光族との交友
『光族、現る』
そのニュースは瞬く間にアスタラード中に広まった。
「おーい、キルカ!!」
手に新聞を持ったジャルトがキルカ達の元へ走って来た。
「どうしたジャルト? そんなに慌てて」
「い、今……アスタラードに光族が来たって話知ってるか!?」
「ああ。結構話題になってるからな」
「なぁに? アンタその事を知らせる為だけに走って来たの?」
「違ぇよ! さっき新聞を見たら姿が写ってたんだけど……とにかく見てくれ!」
ジャルトが新聞を渡しキルカ達は記事に目を向けると、写っている光族、その人間の姿を見て驚く。
「これって……ガクラ達!?」
「マジかよ。とんでもねぇ奴等と知り合いになったな」
キルカは新聞を広げたままテーブルの上に置くと、天井を見上げて微笑する。
「キルカ君? どうしたの?」
「いや……。アルバーギルの言う通り、とんでもない奴と知り合いになったなぁって思ってな」
別の町では、フィーシン王国、王都の酒場でガクラと揉めた男が新聞を眺めていた。
「やっぱりアイツ等か……。任務で来たのか? 光の兄弟」
「どうするの、お兄ちゃん?」
「まぁ、無理に会う気は無ぇよ。……今はな」
――――――――――――――――――――
話題になった光族。
その話題の中心になっている光の兄弟は……。
「かんぱーい!!」
『かんぱーい!!』
ヒュルマノ王国の王都の酒場で、冒険者達と騒いでいた。
ユール、ブラーク、ソルラ、マルナの四パーティーを含めた酒場にいる冒険者達と共に飲んで騒いでいる。
「まさか光族と一緒に飲める日が来るなんてな!! 長生きはするもんだな!!」
「生きてりゃあ色々あるさぁ!! うっはっはっ!!」
ガクラはブラークと肩を組み、一緒に酒を飲んでいた。
他の皆も共に大いに騒いでいた。
そんな中、光族に興味があるゲイブは、メイトに質問をし、光族の事を聞いていた。
「成程。光族は巨大化が出来るんだね」
「うん。まぁ昼間のが最大の大きさなんだけどね。あれ以上大きくなろうとすると戦える時間は更に短くなるからね」
「戦える時間?」
「僕等は世界に漂う光のエネルギー、光素を糧にして活動してるんだけど、僕達の世界以外の世界の光素は濃度が圧倒的に薄いから、本来の姿をずっと保てないんだ。供給する量より、消費する量の方が多いからね。巨大化する時も多く消費するからその分短くなる」
「成程……。やっぱり凄いね光族は。頭の角が武器に変化したりするし」
「あー、それ逆。武器が角になってるの。ああやって武器を収納してるんだ」
「そうなんだ。じゃあガクラの頭の角も?」
「いや。ガクラのは本物の角」
「区別が意外と難しい」
ゲイブはメイトから聞いたことをノートに書き込んで目を通した。
「こんなに光族の事を知れたよ。生きてる間に会えてよかったよ」
沢山の事を知れ、ゲイブは喜んでいた。
「ねぇおじ様、ガクラ。こんなに騒いで良いの?」
「良いんだよ! 気にすんなマルナ!」
「ガクラもこう言ってんだ! 今は楽しもうや!!」
「その通り! はっはっはっはっ!!」
――――――――――――――――――――
「うべぇぇぇぇぇぇぇ~!!」
トイレで俺はユールに背中を摩ってもらいながら吐いていた。
「う~飲み過ぎた」
「あんなに飲んだらね。光族も酔うんだ」
「酔うぜ~俺達も。うぶっ!」
俺はもう一度吐くと、ユールに肩を借りながら皆の所へ戻った。
「ヤベェ~、これ明日二日酔いかも知んねぇ~」
「ははは……」
ユールは笑い皆の所に戻った。
すると、瓶が飛んできてガクラの顔に命中し吹き飛んだ。
「ほぶっ!!」
「ガクラ!? な、何っ!?」
ユールが振り向くと、そこには酔っぱらって暴れているアスレルがいた。
「うははははははは!!」
アスレルは両脇に首を絞める様に抱えているエグラルとファルクを振り回し、既に数名がダウンしていた。
「お、ユール、戻ったか」
「な、何が起きたの?」
ユールはマルナ、シーシアと一緒にテーブルの下に隠れてるヨルナに訊ねた。
「アスレルは酒がめっちゃ弱いみたいでな。ちょびっと飲んだだけでこの有様だ」
「もう滅茶苦茶。光の兄弟も半分以上ダウンしてるか、先に避難しちゃったし」
「うわぁ。ねぇガクラ、どうすれば良いの?」
フラつきながら立ち上がった俺にユールが聞くと、俺は顔を押さえる。
「痛ててて……んぁ? アイツの酔いか? 水をぶっかけりゃあ治まる」
「水……水……あった」
ユールは水の入ったコップを見つけてアスレルに向かってかけようと振り向いた瞬間、アスレルが投げた瓶がユールに命中し、吹き飛ばされたユールは壁に頭を激突して気絶した。
「ユールさん!?」
「あ~あ。しょうがねぇ。確実に酔いが醒める第二の方法を使うか」
「だったらそっち最初にやってくれない!? うわっ!?」
マルナの目の前にソルラが吹き飛んでくると、ソルラは目を回して気絶した。
「ちょっとソルラ、しっかり!」
「ふへへへ……」
酔っぱらったアスレルが近づき、マルナが涙目になると……。
「アスレール!」
用意出来た俺はアスレルの名を叫ぶと、大きく振り被り『ソレ』をアスレルの口に向かって投げた。
『ソレ』は見事アスレルの口の中に入り食べると、アスレルの酔いが醒めてきた。
「あれ? 私何してたんだっけ?」
「よし、上手くいった」
「今、何投げたの? 何か赤いのが見えたけど」
「アスレルの大好物、イチゴだ。イチゴを食わせりゃあアスレルの酔いは醒める」
「そ、そうなんだ……」
――――――――――――――――――――
一騒動が終わったガクラ達は、王都の大衆浴場にやって来た。
「全く。これからアスレルに酒飲ませるのは禁止ね」
「確かに。二度と御免だな、あんな騒ぎ」
女風呂の更衣室で着替えている女性陣達は、酒場での騒動で大いに疲れていた。
「そんなに酷かった? 私」
「酷いなんてもんじゃないわよ。怪我人も出るし、店も壊すし。修繕費私が出してあげたんだからちょっとは感謝しなさ、いっ!?」
マルナは隣にいる裸のアスレルを見て、目を見開かせて驚く。
「どうしたの?」
「いや……アンタ、スタイル良いわね」
アスレルの双丘をジッと睨むマルナは、自分の何とも言えない程虚しい胸板を見る。
「ぬっ、デカい」
「結構引き締まってるな。鍛える証拠だな」
「そう? まぁいいわ。先行ってるわよ」
アスレルはタオルを肩に置き浴場の方へと歩く。
「ちょっ……! 待ちなさいって!」
マルナはアスレルの手を掴んで引き留めた。
「何?」
「何じゃないわよ! 前ぐらい隠しなさいよ!」
「何で? どうせ女しかいないじゃない」
「いやそうだけど!」
「一理あるな」
アスレルの言ったことに納得したカゲキリは、体に巻いていたタオルを解いて肩に乗せた。
「カゲキリ姐様、真似しないで! 例え女同士でもキチンと隠すものでしょうが!」
「別に良いじゃない。それにどうせ、昼間散々私達の裸見てたんだから」
「だからマナーって言うのがあって! ……え?」
マルナが目を丸くしてアスレルの顔を見上げる。
「えっと……裸を見てたってどういう事? 昼間?」
「だから昼間、私達が界獣と戦ってる時にずっと見てたんでしょ?」
「え、ちょっと待って。昼間のあの姿のアレ……裸なの?」
「だって服着てないじゃない」
女性陣は昼間見た光の兄弟の姿を頭の中に過らせる。
「確かに、服を着ている様には見えませんね」
「じゃああの姿の赤だったり青だった、体にある線は何なんだぞ?」
「あれは模様。私達にとっちゃあ、本来の姿の時と今のこの裸は同じだから、別に見ようが見られようが恥ずかしくないわ」
アスレルが肩をすくめて言うと、マルナが床に膝を着き、続けて手を床に着けた。
「何か……光族のイメージが一気に崩れた」




