表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/47

魚人族領③

「討伐対象の方から出てくるとはな。探す手間が省けたぜ」

「ああ。んじゃあ早速行くぜぇ!」


 エグラルが先陣を切ってアクアフォックスに向かって走った。

 するとアクアフォックスは、地面にこすりつける様に尻尾を振ると、エグラルに向かって一直線状に地面に白い泡が伸びた。


「何だコ……おわぁ!!?」


 エグラルが泡を踏むと足を滑らせて転び、泡の上を滑る様にアクアフォックスの横を通り過ぎ岩にぶつかった。


「何やってんだエグラル!?」

「アクアフォックスは尻尾から生み出す特殊な体液で泡を生み出すんだ。その泡で相手足を取られている隙に倒すんだって」

「さっき見つけた泡もコイツのね」


 アクアフォックスは岩にぶつかって頭を摩るエグラルに目を向けると、口から水のブレスを吐いた。


「ん? うおっ!?」


 エグラルは水のブレスを躱すと、今度は俺達に向かって薙ぎ払うように水のブレスを吐いた。

 水のブレスを躱すと、アクアフォックスは一気に近づき、俺に向かって前足の爪を振り下ろしてきて、俺は大剣でガードした。


「おぉ。やっぱ力強ぇなぁ」


 俺は押し勝って弾くと、フォクサーが魔法銃で雷の魔力弾を撃ち、アクアフォックスに当てていく。

 フォクサーに狙いを定めたアクアフォックスは水のブレスを吐こうと口を開くと、アスレルが鞭を伸ばし口を塞いだ。

 アスレルと引っ張り合いを続けると、メイトがアクアフォックスの頭上を跳び越えて尻尾に近づくと、回転して剣を振り尻尾を斬り落とした。


「クアォォォォォォォ!!」


 アクアフォックスが咆哮を上げると、俺とエグラルが側面に回り込み、俺は大剣、エグラルは拳を叩きつけて吹き飛ばした。

 アクアフォックスは木に激突し木が折れると地面を転がり、最後に息絶えた。


「よぉーし、討伐出来た」

「船、もう出航出来るようになったかな?」

「分かんないけど、一応ゆっくり町に戻ろう」


 俺達は少しのんびりと町に戻った。


――――――――――――――――――――


「申し訳ありません。しばらく船は出航出来ません」


 アクアフォックスの討伐の報告を終えて、港で船の出航状況を聞くとそう返された。


「しばらくってどれぐらいだ?」

「実は、航路の近くに海角龍(かいかくりゅう)が目撃されまして……」

「海角龍?」

「二本の巨大な角が生えた海に棲む一級の魔物です。現在、航路から引き剥がす為、王都から軍艦が向かっているとの事ですので、数日は船が出せません」

「マジかよ~!」


 肩を落とし、俺達はテキトーな店で休んだ。


「さてさて。果たしていつになったら出発出来るのかしら?」

「相手は一級。国の軍隊でも苦戦するから時間は掛かるね」

「メンドクセーなぁ。もういっそ泳いで行くか?」

「見つかったら変に思われると思うから止めた方が良いと思う」


 船が出航出来るまで退屈になりそうだと思うと、力が抜けてテーブルに顔を乗せる。


「おーいお前等。コレ見ろよ」


 便所に行ってたエグラルが戻って来ると、手に持ってる新聞の一面を見せた。


「何だよ? ……ん? コレ、写ってるのユールじゃね?」

「ホントだね。えーっと……」


 俺達はユールが写ってる新聞の記事を見た。

 『魔族、戴冠式襲撃 期待の冒険者活躍』

 小人族領の王都で国王が即位し、王位を一人息子である王子に継承する戴冠式が行われた。

 だがその戴冠式を狙って、城の者に化けていた魔王軍の魔族が王と王子の命を奪おうとした。

 そこへ、王都に訪れていたユールと仲間達が魔族と戦い、見事打ち倒した。

 戴冠式は無事に終わり、ユールは称賛された。


「結構活躍してんじゃん、アイツ」

「SSランクへの昇格も決まってるみたいだよ。昇格すれば、歴代最速記録だって」

「思った以上に成長してるな。これはマジでアイツなら魔王倒せそうだな」

「光族不要って判断した時はね。でも肝心の魔王が何処にいるのか分かって無いんだよね」


 そうだった。魔王の所在が不明なんだった。

 魔王の出現が分かってから、国は魔王軍の本拠地を探してるらしいが、本拠地のほの字も見つかってない。

 魔王軍はこの記事の様にたまにしか現れねぇから、手掛かりを探すのも大変みてぇだ。


「船が出航出来るようになったらすぐ行こう。これ以上遅れると、集合場所に遅れそうだからね」

「じゃあ海角龍を追っ払ってくれるよう、軍隊に期待するか」


 数日後。大きな被害を受けながらも、軍隊が海角龍を航路から遠ざける事に成功し、俺達は船に乗る事が出来た。

 その後何日も歩き、王都へ向かう船が出る発着所に着いた。

 ……が。また船が出せずそこでも足止めを食らった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ