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ドワーフ領②

「……で、ロックリザードは何処にいるんだ?」


 依頼でロックリザードという魔物の討伐に来た俺達だが、目的地に来てもそれらしい魔物が見当たらねぇ。

 こんなに見渡しが良いのに一体も見当たらねぇって何でだよ?


「此処で良いんだよな? 依頼の目的地」

「うん。依頼に書かれてる場所は此処で間違い無いよ。ロックリザードは地中に潜って休むから、地中にいるかも知れないね」

「じゃあどうやって探すのよ?」

「一応、地中に潜ってる時は背中部分を出してるみたいだけど……あんまりその辺の岩と区別がつかないみたい」


 岩なんてそこら辺にあるぞ。

 これ等のどれかに擬態してるっつーのか? しんどいな探すの。


「もっと手っ取り早く見つける方法は無ぇのか? 探し回るのなんて俺嫌だ……おおっ!?」


 エグラルが近くの岩に座って文句を言いだすと、岩が揺れて、エグラルは岩から降りて離れると、体が岩で出来た蜥蜴が地中から出てきた。


「ロックリザードだ」

「なんだよ、すぐ傍にいたのかよ。探す手間が省けた」


 背中の大剣に手を掛けると、ロックリザードは咆哮を上げた。

 すると、周囲の岩が震え出し、次々とロックリザードが地中から出てきた。


「おいおいおいおい。ここ等の岩全部ロックリザードかよ」

「流石に多いね。どうする?」

「まぁ出てきた以上、全部倒すしかないよ。腹が一番柔らかいから、そこを重点的に攻撃して」

「オッケー、お腹ね」

「んじゃあ、全部ぶっ倒すか」


 ロックリザードの群れは俺達に向かうと、俺達は散開してロックリザードの群れに立ち向かった。

 ロックリザードの一体が体当たりしてくるが、見た目通り足が遅い。

 軽々と避けると、横から大剣を腹に叩き込むと、ロックリザードは倒れた。


「思ったより効いたな。ちょっと力入れ過ぎたか? ん?」


 後ろを向くと、後方からロックリザードが口から熱線を吐き、俺は体を仰け反らせて躱した。


「火を吐けんのか。離れてても油断出来ねぇな」


 火を吐いてきたロックリザードに向かって走ると、今度は火球を吐き、躱して懐潜り込んで腹を大剣で斬りつけた。

 アスレル達も特に苦戦する事無くロックリザードを倒していき、現れたロックリザード全て倒した。


「案外大した事無かったわね」

「三級だとこのぐらいだもんな」

「依頼は一体だけだけど、沢山現れた以上しょうがないか。戻ろう」


 俺達は武器を納めて町に戻ろうとすると、フォクサーが「あ」っと何か見つけた。


「どうしたぁ?」

「いや、あそこにロックリザードがいるなぁって」


 フォクサーが指差すと、その先には一体のロックリザードが佇んでいた。


「まだいたのか」

「でも、僕達に気付いて無さそうだね。目を閉じてるから寝てるのかも」

「じゃあ放って置いて良いだろ。別に倒す必要は無ぇし」


 ロックリザードを無視して足を進めると、突然ロックリザードの顔にヒビが入った。


『ん?』


 ヒビが全身に広がると、体が崩れ、中からゴツい見た目をしたロックリザードが姿を見せた。


「何か、イカつくなったぞ?」

「あれは……ロックリザードが脱皮して成長したアーマーリザード。二級の魔物だよ」

「マジで? 成長すると二級になるの?」


 ロックリザードならぬアーマーリザードは俺達に気付くとこっちを見る。


「どうすっか?」

「うーん……また誰かに見られる可能性もあるし……」

「よし。なら……」


 俺達はクルっと振り返ると全力ダッシュをして逃げた。

 アーマーリザードは追いかけるが、成長しても足が遅いのは変わらねぇから、余裕で逃げ切れた。


――――――――――――――――――――


「はい、依頼完了です」


 依頼の報告を終えると、これからの事を話し合った。


「ここから東にドワーフ領の王都がある。しかも砂漠のど真ん中に」

「砂漠? めっちゃ暑いじゃねぇか。よくそんな所にあるな」

「砂漠の地表より下にあって、砂嵐の対策もされてるみたいだから住みにくいって訳じゃないみたい」

「まぁ、それぞれの領の王都には行った方が良いわよね」


 次の目的地も決まり、俺達はドワーフ領の王都を目指した。

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