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獣人族領③

「うぅぅぅ~……」


 王都に着くと、酔いに襲われながら俺は馬車から降りた。

 少しづつ酔いが治っていき、完全に酔いから醒ますと王都の街並みに目を向ける。

 木製の建物しかなかったエルフの王都に比べて、ここは石造りの建物もあるな。


「じゃあ宿行こっか」

「ちょっと待ってくれ~。俺酔いから醒めたばっかだぞ~」

「じゃあ大丈夫じゃない」


 俺を尻目にアスレル達は宿に向かった。

 もうちょっと長男を労わっても良いんじゃない?

 宿に着いた俺達は部屋を取った。


「じゃあ次はギルドだね」

「おぅ。今度は受けられる依頼があると良いな」

「ランク上がって受けられる依頼増えたから大丈夫だよ」

「そうよ。あとはランクに相当する依頼を受ければ良いのよ」


 Cランクに上がって、大体中級ぐらいの冒険者になったから、これなら多少強い魔物と戦っても変に思われねぇはずだ。

 ……多分。


「ん?」


 宿を出ようとすると、受付のカウンターで白衣を着た山羊の獣人族の男が、宿の従業員のリスの獣人族の女と話しているのが見えた。


(あの男、医者っぽいが客には見えねぇ。宿に病人でもいんのか?)


 ちょっと気になったが、あんまり気にすんのは良くねぇな。

 気にしない事にし、宿を出ると俺達はギルドに向かった。


「うん。やっぱり受けられる依頼が増えてる。ランクアップの話を受けて正解だったね」

「それは良いが、どの依頼にする? 増えたって事はその分悩むだろ」


 大体俺達が受けられるのは、依頼ボードの真ん中の初心者向け寄りの方だな。

 確かに受けられそうな依頼は増えたが、まだ上級者向けの方が多いな。

 やっぱ魔物も、生存競争とかで弱いのが減ってんだろうな。


「とりあえず適当でいいだろ」

「ん~……じゃあこれにしよっか」


 メイトが選んだ依頼は、『剛毛熊の群れのボスの討伐』。


――――――――――――――――――――


 王都を出て森の中に入った俺達は、依頼の標的の剛毛熊を探した。

 今回の依頼、わざわざ群れじゃなくて群れのボスの討伐なのは、剛毛熊の群れは統率力が低く、勝手な行動をすることが多いらしい。

 だからボスがいなくなるだけで、すぐにバラバラになるらしい。


「統率力ねぇのに、何で群れるんだ?」

「あくまで食料調達をしやすくする為みたいだよ。そうやって格上の相手や群れの相手を襲うみたい」

「確かにそれなら効率が良いのかもな」

「まぁ、食べ物の奪い合いとかがよくあるみたいだけど」

「逆に効率悪そうだね」


 群れを探して数時間、俺達は剛毛熊の群れを見つけた。

 茂みに隠れて様子を見ると、その中で一匹、他より大きい個体がいた。


「いたね」

「一匹だけデケェのがいるな。あれがボスか?」

「でしょうね。あれだけ大きいし、毛の色も濃い」


 見つけたのは良いが……依頼の目的は群れの殲滅じゃなくて群れのボスの討伐だ。

 問題は、群れのボスを群れからどうやって切り離すかだ。


「で、どうやって群れのボスを切り離す?」

「そんなの簡単よ」

「あ?」


 アスレルは立ち上がると俺の後ろに回り込み、俺を蹴飛ばした。


「は?」


 俺は茂みから飛び出すと、剛毛熊の群れは俺の方を一斉に見た。


『ゴオォォォォォォォ!!』

「アスレルテメェェェェェェェ!!」


 すぐに振り返って走りだすと、俺に狙いを定めた剛毛熊の群れは追いかけた。


「それじゃあ、ガクラが追われてる隙に、フォクサーが魔法銃を使って上手くボスを群れから切り離すの」

「分かった。ある程度離れたら、魔法銃で取り巻きの動きを止めるよ」

「多分群れが襲われてもあまり気にしないと思うから、そんなに慎重に行かなくて良いと思う」

「そこは統率力の無さが役に立つな」

「呑気に喋ってねぇで早くしろぉぉぉ!!」


 剛毛熊に追いかけられて数分後、木の上からフォクサーが魔法銃を撃ち、取り巻きの剛毛熊に命中すると、剛毛熊の動きが止まりその場で膝を着いた。

 取り巻きが動けないにも関わらず、ボス剛毛熊は気にせず俺を追いかける。

 ホントに統率力ねぇな。

 だが、取り巻きと結構距離が出来たし、これで……ボス一匹だ。

 俺は振り向くと同時に鞘から大剣を抜き、剛毛熊を吹き飛ばした。


「悪いが、俺のイライラ解消に付き合ってもらうぞ」


――――――――――――――――――――


 剛毛熊のボスを倒した後、丁度足止めされていた取り巻きがやってきて、俺達は急いでその場から離れた。


「流石群れのボスだったな。前に倒したのよりタフだった」

「そうじゃないと群れのボスなんて成り立たないでしょ」


 依頼を終えて王都への帰り道、森を出ようとしたところ、そんなに遠くない所から物音が聞こえ徐々に近づいてきた。


「何の音だ?」

「分かんねぇが、嫌な予感がする」


 その予感は的中し、後ろから数人の冒険者が走って来ると、その後を追うように虎模様の大きな四本足の蜥蜴の魔物がいた。

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