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雪原の魔物討伐①

「はぁ~……」


 光の兄弟として、アスタラードで改めて活動を始めた俺は、早速来た依頼を受けたが、あまり乗り気になれなかった。


「随分気が沈んでるけど、大丈夫?」


 今回依頼に向かったのは俺の他にファルクとノクラー。そしてユールのパーティーの七人だ。

 依頼場所へ向かっている途中で、ユールが気乗りしない俺、ファルク、ノクラーに声を掛ける。


「だってよ~。今俺達が向かってんのは何処なのか分かってるだろ?」

「うん。鬼人族領の北にある雪原地帯だよ」

「そう! それなんだよ!」


 俺が大きな声を出してユールを指差すと、ユールはビクッと驚く。


「よりにもよって俺達が受けたのは雪原地帯の依頼。勘弁してほしいもんだ」

「…………」


 嫌味そうに言う俺をアモセがジッと見ると口を開く。


「もしかしてお前等、寒いの苦手なのか?」

「ん~……まぁそうだな。俺達っつーか、光族はな」

「へぇー。光族にも弱点はあるんだね」

「元々ライテスト……光族の世界は年中暖かいからな。寒さに対して耐性が低い。後はやっぱあれだな、闇属性の攻撃。あれで受けた傷は普通よりも治りが遅いんだよな」

「それは光族らしいな。闇が苦手ってのは」


 そんな話をしている内に、雪原地帯が見えてきた。

 前方に広がる真っ白な雪の地面に雪山。

 まだ雪原地帯に足を踏み入れてねぇのに、既に寒さを感じる。


「そろそろ防寒着に着替えよう。最近は寒さが増してるみたいだからね」

「そうなのか?」

「魔物が凶暴化した影響でしょう。ここから先には当然、氷の魔物が多く生息していますから」


 氷の魔物って事は冷気を吐くよな。それで気温が下がってるのか?

 ただでさえ寒いのが苦手なのに、討伐対象も少々面倒そうな相手だしな。


「まずは村を目指すんだっけ?」

「うん。そこでシルバーマモスの詳しい居場所を聞く」


 今回受けた依頼の内容は二級の魔物、シルバーマモスの討伐。

 シルバーマモスは白い毛に覆われた、巨大なマンモスの魔物だ。

 マモスっつー、二メートルぐらいの大人しいマンモスの魔物の上位種。

 シルバーマモスも一応大人しい方だが、最近は暴れる個体が増えてるらしい。

 しかも大きさがマモスの約10倍っつーんだから、そんなのが暴れたら大きな被害が出る。


「でもシルバーマモスってデケェんだろ? 意外とすぐに見つけられるんじゃねぇか?」

「いや。シルバーマモスは雪の中に隠れたり、体に雪を纏わせて擬態することが出来る。デカくても見つけるのは簡単じゃねぇ」

「そうなのか。早く終わらせたかったのになぁ」


 防寒着に着替え終えた俺達は、雪原地帯に足を踏み入れまずは村を目指した。

 辺り真っ白でやっぱり寒ぃ。

 道中、マモスの群れや毛深いトナカイを見かけ、雪原っぽさを感じる。


「村までどれくらいだ?」

「道なりを真っ直ぐ進んで、三時間ぐらいかな」

「はぁ~。三時間も歩くのか」


 ファルクは肩を下ろし力を抜く。

 一時間ぐらい歩くと、前方に白い猿の群れが見えた。


「あれは、スノーエイプの群れだね」

「何か一体だけ一回りデケェのがいるが」

「スノーエイプのボスだな。でも妙だな。スノーエイプは雪山の様な、高所に住んでるはずなのに、何でこんな平地に?」

「魔物が本来の生息地から離れる理由としてよくあるのは、住処を追われた場合ですね」

「多分、シーシアの推測通りだと思う。スノーエイプはボス個体でも三級。それより強い魔物は他にもいるもんね」


 しばらく岩陰に隠れて様子を見ていると、スノーエイプの群れは何処かに去り、俺達は村へ向かって再び歩き始めた。

 道中、氷が浮かぶ湖のすぐ横を横切ろうとすると、湖から一メートル程の青白い鮫が飛び出してきた。


「ん?」


 俺は大剣をすぐさま手に持つと、鮫を大剣の腹で叩きつけ、湖に吹き飛ばした。


「何だ今の鮫?」

「今のはアイスシャークの幼体だな。幼体がいるって事は……」


 アモセが呟いた次の瞬間、俺も少し予想していた通り、さっきのより五倍大きい鮫が飛び出してきた。


「やっぱり成体がいたか」

「ちょっと待て。コイツ足生えてるぞ!?」


 飛び出てきたアイスシャークの成体は足が生えていて地上を歩いてやがる。


「成体になると足が生えて地上でも活動出来んだよ」

「まっ、コイツは三級だから、さっさと片づけちまおう」


 俺達は武器を手にしてアイスシャークを倒そうとすると、横から何かが飛び出してきてアイスシャークに襲い掛かる。

 それは、白い毛をしたサーベルタイガーの様な魔物だった。


「何だ!?」

「あれは……アイスタイガー!? 二級の魔物だ!」

「ん? なぁおい。誰か乗ってねぇか?」


 ファルクが指差すと、確かにアイスタイガーの背に誰かが乗っていた。


「行け! シロトラ!」


 背に乗っている金髪の魚人族の少女がアイスタイガーに指示をすると、アイスタイガーはアイスシャークを前足で押さえつけ、首元に牙を立てる。

 アイスシャークは徐々に動きが鈍くなり、やがて息絶えた。


「ふぅー。……あ、ごめんなさい。貴方達、アイスシャークを倒そうとしてた?」

「う、うん。けど一応ありがとう。君は?」

「私はアイン。この先のフレイス村に住んでる魔物使い。でこっちは、私のパートナーのアイスタイガーのシロトラ」


 俺達も一応自己紹介をすると、ここに来た目的を話した。


「そう、シルバーマモスを。確かに村長がシルバーマモスの討伐依頼を出してたわね。それにしても、まさか噂の光族にここで会えるなんて」

「そうかい。まぁ俺等の事は良いからよぉ、村まで案内してくれねぇか?」

「良いわよ。ついてきて」


 俺達はアインとシロトラの後をついて行き、フレイス村を目指した。

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