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苦手な方はご注意ください。

明日が世界の終わりだったとしても

作者: 咲結

5月30日午前6時

フォロー中0人、フォロワー0人の男が呟いた

『明日世界が終わる』

それでもフォロー中・フォロワー共に0人の男の呟きなど

普段であればネット内の数多くある一つでしかないから

大勢の目に止まることなんてないはずだった。

だが、フォロー中361人、フォロワー10万人超えの女

俗に言うインフルエンサーの一人が

その呟きに対して

『明日世界が終わるなんて誰にも分かるはずがない』と

冷やかしの意を込めて自身で呟くと

流石はインフルエンサーと言ったところだろうか、

インフルエンサーのフォロワーの中の人間で

その男の呟きを信じる者が出てきた。

そして、その呟きを信じた者たちは

瞬く間に自分の大切な人に届けようと拡散を始め、

新たな情報を一早く取り入れようと

男をフォローする者まで現れた。

そして、5月30日6時15分

ニュース速報で男のアカウントと共に呟きが公開された

15分という差があるのは速報としては遅いのかもしれないが

少なくともこんなちっぽけな人間の呟きがニュース速報されているのだからそれだけで世界中が驚いたはずだ

何故なら、私が驚いたのだから世界中の人間が驚いたに違いないと思う。

私は人間というのは70億人居ると言われているが作られた構造などは然程変わらなくただ己の使い道で変わるだけだと思う。

そして、驚きはしたものの私は別に明日世界が終わろうと続こうと正直私は興味がない。何故なら世界が終わろうと続こうと今日やるべきことは変わらないから。

だから、私はそのニュースを横目に昨日と同じように毎日のルーティーンであるSNSで寝起きで眠いということ、今日はバイトなのに寒さで体が動かないということ、そんな下らないことを呟いた後、個別でメッセージを送ってくれてる人に対して一つ一つ返信していく内に家を出る時間が迫ってきて全員に返信しきれないまま今日も『服はどれを着ようとか?』『メイクの完成形は美形か可愛い系か?』『アイシャドウの色は何色だとか?』そんなことを騒ぎながらなんとか服を決め、アイシャドウは無難な色を選び、完成形もそれなりの可愛さに纏めて髪型をどうしようか?そんなことを悩んでる間にあと3分で家を出なきゃいけないことに気づいて『時間がないーー!!!!』などと叫びながら簡単に髪をまとめて前髪を軽く巻いて家を飛び出すようにしてバイトに向かう。そして、バイト先までの電車の中でさっきの続きで返信をする。そして、バイトでは色んな先輩に可愛がられながら私が直接悪い訳でもないのに相手に不快感を与えないようにするために必死に頭を下げる。そんなこんなをしていてバイトが終わってまたSNSで呟く。バイト疲れたぁー、あれ失敗した、これ失敗した、でもこれ学んだみたいなこんなのを見て誰が得をするのかも分からない呟きを投稿する。そして、朝上げた投稿のコメント欄を確認する。『頑張って』とか言う決り文句のフレーズが4個か5個並びながらそれぞれ思い思いのハートやグッドや驚きなどの表情豊かなスタンプが送られている。

でも、それに返すのも正直面倒くさくて最近は読んで終わりしている。

次に個別でのメッセージを確認するとこれまた思い思いのことが送られてくる。『今日は天気がいい』だとか『寒い』だとか『今日の夜通話しようね』だとか『学校潰れねぇかな』だとかホントに思い思いだ。そのメッセージに思ったことをそのまま返信していく中で一つ、目に入ってきたのがグループメッセージだった、そこには朝私が横目で見ていたニュースにも流れていたあの男の呟きがスクリーンショットで送られて『明日世界終わるとか俺小説とかでしか読んだことねぇ!なんかテンション上がるよな?』と私の5個下の男の子が言ってる。それに対してまだ誰も反応していなかったので多分、みんなはその子のメッセージを読んでいないんだろうと思いながら私は『まぁ、小説とかでしか見たことないけど別に明日世界終わろうとどうでもいいよね?だってやること変わらないし、明日で世界終わるから今まで仲良くしてくれた人に感謝しなきゃとか言うなら日頃からしとけって思うし、最後になっちゃうからって変に優しくされるのも私は好きじゃないし、だったら今までの日常を今までの日常として過ごしていたいなって思う。』と返信してすぐに既読が5付いたのできっと、見てはいたけどもなんて反応したらいいのか分からなかったのだと思う。

そして、私が返信したことを機にそのグループのメンバーは各々思ってることを言い出しグループでの話が盛り上がってきたので私はそこのグループの通知を閉じた。そして、気にならない気にしないとは言ってるもののやはり少しは興味があるのでその男の呟きを見に行く。そうするとその話題の呟きに対してのいいねは1000をも超えていて、コメント数は1万を越えようとしていてシェア数は5000ほどだった。正直驚いた。私たちが使ってるアプリはどちらかと言えば連絡を取る用のものであり、SNSの中では一番影響力が弱いと言われているところでそれ程の数を叩き出していることに。これはある意味認めざるおえないのではないかと思ったが、だからと言って私はさっきもグルで送った通り生活なんかを変えたくない。死ぬことへの恐怖はないけどもそれでも、変に優しくされるのは嫌だった、

だから、昨日と同じように私は家に着いてから勉強をしてSNSで馬鹿騒ぎをして、自分の中のお気に入りの友達と通話をして寝た。



そして、問題の5月31日

朝から親に叩き起こされた、今日は特に何か予定がある訳でもないのに

親に起こされリビングに行くとそこには妹、弟、父、母。私以外の家族全員が今まで見たこともないくらいに笑顔で『おはよう』と声を掛けてきた。私は何がなんだか分からなかったが母の次の一言で全てを理解した。

『普段はそれぞれ忙しくて一緒に顔を合わせる時間がないけど今日くらいはみんなで食べましょう』

その言葉が、私の一番イヤなことだった、世界が終わるからとか最後だからとか言って特別なことをする。それが嫌だった、だけど、家族のその笑顔を見たら私は自分の気持ちを言うことすら出来なく『そうだね』と同意して席について家族団らんを久しぶりにしてご飯を食べた。そして、ご飯を食べ終わっても家族の様子は変わることなく今までなら言わなかったありがとうを簡単に言うようになった。不気味に思ってSNSの世界に飛び込むと私と仲良くしている友達の大半は家族と同じになっていた。私にはその現象がなんかのウイルスに吸い込まれていくかのように思えて私は私を見失ってはいけないと思い。昨日と同じようにくだらない話を呟いた。なのに今日のコメント欄は異様だった、『そんなことでいいの?』『今日世界が終わるんだよ』『苺紡ってやり残したことないの?』と色々言われた。やり残したこと、と言われて真っ先に思いついたのは想いを寄せてる人だった。高校2年生。青春と言われる時期だから好きな人が居たとしても別に違和感はないがそれでも、やり残したこととして思いを寄せる人を思い浮かべたのは違うと思って頭を軽く振りその人を消そうとしても消せないので頭の片隅に寄せたということにしておく。それから、色々なことを思いついた。夢を叶えるとか会いたい人に会うとか日本一周旅行に行きたいとか色々。でも、考えを戻す。別に今日終わると騒がれているけども100%そうだと決まった訳ではないのだからと言って本音の上に強がりを被せて今日も一日自由に思い思いに過ごして5月31日があと5秒で終わるとなった頃に夢だったというオチで話が終わり安心した。


そして、そこで目が覚めた。


前も後ろも右も左も何も見ないただの暗闇。手を伸ばすけども手を伸ばしてしまうと手を伸ばしているという感覚だけで視覚としては手が暗闇に消えて見えなくなる。怖くなり母を呼ぶも返事はない。父を呼ぶも返事はない。弟を呼んでも返事はなく、妹を呼んでも今まで同様返事はない。いよいよ怖くなってきた私はひたすら知ってる人の名前を呼び続けた。家族。友人。バイト先の先輩。ネット内での友達。フォロワー。だけども誰一人として返事は帰ってこない。私は(果たして今日はいつだろう?)と思うもスマホはなくカレンダーもない。確認する術もないままとりあえず思った、(あの男の呟きがホントに起きたの?)とそして、その男のプロフィール名を呼ぶ。『あの、すみません。無名人間さん。』と私が震える声で出した時だっだ、やっと、返事が聞こえた。年齢は30代くらいの男性のような声だった、その人は『君は最後まで僕の情報を信じなかったね、途中信じそうになっていたけど。ちなみに僕の情報を信じた人たちはみんな苦しむことなく死んだよ。だけど君みたいに僕の情報を信じなかった人たちだけは今こうやって話をしているんだ。どうして君は僕の情報を信じなかったんだ?』と勝手に説明をして挙句の果てには質問をしてきた。だから私は自分の思いを伝えた。『私は明日世界が終わるとか言われても後悔しないんです。会いたい人に会えないのは寂しいし、思いを寄せる人になにか出来なかったのも残念だし、日本一周の旅行に行けなかったのも残念です。でも、人っていつ死ぬか分からないじゃないですか?だったら毎日願望が叶わなくてもやりたいことをやって思ったことを伝えて感謝と謝罪は忘れずに生きよう!って思ったんです。だから私はSNSでも現実でもどんなことでも感謝してきました、何か非があると思ったら謝ってきました。だから明日世界が終わると聞いても特別誰かに何かを伝える必要がなかったんです』私の返答を聞いたその男の人は『実を言うとこれは日本政府からの頼みでね、ネットの情報に踊らされてる人間が多すぎるからってことで踊らされた人間はそのまま眠りについた時点で死を。踊らされなかった人間には理由を聞いて死をというわけだ。だから君が5月30日に寝て『夢だった』ってオチの夢を見ただろ?そこで目が覚めたのは踊らされなかった人間だけだ。踊らされた人間はオチを知る前に死んだ。』と言って私の意識は消えた。

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