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魔物、襲来

「んで。これからどうする? もう少し調査するつっても」


 城下にある酒場に集まった俺達光の兄弟は、これからの事を話しあっていた。


「そうだねぇ。事態が大きいのは分かるんだけど、問題は魔王の強さだね。魔王がこの世界の人達でも倒せる程なら僕等は別にいらないし」

「今の所、これまで現れてる魔王軍は幹部ぐらいだけど、倒されてるって話はあまり聞かないね。この間のユールの時ぐらいだし」

「幹部クラスでさえあんま出てこねぇんじゃ、魔王の実力を測るのは難しいな」


 幹部の強ささえ分かれば、魔王の強さも少しは分かると思うんだけどな。

 ってか、今俺達の中で疑惑になっている、魔王軍の本拠地異空間にある説が本当だと、この世界の奴等じゃ魔王の元に行くのは無理だろうな。


(まっ、俺等が出る事になっても、それはしょうがないと思って諦めてもらうかな。仕方ねぇ事だし)


 俺は水の入ったコップに手を伸ばすと、何かを感じ手を止めた。

 俺だけじゃない。他の皆も感じ取ったみたいだ。


「今の気配……」

「うん。何か次元の穴が開いた感じに似てるね」

「何かしら。嫌な予感がする」


 俺達は酒場から出て辺りを警戒していると、城下に警報の様な音が鳴り響いた。


『緊急警報。緊急警報。魔物の大群が現れました。住民の皆さんは城へ避難して下さい。戦える冒険者の皆さんは、正門へお集まり下さい』

「魔物の大群? 随分突然だな」

「さっき感じた気配と関係あるのかな?」

「知らんけど、一応俺達冒険者だし、行っとくか?」

「その必要は無いみたいだぞ」


 ウルファーが空の方を見上げて言い、俺達も見上げると、空を飛ぶ魔物が沢山飛んでいた。


「おいおい。空から来たら正門に集まる意味無ぇじゃねぇか」

「ああ。この場でやるしかねぇな!」


 俺達は武器を手に取ると、空飛ぶ魔物達に向かった。


――――――――――――――――――――


 屋根の上から、ダンガンが魔法銃で魔法を撃ち、空を飛ぶ魔物の翼を狙う。


「ちぃ。全王会議の最中にこんな大群が来るとはな」


 狙いを定めて翼を撃ち抜くダンガンに、キングワイバーンの雌個体、クインワイバーンが襲い掛かると、魔力弾が飛んできてクインワイバーンに命中し地上に落ちた。


「おーい。ダンガンの旦那」

「アモセ。今の魔法お前か」


 ダンガンの元にやって来たのは、ユールの仲間のエルフの魔法使い、アモセだった。


「この魔物達、どうやって現れたんだろうな? こんなに沢山いたら来てんの気付くはずだ」

「ああ。まるで突然現れたみてぇだな。地上の方はどうなってる?」

「旦那が撃ち落とした魔物をユール達が戦ってる。けど、空からも来たせいで正門に冒険者が集まってねぇみたいだ」

「だろうな」


 ダンガンが納得すると、正門の方で爆発が起きた。


「ヤベェ! 正門が破られてる!」

「予想以上に数が多いな。どうなってんだ?」


 ダンガンとアモセの背後からキングワイバーンが襲い掛かると、二つの魔力弾が両翼を撃ち抜き、キングワイバーンは地上に落ちた。


「うおっ!? 何だ!?」

「ん?」


 ダンガンが目を向けると、その先には屋根の上にいるフォクサーが小さく映った。


(あの距離で正確に撃ち抜いた。ホントに何者だ? アイツ)


――――――――――――――――――――


 突進してきたアーマーリザードの懐に滑り込むように潜り込んだメイトは、腹を剣で深く斬りつけると、アーマーリザードはフラつき倒れる。


「……いくら腹が弱点とは言え、二級がこんな簡単に倒れるかな? それに……この魔物達から感じるこの気配。もしかして……」


 メイトは先程から感じる違和感を解消するため、周りを見渡して人や魔物がいないことを確認すると路地裏に入り、空中に城下に侵入した魔物を映した画面を投影させて分析し出した。


――――――――――――――――――――


 エンジェは一つ目の巨人型の魔物、サイクロプスの体を蹴りながら上り、目に向かって矢を放つと、矢はサイクロプスの目に刺さり、サイクロプスは倒れた。

 地面に着地したエンジェに向かって、背後から手が鎌になっている蟹の魔物、サイスクラブが鎌を振りかざすと、クレンの二つのブーメランがサイスクラブの両腕を斬り落とし、続けて何度もサイスクラブを斬りつけて倒した。

 手に戻ったブーメランをクレンが投げると、不規則な形で動き回り、周囲の魔物を倒していき、再び手元に戻った。


「凄ぇなクレン。どうやってブーメラン操ってんだ?」

「ああ。このグローブのお陰だ」


 気になったガクラが質問すると、クレンは両手に着けているグローブを指差す。


「このグローブには風の魔力が備わっていてな。それでブーメランを操れるんだ」

「良いなぁお前等は。自分の得意戦法が出来て。俺は全く出来ないってのに!!」


 ガクラは八つ当たり気味に大剣で空から襲ってきたバットクロウを吹き飛ばすと、頭の中にメイトの声が聞こえた。


『皆、聞こえる?』

『メイトか。どうした?』


 メイトのテレパシーが聞こえ、光の兄弟はメイトの声を聴く。


『この魔物達に違和感を感じて調べてみたんだけど……この魔物達から”ある波長”が確認されたんだ』

『ある波長?』

『10年程前、ある闇工場で造られた、生物複製装置って覚えてる?』

『生物複製装置……そういやぁんなもんぶっ壊した事あったような……』

『それで、その装置から生み出された生物と、この魔物達から同じ波長が確認されたんだ』

『つまり、この魔物達はその装置から生み出されたもの、ということか』

『けどよぉ。その装置ってぶっ壊したはずだろ?』

『多分、別の場所でも造られていた可能性があると思う。僕達が破壊した工場以外の何処かで』

『じゃあ……魔王軍は、別世界の技術を取り入れてるかも知れないって事?』

『うん。多分ね』


 ガクラはため息を吐いて舌打ちをすると頭を掻く。


「メンドーな事になってきたな」

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