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獣人族領⑤

「よし。ガクラ」

「あ? 何だよ?」


 寝てるイバラトカゲをどうにかしようと考えていると、アスレルが良案を思いついたような顔で俺を見る。

 ……アレはぜってーロクでもない事を思いついた顔だ。俺の心がそう言ってる。


「アンタ、イバラトカゲを起こして来て囮になってきて」


 ホラ見ろ。やっぱこう来た。


「ふざけんな。さっき俺囮になっただろ。別の案にすることを要求する」

「却下。アンタリーダーなんだから風格見せなさい」

「こういう時だけ俺をリーダー扱いすんな! だったら普段からそうしろ!」

「危険な事はリーダーが引き受ける! 常識でしょ!」

「おいオメー等うるせぇよ。起きちまうぞ」


 エグラルに指摘されてイバラトカゲに目を向けると、まだ爆睡している。


「まだ寝てるな」

「イバラトカゲは一度寝ると熟睡するんだ。そう簡単には起きないけど、あのイバラトカゲは寝てからどれぐらい経ってるか分かんないから、やっぱり起きて何処かに行くのを待つしかないか」


 面倒だな。どんぐらい掛かるんだよ起きるのに。

 頭を掻いてると、フォクサーがイバラトカゲとは別の方を見ていた。


「どうしたフォクサー?」

「アレって、さっきの剛毛熊の群れじゃない?」


 フォクサーの視線の先を見ると、森の中を歩く剛毛熊の群れがいた。


「確かにそうだね。……そうだ」

「ん? どうした?」

「あの剛毛熊の群れとイバラトカゲを戦わせよう」


 戦わせるか……。でも二級と三級だぞ。実力差で剛毛熊の方がすぐに負けんじゃねぇか?


「……それ、行けるかも知れない」

「ああ。強さではイバラトカゲの方が強いが、剛毛熊の群れが相手なら時間は掛かるだろうな」

「そうなのか? んじゃあ、それで行ってみるか」


 作戦を始めると、まずフォクサーが魔法銃で撃った魔力弾をイバラトカゲに当てると、イバラトカゲの目がゆっくり開いてゆっくり起き上がる。

 続けてフォクサーが剛毛熊の群れの近くに魔力弾を撃つと、地面に着弾すると同時に爆発が起き、剛毛熊の群れとイバラトカゲは同時に振り向くと、互いに目が合った。


『グオォォォォォォォ!!』

「グゥゥゥゥゥゥゥ!!」


 咆哮を上げ、互いに向かって走りだしたイバラトカゲと剛毛熊の群れがぶつかり合った。

 イバラトカゲに剛毛熊が飛びかかり纏わりつくと、イバラトカゲは振り払い、口から火球を吐いて剛毛熊を吹き飛ばす。

 だが剛毛熊は諦めずイバラトカゲに襲い掛かる。


「よし。今の内だ」


 キルカが茂みから飛び出すと、ルブの実が生ってる木まで走り、ルブの実を採ると走って戻ってきた。


「採れた。全然こっち見もしないな」

「良かったな。じゃあ気付かれる前に行こうぜ」


 俺達はイバラトカゲと剛毛熊に気付かれない様に森を出た。


――――――――――――――――――――


 王都に戻った俺達は、宿に着くとキルカが仲間が寝ている部屋のドアを開けた。


「キルカさん。皆さん。戻りましたか」


 部屋に入ると、ベッドの横に座っていた小人族の少女がキルカの元に歩み寄ってきた。


「ああ。ティミナ、ユアーナの様子はどうだ?」

「まだ寝ています。けど、熱が少しづつ上がってきていて」


 ティミナと呼ばれた少女が心配そうな顔でベッドに目を向けると、ベッドには長い茶髪のエルフの少女が息を荒くして横になっていた。

 顔色も悪いし、ホントにヤバそうだな。


「ユアーナ……。先生。薬の材料だ」


 キルカは集めたルブの実が入ってる袋を、部屋にいた医師に渡す。

 あの医師、宿で見た奴だな。

 その医師は袋の中を見て確認する。


「はい。これだけの量なら十分です。急いで作りますのでお待ちください」


 医師は部屋を出て薬を作りに行くと、ティミナが俺達の方を見る。


「あのー、この人達は?」

「ああ。彼等は、ルブの実を採るのに協力してくれた冒険者だ」

「よろしく。んじゃあ俺達は、依頼の報告にギルドに行くからよぉ」

「分かった。ありがとな」


 俺達はキルカの仲間が寝ている部屋を後にしてギルドに向かった。


「はい。剛毛熊の群れのボス討伐、完了です」


 依頼の報告を終えた俺達は、今後の事を話し合った。


「で。これからどうする?」

「もう少し滞在したら、今度はドワーフ領に行こうと思う」

「ドワーフか。ここからはどうやって行くんだ?」

「東……正確には東南の方かな。行くにはエルフ領を通らないと駄目なんだ」

「またエルフ領か。ま、しょうがねぇか」


 次の目的地も決まったし、光族の仕事に戻るか。


――――――――――――――――――――


「…………んん」


 数日後、ユアーナが目を覚ますと、傍らで見守っていたキルカが立ち上がった。


「ユアーナ!」

「……キルカ君?」


 ユアーナは起き上がると、キルカは肩に手を乗せる。


「大丈夫か? 体調は?」

「ええ。もう大丈夫」

「良かった……。何か食べられそうか?」

「少しなら」

「分かった。貰ってくる」


 キルカは宿の従業員に頼んで簡単な食事を頼んだ。


「あ。一つ聞きたいんだけど、この宿に泊まっていた人間の五人組の冒険者はまだいる?」

「人間の五人組……ああ、あの人達ですね。あの人達なら、今朝宿を出ましたよ」

「そうか……ちゃんとお礼言えなかったな」

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