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エルフ領⑥

「おぉぉぉ、美味いなコレ」

「エルフ領の自然で育った果物で作られた酒だからね」


 調査の為、情報を集めるとしたら酒場だろうと考えた俺は、酒場を訪れて美味い酒を飲んでいた。


「いやぁ~、にしても最近は大変だよな。魔王が出るわ、魔物が凶暴かするわで」

「そうだなぁ。此処を訪れる冒険者や騎士達も、最近は疲労感満載の顔ばかりだ」

「……早く魔王が倒されると良いが、そう言えば魔王って何処にいるんだろうな?」


 ちょっとわざとっぽいか? って言うか酒場の店主でも知ってんのか?


「あー。各国でも血眼になって探してるみたいだしな」

「ん? って事は、魔王の居場所は分かんないのか?」

「え? そうらしいぞ? 魔族が住んでいた島にもいなかったみたいだし。と言うか、その島に魔族が一人もいなくなったみたいだからな」


 魔族がいなくなった?

 何だそれ? 魔王の出現と関係あんのか?

 一応気になる情報を得たから、俺は酒場を出た。


「魔王の居場所は分かってねぇのか。魔族が住んでる島にもいないらしいしなぁ」


 腕を組んで頭を悩ませていると、偶然メイトとバッタリ会った。


「おぅメイト。何か情報は入ったか?」

「一応ね。そっちは?」


 俺はさっき酒場で店主から聞いた話を話した。


「魔王の居場所が分かっていない、か……。ちょっと厄介だね」

「ああ。分かってたら潜入して調べようかと思ったんだが……。で、メイトはどんな情報を聴いたんだ?」

「一応、今王都で悩まれてる問題かな。なんでも今は大嘴鳥(おおくちばしどり)って言う魔物に悩まされているみたい」

「何だ、その魔物?」

「名前の通り嘴が大きい鳥の魔物だよ。臆病な性格で、推定ランクはEだから僕達でも問題無い相手なんだけど、最近気が立ってる様子をよく見られるらしいんだ」

「ふーん。まさか気が立ってるってだけで問題なのか?」

「それもあるけど、一番は大嘴鳥が群れで行動しているって事なんだ。だから最近被害が多いらしい」


 気が立ってる魔物の群れか。それもそれで面倒そうだな。


「冒険者ギルドに討伐依頼が来ても、群れだから推定ランクが高めなんだって」

「道理で初心者向けの方に貼られて無ぇ訳だ」


 少なけりゃあ俺達も受けられるかも知れねぇんだよな。

 何か迷った一体だけとか言う依頼来ねぇか……ん?


「おい。あれアスレルだよな?」

「うん。どう見たってそうじゃん」

「あいつ……何してんだ?」

「パフェ食べてるね」


 とあるカフェの中で、アスレルがパフェの様なもんを食ってやがる。

 調査を終えたから食ってんのか? それともサボりか?


「何してんだお前?」


 店の中に入った俺とメイトは、呑気にパフェ食ってるアスレルの元に行った。


「え? 限定パフェって書いてあったから」

「そうじゃねぇよ。調査したのかって聞いてんだ」

「これ食べ終わってから」

「それ、やらない人の台詞だよね」


 このド甘党め。

 しかもこのパフェ、コイツの好物のイチゴがふんだんに使われてるじゃねぇか。

 それじゃあコイツ我慢出来ねぇよ。


――――――――――――――――――――


 アスレルがパフェを食い終わるまで待ち、俺達は一回宿に集まって集めた情報を言い合った。


「結局僕達が手に入れた情報は、魔王の居場所が分からない事と、今この王都では大嘴鳥の群れに悩まされているって事だね」


 俺とメイトが手に入れた情報と変わんねぇな。

 魔王の問題が目立ちすぎるのか?


「情報を少しでも得られたのは良いかな。魔王の居場所が分からないのは少し予想外だったけど」

「何年も前から活動しているのにも関わらず、居場所が判明していないって言うのは不思議だね」

「魔族の島には魔王どころか、魔族が一人もいねぇって話だ。マジで何処に居るんだ?」


 行き詰った俺達は、考えてもしょうがないって事で、一旦冒険者ギルドに向かった。

 ギルドに入ると、この短時間の間に貼り出されている依頼が増えていた。

 しかも丁度、俺達のランクでも受けられる依頼があった。


「これって、大嘴鳥の討伐依頼だね」

「最近王都で悩まれてるって魔物か? だが群れじゃ無かったっけか?」

「この依頼によると、一体だけみたいだね。多分、群れから逸れたんじゃないかな?」


 一体だけなら俺達でも受けられるな。

 群れだとCランク推奨って書いてあるしな。


「じゃあ、これ行ってみますか。やっぱ、体動かさねぇと落ち着かねぇ」

「俺も同感だ」


 俺達はその依頼を持って受付に行った。


――――――――――――――――――――


 早速大嘴鳥がいる森に来た俺達。

 大嘴鳥を探していると、奥の方から鳥の鳴き声の様な声が聞こえた。


「今のは大嘴鳥か?」

「分かんないけど、行ってみよう」


 声が聞こえた森の奥へ向かうと、そこには確かに大嘴鳥がいた。

 しかし想定外な事が二つあった。

 一つは、一体ではなく群れ。

 そしてもう一つは、その群れを別の魔物が襲っているという事だ。


「あの魔物、大嘴鳥に似てる気がするけど、違う魔物?」

「あれは……バットクロウって言う、大嘴鳥の近縁種だって。見た目は似てるけど、性格は正反対でとても攻撃的なんだって」

「だろうな。たった一体で10体程の群れを襲ってるんだからな」


 今俺達の目の前では、バットクロウが大嘴鳥の群れを襲う光景が空中で繰り広げられていた。

 バットクロウは口から火球を吐いたり、大嘴鳥の尻尾を咥えて投げ飛ばしたりと猛威を振るっている。


「なぁ。バットクロウってどのぐらいの強さなんだ? 大嘴鳥を圧倒してるが」

「図鑑によると……バットクロウは二級に当てはまるって」

「二級か……じゃあ止めといた方が良いわね。もしまた人に見られたらまた面倒だし」

「だな。仕方ねぇ。こっから離れるか」


 俺達は気付かれない様にその場から離れようとした。

 すると、大嘴鳥の一体が俺達の近くに投げつけられ、俺達は足を止めると、バットクロウが俺達に気付いて目を向ける。


「おいヤバい。見られてる」

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