方角から何かが飛んできて、フォクサーが魔法銃で撃ち落とした。


「これは……木の実か?」


 フォクサーが魔法銃で撃ち落とした物を見ると、それは大きめの木の実だった。


「クキャ、クキャ、クキャ!」


 笑い声みたいなのが聞こえて顔を上げると、その先には尻尾で木にぶら下がっている青緑の毛をした猿が笑っていた。


「何だあのエテ公。ちょっとムカついたからぶっ飛ばして来る」

「別にいいじゃない。放って置きましょう」


 大剣を抜こうとしていた俺をアスレルが止めると、猿は木を跳び移りながら逃げていった。


「逃げちまった」

「まぁアスレルの言う通り、今は放って置こうぜ」

「そうだね。もうすぐ林を抜けるから、今は林を出よう」


 皆の言う通り、猿は放って置いて俺達は林を抜ける。


「抜けられたな」

「うん。……あ、見えた。あれがエドだと思う」


 遠目に一つの町が見える。

 遠いからよく見えないが、何か和風溢れる感じがする。


――――――――――――――――――――


「本当に和風だった」


 エドの町に着くと、瓦屋根に暖簾(のれん)、和服に下駄と、風景が完全に和風だった。

 エドって江戸かよ。

 俺達はまず宿に行って部屋を取ると、次に冒険者ギルドに行ってみた。


「冒険者ギルドは結構情報が集まるらしいから、町になにか問題が起きてるかどうか調べてみよう」


 ギルドに着いて依頼を見てみると、その中の一枚の依頼に見覚えのある生き物が描かれていた。


「これ、さっきの猿じゃねぇか?」

「ん? あ、本当ね」


 依頼に描かれているのは、間違いなくさっき林で俺達に向かって木の実を投げた猿だ。

 その依頼を眺めていると、聞こえていたのか依頼を貼っていたギルドの職員が声を掛けてきた。


「こちらは『尾手猿』という魔物です」

「おてざる?」

「はい。尻尾の先端が手の形をしているので尾手猿と呼ばれています。とても悪戯好きな魔物で、よく通行人や行商人に向かって木の実などを投げつけるんです」


 成程。だから俺達に向かって木の実を投げて笑ってたのか。

 ……腹立つな。


「最近数が増えてきているので被害も増えているんです」

「ふーん。……ならこれ受けるか」

「どうせさっきの腹いせでしょ?」

「当然だ」


 俺達はその『尾手猿10体の討伐』を受け、さっき遭遇した林へ向かった。


「やっぱいるとしたらここだろ」

「でも倒すのは10体だからまず見つけないと」

「さっき見つけたんだからすぐに見つかるだろ」


 ……なんて思ってたのが甘かった。


「何で見つけるって時に限って見つからねぇもんなんだろうな?」

「意外とそうよね。どうでも良い時に限って見つけたりするのよね」


 ふざけやがって。悪戯好きなら悪戯しに出て来いや!


「ん? 誰かいる」


 フォクサーが見つめた先には、女一人、男三人の四人組がいた。

 すると四人組の一人の気弱そうなエルフの少年が俺達に気付くと、他の三人に話しかけ四人組が俺達に近づく。


「突然ごめんなさい。ここで魚人族の男の子一人、ドワーフの男の子一人、小人族の女の子一人、竜人族の女の子一人の四人組の冒険者パーティーを見なかった?」

「は? 見てねぇが」

「そう。もう、本当に何処行ったのよ、あの四バカは!」


 何か凄ぇ怒ってるぞこの女。

 多分こいつ等も冒険者か?


「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」

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