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12 エピローグ あるいは始まりの舞台
眩しい光があたしを照らす。
あたし自身が天井へ放った魔力光だった。
明確な光の強さが、くっきりと暗闇を切り取っている。
これはリハーサル? それとも本番?
知ったことじゃない、どっちでも変わらない。
腕を伸ばし、天を仰ぐあたしは視線を意識する。
暗闇から見つめる目だ。
一人は、フウさん。
心配と期待の入り混じったもの。
両手をぎゅっと握って祈るような格好をしている。
一人は、監督。
侮蔑と鋭さと少しの夢。
いつものように壁によりかかって挑むような顔をしている。
もう一人、ここにはいない人を、目を閉じ思い浮かべる。
ここにあの家の子がいたら、どうだろう。
どんな顔をするだろう。
ワクワクした顔で見つめるかも知れない。
ポカンと口を開けて呆然とするかもしれない。
家もあそこに立ちたいと、悔しそうな顔をするかもしれない。
どれでも構わない、なんだっていい。ただし――
――その心に残った「アイドル」は全部上書きしてやる。
どう見ても未熟で有名にはなれそうにないアイドル。あんなものにいつまでも心を奪わせておくわけにはいかない。
一つ残らず消し去る。カケラも残さない。
そのための動きを、歌を、踊りを今からする。
あたしは目を開く。現実の光景が飛び込む、眩しいまでの舞台上。
息を吸い込み、一瞬の間を開け――
第一声を高く、高く、歌い上げた。
二章 了




