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ガクラとエスティー①

「つまり、彼はガクラの幼馴染で、こっちの彼女はその妹……って事?」

「ああ、そうだ」


 レイオン王に犯罪者達を渡し依頼を終えた後、偶然再会したエスティーとアールを連れて屋敷に戻って来た。


「にしても、まさかあの時の酒場で会った男がお前とはな」

「俺だって驚いたさ。名前を聞いた時『まさか!?』って思ったからな」


 俺はあの時名前を聞いてなかったからな。

 名前を聞いてたら間違いなく俺もそう思う。


「……まぁとにかく。あの後どうなったのか気が気じゃ無かったからな。無事だったのは良かった」

「俺等が簡単にくたばるかよ」


 俺とエスティーがそんな話をしていると、気になったのかユールが声を掛ける。


「何か遭ったの?」

「まぁ……色々な」


――――――――――――――――――――


 俺がエスティー、アールと出会ったのは、初めてライテストの大修練場にやって来た日だった。

 親父とお袋に連れられて、俺達は調査団訓練生になるため大修練場を訪れて、そこで丁度俺達と同じく初めて訪れたエスティーとアールに会った。

 折角だからという事で、俺はエスティーと模擬戦を行ったが、決着はつかず引き分けで終わった。

 その後、訓練生になってからは、ちょくちょくエスティーと模擬戦をするが、全部引き分けで決着がつかず苛立ちを感じるようになった。

 ……けど、何処か憎めず、俺達はエスティー達とすぐ仲良くなった。

 数年後、俺達は調査団入団試験に合格すると、同じくエスティーとアールも合格した。

 調査団の新人、下級戦士になって任務をこなしていって数年。

 『あの事件』が起きた。


――――――――――――――――――――


 ある日、ある世界に謎の船が入ったという目撃情報が入り、その船の素性を調べる為、ガクラ、エスティー、アールは、大先輩であるリュウバと共に現場へ向かった。


「いいかおまん等。今回の任務は、謎の船の調査や。もし攻撃して来たら、自分の身は自分で守るがよ。ただし、無理はしなさんな」

「「「はい」」」

「えい返事ぜよ。はっはっは! それじゃあ行くぜよ」


 リュウバを先頭にガクラ達三人は目標の世界に入った。

 入った世界は、草木が多く、とても喉かな世界だった。


「船は何処にあるんでしょうか?」

「確か……こっちぜよ」


 空を飛びリュウバが指した方角へ進むと、地上にダイヤの様な形をした一隻の巨大な紫色の船が停まっていた。


「あのでしょうか?」

「多分な。ちっくと近づいてみろう」


 四人は空から船に近づくと、船の外壁から砲門一つ出てきて、ガクラ達に向かってレーザーを放った。


「「「っ!?」」」


 ガクラ、エスティー、アールは突然放たれたレーザーに驚くと、リュウバが刀でレーザーを弾いた。


「こじゃんとな挨拶やねや」


 船の外壁から、今度は幾つもの砲門が出てきて一斉にレーザーを撃ってくると、リュウバは左手に銃を持ち、銃弾を撃ってレーザーを全て撃ち消した。


「あの船は敵……って事ですか?」

「敵かどうかは分からんけんど、友好的では無いのぉ。おまん等、危ないき離れちょって」

「「「はい!」」」


 ガクラ達はリュウバの言う通りその場から離れると、リュウバは一人船へ向かって飛ぶ。

 レーザーがリュウバを狙い続けるが、リュウバは刀と銃でレーザーを撃ち消していく。

 船の真上まで飛び銃を向けると、船の中から誰かが飛び出し、リュウバに向かって剣を振り下ろした。


「むっ」


 リュウバは刀で剣を受け止めると、目の前にいる白い身体に紫のマントを羽織り、顔が赤く光る一つ目だけの男に目を向ける。


「おんし、指名手配犯のオブリオじゃな?」

「如何にも。光族よ」

「幾つもの世界の人々を襲うた犯罪者が、こがな所で何をしゆーがじゃ?」

「ふん。簡単に教えると思うか?」

「思わんね」


 オブリオは距離を取り、目から赤い光線を放つと、リュウバは銃から光線を撃ち相殺させると、爆風に隠れて背後に回り込んだオブリオが剣を振り下ろした。

 だが、リュウバは後ろを向かずに銃で剣を受け止めると、オブリオを地上まで蹴り飛ばした。


「ぐあっ!?」


 地上に叩きつけられたオブリオに、リュウバは銃を突き付けた。


「何を企んじょったかは知らんけんど、ここで終わりや」


 リュウバは銃の引き金に手を当て引こうとした。

 その時、遥か後方で、紫色の光の柱が空へ向かって伸びた。


「何じゃ?」


 リュウバは振り向き光の柱に目を向けると、オブリオは地面に光弾を叩きつけ、辺りを土煙で覆った。


「うっ、しまった!」


 土煙が晴れると、オブリオはその場から消えていた。


「ワシとしたことか、逃げられてしもうた。……そういやぁ、さっきの光の柱、ガクラ達が飛んで行った方角やいか?」


――――――――――――――――――――


 リュウバに言われて離れたガクラ、エスティー、アールは船が見えない所まで飛び地上に下りた。


「ここら辺なら大丈夫かな?」

「大丈夫だろ。それにリュウバさんなら、すぐに終わらせられるだろ」

「だな」


 ガクラ達は安心しきっていると、辺りの地面から突如三つの土煙が上がり、中から三体の三メートル程の界獣が現れた。


「何だコイツ等!?」


 現れたのは、顔から長い二本の触角を生やした緑色の芋虫の様な界獣。

 二本の牙が生えた青い毛の猪の様な界獣。

 そして、鹿の様な角を生やした四本足の赤い界獣だ。

 鹿の角の界獣がアールに向かって火球を吐くと、アールは吹き飛ばされる。


「きゃあ!!」

「アール!!」

「くそっ。コノォ!!」


 ガクラは鹿の角の界獣に向かって光線を撃とうとすると、芋虫の界獣が触角の先端から緑の光線を放ち、光線はガクラの左目に命中した。


「うあああああああっ!!」

「ガクラ!!」


 吹き飛ばされたガクラは、左目の受けた傷から光の粒子を漏らしながら地面に倒れる。

 エスティーは頭の角を剣に変えて立ち向かおうとするが、猪の界獣の突進を受けて吹き飛ばされ、岩に激突した。


「がはっ!!」


 エスティーは倒れて気を失うと、アールが体を震わせながら体を起こす。


「お、お兄ちゃん……ガクラ……」


 アールは立ち上がると、二人の前に立ち、迫り来る界獣達に立ち向かう。


「はぁ……はぁ……。私が……守る!」


 アールは両手を近づけると、手の間にエネルギーを集中させる。

 エネルギーが集まると、空気が震え出し、界獣達の足が止まる。


「はぁぁぁ…………はあああああああああああ!!」


 アールは集めたエネルギーを解放すると、巨大な光の柱が天に向かって伸び、轟音と共に界獣達は吹き飛ばされた。

 光の柱が徐々に小さくなり消えると、殆どのエネルギーを使い果たしたアールはその場に倒れる。

 そんなアールの元に、リュウバを撒いたオブリオが歩み寄る。


「光族とは言え、こんなガキがあれ程のエネルギーを。……コイツは使えそうだ。コイツ等を回収し、今回は引き上げるか」


 オブリオはアールを抱え上げると、吹き飛ばされた界獣達を小さな球体に変えて回収し、船に戻った。

 その後、ガクラとエスティーはリュウバに救助され、ライテストで治療を受け一命をとりとめた。


――――――――――――――――――――


 ライテストの病院の屋上で、空を見上げているエスティーの元に俺は近づく。


「……ガクラか。目の傷大丈夫か?」

「……ああ。結構深くて、痕は残るって言われた」

「そうか……」


 あの後、アールは犯罪者、オブリオに連れ去られた。

 調査団の考えでは、光族の力を何かに利用するつもりかも知れないとの事だった。

 今もあの船を隠密部隊を中心に捜索している。


「……ガクラ」

「ん?」

「俺はライテストを出る」

「え……?」

「アールを見つける為に、俺はライテストを出る」

「ちょっ、ちょっと待てよ! 今もリュウバさんやハンゾウさん達が探してるんだ! 見つかるのを待った方が――」

「その間にも、アールがどんな目に遭ってるのか分からねぇ。俺はアイツに助けられた。兄貴として情けねぇんだ」


 エスティーから感じた強い覚悟。その覚悟に、俺は何も言えなかった。


「お前は……いや。お前等はここで頑張れよ」


 振り向いたエスティーが俺に向かって言うと、エスティーは飛びライテストを飛び出した。

 俺はしばらく呆然とすると、ゆっくりと近くのベンチに座り、自分の無力さを噛みしめながら拳を強く握る。

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