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ドワーフ領③

「お客さん、着きましたよ」


 馬車が止まり揺れが収まると、乗り物酔いが少しマシになった。

 アスレル達は先に降り、最後に俺が降りた。


「はぁ~……やっと着いたか」

「いやまだだって。此処から乗り換えるんだから」

「ああああああああ、そうだったぁぁぁ~」


 ドワーフ領の王都に向かっていた俺達は、町で馬車に乗り、荒れ地と砂漠の境目にある砂上船の乗り換え所に着いた。

 砂漠の真ん中にある王都へは馬車で行けねぇ為、行くには歩いて行くか、砂の上を進む船、砂上船に乗って行くの二つしかない。

 しかし、砂漠の境目だからか、ちょっと暑いな。


「皆。次の砂上船は30分後だって」

「ふーん。じゃあ出発までブラブラしてようぜ」


 乗り換え所っつーが、此処は小さな町だから、それなりに露店が並んでる。


「おっさん。この果物一個くれ」


 露店で果物を買っていると、ある事に気付く。


「なぁおっさん。何か品ぞろえが悪くねぇか? 王都からも砂上船が来るならもっと品ぞろえが良いと思ったんだが」

「あぁ。今王都の周辺にサンドホーンが現れてね。商船も被害に遭ってるんだよ」

「サンドホーン?」

「砂漠や荒れ地に棲む二級の魔物だよ。この辺りにもたまに出るんだ」


 二級の魔物なら、討伐出来る奴は限られるな。

 まっ、いざって時は俺達が倒せばいっか。

 時間が過ぎ、砂上船が出る時間になると俺達は乗船していく。


「サドワ王国王都行き船、出発します」


 時間になり帆が張られると、砂上船が動き出した。そして……。


「うっ……」


 乗り物酔いに襲われ、俺は手すりにもたれ掛かり座り込む。


「じゃあガクラが聞いたサンドホーンって言うのを見かけたら注意しよう」

「そうだな。んじゃフォクサー。見つけたら知らせてくれよな」

「うん。確か頭に、二本の角を生やした魔物だったね」

「頼んだわよ。アンタの目の良さならすぐに見つけられるわ」


 誰も俺の事を気にかけず呑気に話してやがる。

 こんな暑い砂漠の中、皆冷たい。

 時折大きな砂丘を飛び越えたりして大きく揺れるから馬車よりキツい。

 ま、まだ着かないのか……。ヤバい……吐きそう……。

 手すりに手を掛けて体を起こすと、手すりに頭を乗せて遠くを見ていると、船の前方に塀みたいなのが見えた。


「な、何だ、アレ……?」

「多分アレが王都だよ。もうちょっとだね」

「そ、そうか……。も、もう少……うぇ」


 駄目だ。此処で安心して気を抜いたらガチで吐く。耐えろ俺。


「ん? アレは……」


 フォクサーが何かを見つけたらしく、俺達はフォクサーの視線の先を見た。

 そこには、一体のある魔物の死体が転がっていた。


「あの二本の角は……間違いない。アレはサンドホーンだよ」

「やっぱりか。でも死んでるよな?」

「そうよね。それに角も片方折れてるわね」

「自然に折れた様に見えないし、顔に殴られた跡があるから、『何か』にやられたのは間違いないね」

「結構つえぇ力で殴られてるな」


 二級があんな様になるって事は、格上の相手に負けたのか。

 一級の魔物……あるいは高ランクの冒険者か。


「ま、まぁ……サンドホーンと戦う羽目にならなくて良かっ……うっ」


 や、ヤバい! もう、吐きそう……。

 どうにか吐き気を押さえ続けると、砂上船が王都に着きギリギリ間に合った。


「あ、危なかったぁ~!」

「着いたし、宿に行って部屋を取るか?」

「それも良いけど、もう昼時だし、何か食べてから宿に行っても大丈夫だと思うよ」

「そうね。何か甘い物食べたい気分」

「おーい。ちょっとは気にかけても良いんじゃねぇか?」


 俺の言葉を無視し、アスレル達は歩き出すと、酔いが治まって来た俺は後を追う。

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