エルフ領⑦
「クアァァァァァァァ!!」
俺達に気付いたバットクロウは咆哮を上げると、俺達に向かって口から火球を吐いた。
火球を避けると、バットクロウは続けて何発も放ち、これらも避けていく。
「おい! アイツぶっ飛ばして大丈夫か!?」
「止めといた方が良いと思う。誰も見てないと限らないし。相手は二級だもん。もし見られていたら、また変に思われる」
「それは面倒だな。じゃあ……」
俺達はアイコンタクトを取ると、バットクロウに背を向けた。
「逃げろぉぉぉ!!」
全力で走りだし逃げると、バットクロウは俺達を追いかけた。
バットクロウは火球を吐きながら俺達を追いかけ、俺達も火球を避けながら逃げる。
「なぁ! コイツしつけぇし、もう誰も見てないって事で良いか!?」
「いやいやいやいや! もし誰かいたらちょっと危な――」
「よっしゃ、行くぜガクラ!」
「おうよ!」
俺とエグラルは足を止めて振り返ると、バットクロウに向かって跳び、俺は大剣を叩きつけ、エグラルは拳を突き出しバットクロウに当て地面に叩きつける。
「あ~あ。もう知らないよ僕」
「ま、私もこのまま逃げ続けるのは嫌だったし、誰も見てないって体で行きましょ」
アスレルも鞭を手に持って走りだすと、火球を吐こうとしたバットクロウの嘴に巻き付け嘴を閉ざす。
バットクロウがジタバタと暴れ出すと、俺は大剣をバットクロウの背中に突き刺し、エグラルが腹に拳を叩き込むと、バットクロウは倒れた。
「よし。コイツを大嘴鳥の代わりにしよう」
「いや、無理だと思うよ。似てても危険度が断然大違いだもん」
「やっぱり、嘘の報告をするしかないかな?」
「そうするしかないね。気配を探ってみる限り、近くには誰もいないみたいだし」
討伐対象の大嘴鳥は逃げちまったし、まぁコイツが倒したから依頼完了で良いか。
――――――――――――――――――――
「バットクロウですか。もしかしたら、最近の大嘴鳥の異変は、それが原因かもしれませんね」
王都に戻った俺達はギルドに依頼の報告をした。
一応、討伐対象の大嘴鳥はバットクロウが倒しちまったが、そのバットクロウを倒したから、実質大嘴鳥を討伐したと言っても良いはずだ。
まぁ、バットクロウを倒したって報告はしないが。
「それで、そのバットクロウはどうなりました?」
「大嘴鳥を何体か倒した後、俺達に気付いて襲い掛かってきたから逃げてきた。だが大嘴鳥を一体討伐はしたぞ」
「分かりました。では依頼は成功とします」
報告を終えた俺達は、ギルドの中の酒場の席に座った。
「大丈夫だよな? 流石に」
「う~ん、多分ね。人の気配は無かったし」
「戦った時間は短かったし、バレねぇバレねぇ」
そう思った次の日。俺達は冒険者ギルドを訪れると、受付嬢からある事を聞かされた。
「実は昨日、森でバットクロウを倒した五人組を遠目で見かけたって言う冒険者がいたんですけど、報告が無くて。貴方方は知りませんか――」
「「「「「知りません」」」」」
誰かに見られてたよ。
知らぬふりをした俺達は席に座った。
「おい。見られてたっぽいぞ」
「だが遠目って言ってただろ。なら大丈夫なはずだ」
「確かに、姿はハッキリとは見られてないと思うけど、だからと言ってバレない訳じゃないし……」
「心配し過ぎだ。まぁ、魔王についての情報も少しは手に入ったし。大嘴鳥の問題も解決したっぽいしな」
さっき受付嬢から聞いた話だと、やはりあのバットクロウが原因だったのか、気が立っている大嘴鳥が減っていて、大人しくなったらしい。
数が減ったのも、理由の一つかも知れないとの事だ。
「まぁ、もう少ししたら次の町へ向かうか」
「そうね。次は何処?」
「そうだねぇ。次は北に行って、獣人族領に行こうと思う」
獣人族の領か。
さてさて。どんな所だ?




