改造魔物
「多人数希望とは書いたが、思った以上だな」
城の一室でレイオン王は、依頼に来た俺達を見て少し驚いた顔をした。
「ご迷惑でしょうか? レイオン陛下」
「いや、構わん。多人数希望と記したのはこちらだからな。それに、多いに越したことは無い」
「それほど危険な依頼、という事ですか?」
ユールがそう訊ねると、レイオン王は真剣な表情で小さく頷く。
「依頼内容の犯罪者の捕縛。その犯罪者は、機械で改造した魔物を生み出しているようなのだ」
「機械で改造した魔物?」
「先日、ヴィレスト王国内に機械で改造されたグリーンパンサーが現れたのだ」
「何だ? グリーンパンサーって?」
「僕達が初めて会った時にガクラが倒した、アサシンパンサーの近縁種だよ。闇夜に紛れて獲物を仕留めるアサシンパンサーと違って、森の風景に紛れて獲物を仕留める緑色の豹の魔物だよ。危険度はアサシンパンサーと同じ二級」
「その改造されたグリーンパンサーを討伐に、我が国の兵士30人と冒険者10名の計40名で討伐に向かったのだが、その約七割程が重傷を負った」
「七割!? そんなにですか!?」
「ああ。やはり機械で改造されているだけあって、普通より強かったようだ。そしてその改造魔物を造った犯罪者が、まだ王国内にいてな。……どうやらこの辺りらしい」
レイオン王は国の地図を出すと、王都から離れた所にある山脈を指す。
「諜報部隊の情報によると、改造用か、二級の魔物が数体捕獲されているようなのだ」
「そりゃあ面倒だな」
「ああ。だから、よろしく頼む」
「あいよ」
――――――――――――――――――――
王都を出た俺達は犯罪者のアジトへ向かった。
近くまで来ると、ブラークが地面を見る。
「どうしたんだ?」
「アジトに近づくにつれて、この足跡をよく見かける」
ブラークが見ている地面には、確かに何かの足跡が地面に付いている。
その足跡をゲイブが眺める。
「この足跡と一致する魔物と言ったら……ヘルウルフだね。けど……」
「ヘルウルフはこの辺には生息してねぇ。可能性があるとすりゃあ……っ!」
気配を感じて振り向くと、崖の上から一体の魔物が飛び出してきて襲い掛かる。
俺達は避けると飛び出てきた黒い体毛に赤い目をした狼の魔物は俺達を見て唸る。
「ヘルウルフだな。だがやっぱ改造されてるな」
「ああ。見た瞬間分かる」
ヘルウルフの顔と両前脚には機械が着いていて、改造された魔物だと一目瞭然だ。
「恐らくアジトに近づく奴を排除する為に改造されたんだろ。ヘルウルフの機動力と嗅覚ならすぐに見つけて来られるからな」
「こんなのが何体も造られてるって思うと、確かにすぐに何とかしないといけないって思っちゃうわね」
マルナが緊張気味に杖を構えると、ヘルウルフは走りだし、レイルに向かって爪を振り下ろした。
「はっ!」
レイルはジャンプして避けると、回転しながらヘルウルフの頭上を通る。
「うわぁ、綺麗な回転」
「踊りが得意って言ってたからな」
レイルが着地すると、エグラルがヘルウルフの顔に拳を当て、地面に殴りつけた。
顔が地面にめり込んだヘルウルフは、顔の機械に火花を鳴らしながら倒れる。
「一撃……相変わらず凄いな」
「ちっと硬かったな」
エグラルが右手を振ると、ザッと地面を踏む音が聞こえて振り向いた。
「わーっはっはっはっは! 改造ヘルウルフを倒すとは大したものじゃ!」
そこにいたのは、体が煤だらけの丸眼鏡をかけたドワーフのおっさんだ。
その隣には出っ歯の小人族の男が立っていた。
「テメェか? コイツを造ったのは」
「如何にも! ワシの天才的な頭脳にかかれば、この程度朝飯前よ! わーっはっはっはっは!」
「……なんか小物臭がするわね」
「まぁ自分で天才だの何だの言う奴はそんなもんだろ」
「やかましいわ! 噂の光族も、ワシの改造魔物にかかれば敵ではない!」
「さっき瞬殺されたじゃねぇか」
「うるさい! ワシの本気の改造魔物にかかればと言う話じゃ。助手!」
「へいでヤンス」
隣の助手って呼ばれた男は手に持っているリモコンのボタンをポチッと押した。
すると、二人の後ろの岩山が弾け飛び、中から四体の改造魔物が出てきた。
「改造魔物か。しかも全部二級じゃねぇか」
現れたのは、尻尾が剣の様になってるブレードザウルス。
大きな二本の角が生えてるサンドホーン。
口から火を吐くファイアザウルス。
そして前に遭遇したことがあるタイガーレックスだ。
「さぁ、改造魔物の強さ、その目にしかと焼き付けるがよい。行けぇぇぇ!!」
ドワーフの男の掛け声で改造魔物達は一斉に襲い掛かり、俺達は構えた。




