表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/57

ガクラとエスティー②

 事件から長い年月が経ち、アスタラードに向かう一月程前。

 ガクラがノクラーと共にワールドスペースをパトロールしている時だった。


「特に……異常は無さそうだな」

「ああ。本部に報告するか」


 ガクラが左手首の兄弟の証から本部へ報告しようとした時だった。

 ノクラーが何かを見つけガクラの肩を叩く。


「おいガクラ! あれ!」

「ん?」


 ノクラーが指差した先を見ると、そこにはワールドスペースに浮かぶ一つの大きな岩。その岩の上に誰かが倒れていた。

 その岩に近づくと、倒れている人物を見てガクラは一瞬言葉を失う。


「エ、エスティー!?」


 倒れていたのは、数千年前に、犯罪者に連れ去られた妹を探すためにライテストを出た、ガクラの幼馴染のエスティーだった。


――――――――――――――――――――


 エスティーを連れ帰った俺とノクラーは、ライテストの病院に連れていった。

 医療部隊隊長のマァーリさんの力で、エスティーのエネルギーは回復へ向かって行った。


「マァーリさん。エスティーの容体は?」

「かなりエネルギーを消耗していましたが、時期に目を覚ますでしょう」

「そうですか」


 俺はガラスの向こうで眠るエスティーに再び目を向ける。

 報告を聞いて来てくれたクレン達も一緒に。


「彼が、昔ライテストを去ったって言うガクラの幼馴染なんだよね?」

「そう聞いてる」


 エスティーに初めて会うエンジェとウルファーはそんな話をしている。


「……マァーリさん。あの犯罪者はまだ見つかって無いんですよね?」

「はい。現在の行方はまだ分かっていません」


 あの事件から、例の犯罪者が乗った船が何度も見つかったが、俺達を襲ったあの界獣達に調査団員がやられ、その隙に逃げられてしまう。

 しかもあの界獣達は少しづつ強くなってるらしい。

 連れ去ったアールの力を利用して強化していると、ゾフィア団長は推測していた。


「……」


 あの日を思い出し、俺は左目に付いた傷に触れる。


――――――――――――――――――――


「うう……」


 意識が戻ったエスティーの目に光が灯った。


「ここは……」

「ライテストの病院だ」


 目を覚ましたエスティーに声を掛けると俺に気付く。


「……ガクラ?」

「ああ。久しぶりだな」

「……そうか。アイツに吹っ飛ばされて……」

「エスティー。何があったんだ?」


 俺が訊ねると、エスティーは体を起こした。


「ガクラ。あの時の船を見つけた」

「何っ!?」

「アールを助けようと挑んだんだが、あの界獣達が前と比べ物にならないぐらい強くなっててな。返り討ちに遭っちまった」

「それであんな状態だったのか。……ところでお前、頭の剣、もう一本はどうしたんだ?」


 助けた時から、何故か二本あるはずのエスティーの頭の剣が一本しかない。


「あの船が消える前に、剣を一本、船の外壁に刺したんだ。剣の位置が分かれば、船も見つけられるからな」


 そう言うとエスティーはベッドから下りてフラつきながら歩き出す。


「何処行くんだ?」

「決まってるだろ。今度こそアールを助けんだ!」


 クレン達の中を通り過ぎて病室を出ようとするエスティーの肩に、俺は手を乗せる。


「待てよ。俺達も行くぞ」

「は?」

「あの日、悔しい思いをしたのはお前だけじゃねぇ。俺だってそうだ」

「けどよ……」

「それに……調査団の大事な事忘れたか?」

「?」

「協力性を大事にせよ。アールを助けたいのは、お前だけじゃねぇ」


 俺は振り向いて、恐らく同じ気持ちのクレン、エンジェ、ファルク、エグラル、メイト、フォクサー、アスレル、ウルファー、ノクラー、レイルを見る。


「俺達も手を貸す。だから……一緒にアールを助けに行くぞ!」

「お前等。…………ああ!」


 その後、調査団の探知技術でエスティーの剣の場所を判別し、俺達は早速そこへ向かった。


――――――――――――――――――――


「もうすぐでポイントに着くよ」

「ああ、分かった」


 俺達はエスティーと共にアールを救出するべく、船に刺さっているエスティーの剣が検知されたポイントへ向かった。


「アールの力を利用してあの界獣達を強くしてる。調査団はそう懸念してるんだよな?」

「ああ。正確にはゾフィア団長が、だけどな」

「アールのエネルギーを吸い取って与えてる、って考えるんなら……急いだ方が良いかもね」


 アスレルがそう懸念すると、前方に見覚えがある船がワールドスペースに浮いていた。


「あれは……間違いねぇ。あの時の船だ」

「今度こそ……」


 エスティーは手を伸ばすと、船の外壁に刺さっているエスティーの剣が光ってエスティーの元まで飛び、頭の角になってくっ付く。

 すると、船の外壁からあの時と同じように幾つもの砲門が出てきて、俺達に狙いを定めた。


「フォクサー! 砲門を!」

「うん!」


 フォクサーが頭の角を銃に変えて手に持つと、俺達に狙いを定めている砲門に向かって光弾を撃ち、砲門を破壊していく。


「よし! 突入だ!」


 船に向かって突っ込み、外壁に光線を当てて穴を開けると、そこから中に突入した。

 中に入り床に下りると、そこはとても広い部屋だった。

 部屋の中を見渡すと、奥に大きな三つの球体があった。


「あの球体……『アイツ等』の気配を感じるな」


 俺がそう言った直後、球体が割れ、中から三体の界獣が出てきた。

 見た目や雰囲気は大分変わってるが、間違いなくあの時の界獣達だ。

 緑の芋虫の界獣は、羽が生えて蛾の様な姿になってる。

 青い猪の界獣は、牙が六本に増えてる。

 赤い鹿の界獣は、二本足で立っている。


「フン。また光族か」


 奥にある部屋から一人の男が出てきて歩いてきた。

 船の主である犯罪者、オブリオだ。


「ん? お前達は……思い出したぞ。あの時気を失ってた小僧共だな」


 俺とエスティーを見て、オブリオは思い出した様に言う。


「あの頃は随分世話になったな。主にコイツ等にな」

「アールを返して貰うぞ! オブリオ!」

「あの娘はコイツ等を更に強くさせる為にまだまだ利用させてもらう。始末しろ」


 オブリオは手を前に伸ばして指示すると奥の部屋に戻り、界獣達は俺達に襲いかかる。

 俺とエスティーが身構えると、クレン達が飛び出して界獣達を抑え込んだ。


「コイツ等は俺達が倒す!」

「アンタ達は早くアールを!」

「「ああ!」」


 界獣達をクレン達に任せ、俺とエスティーは奥の部屋へ向かって飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ