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没落お嬢様の荷物持ちやってたら世界救ってました。  作者: 肋骨亭
第2章〜力不足を嘆いていたら人外になってました〜
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33. 捜索

◆◆◆◆◆



混沌の森を無事に抜け出し、帝都へと帰ってくることに成功したものの、クエストの目標であったヴォルフ討伐は成し得たわけではない。<深眼の孤狼>にとって初となるその挫折は、高く飛び立つための助走となるか、はたまた破滅への一因となるか。




「一度、クィンさんのところまで行こうと思う」

「はて、何か用事などありましたっけ?」

「この間の混沌の森で僕は魔族化しただろ。あの時、僕の体に何が起こっていたのか知りたくて。クィンさんなら何か分かるかもしれない。もしかしたら、暴走せずに制御する方法も」


ティナは目を瞑り、うぬぬ〜と唸りながら思案する。


「彼女はあまり得意ではありませんが、確かにあの力については色々と知っておくべきですわね。して、何処にいるのかご存知で?」

「いや、全く?」

「そんな気はしてましたわ……」



◆◆◆◆◆



ノインたちが宿屋暮らしだった頃は、クィンは自ら宿屋に出向き、ノインの稽古をしていた。それゆえ、普段どこに居て何をしているかなどは全く分からなかった。2人は心当たりのある場所を片っ端に当たっていくことにした。


「候補その1! 前住んでた宿!」

「確か、ノインがここで素振りをしていたところをクィンに見つかったのでしたっけ」

「そうそう、時間帯も今ぐらいだったし、張っていれば来る可能性は高いっ。けどまあ、一応話を聞いてみようか」


店主に声をかける。この店主は、ノインたちが連合の寮に引っ越すという話をした際にしつこく引き止めた人物でもある。


「ああ、あのキリッとした女の人ね。最近は見てないよ」

「えぇっ、そんな〜……」

「丁度あんたが出てった時ぐらいからかね。元々この辺は用がなきゃ来ないようなとこだし、ノイン目当てだったんだろうねえ」

「だとしたらあの時はどうして僕を……? まあいいや、ありがとうございます」

「はいよ、またいつでも来な」


当てが外れたが、元より謎の多い人物であるため、一筋縄ではいかないことは覚悟していたため大した心労はない。気を取り直し、次なる候補へ向かう。


「候補その2! 候補というか、ただの情報収集なんだけどね」

「って、私達の連合(トゥリプノア)じゃありませんの。ここに何か手がかりがありまして?」

「確証は無いけど、ヒントぐらいなら得られるんじゃないかな」


そう言い、たどり着いたのは連合の長、クロネの部屋だった。狐の仮面と着物を身にまとい、彼女はノインを追い出すでもなく、もてなすでもなく、ただ彼の言葉を待っている。


「失礼します、ちょっと聞きたいことがあって。クィンさん──帝都の騎士団長のことなんですけど」


仮面の耳がぴくりと動いた──ような気がした──。興味がわいたのか、クロネはそれまで見ていなかったノインの方に顔を向けた。


「確か、あんさんの師匠やったっけなあ。あの女の何が聞きたいん?」

「何処にいるのか知りたくて。僕が抱えてる問題の解決法を知ってるのはクィンさんだけのような気がするんです」

「なんやそれ、ウチじゃあかんの?」

「クロネさんにはいずれ、時が来たら話しますから……」

「ふうん。なんか妬けてまうなぁ。ウチ、ノインのこともっと知りたいわぁ……」

「なッ!?」


艶っぽさ3割増しの声と、はだけさせた着物から露出する谷間に思わず赤面するノイン。その顔を見て、ティナはノータイムで頭を叩いた。


「お馬鹿っ、あんなの真に受けるんじゃありません! からかわれているだけですわ!」

「なにも、そんなに強く叩かなくても……っ!」


ビリビリする頭を抑えるノインと興奮し息を荒らげるティナを、漫才でも見ているかのように口元を抑え上品に笑うクロネ。


「話を戻そか。結論から言うと、ウチにもわからん」

「おぉう……」


緩んでいた口元をスンッと一の字にし、何事も無かったかのように話を進めるクロネ。真面目な時とそうではない時とでえらいテンションの変わりようである。


「ま、この辺でよう見るっちゅう情報はあるけど……タダでってわけにもいかんやろ?」


その瞬間、彼女の周囲の雰囲気が突然重くなる。なんだ、金か!? と一瞬身構える2人。緊張しつつ、続きの言葉を待つ。


「せやなあ……1ヶ月修練場の片付けと掃除とかでどないや?」

「地味っ!」


拍子抜けしたものの、修練場は身体を鍛えるための器具が多い。そこの片付けとなると、重労働を強いられるのは間違いない。


「わかった……やりましょう!」

「そう言う思たわ〜。よろしゅうなあ。あ、スキルは使(つこ)うたらあかんで」

「くっ、流石は連合のボス……」

「そんなことより、クィンの居場所についての情報をくださいまし」

「せやったね。ほんで、その場所言うんはな……」



◆◆◆◆◆



「で、結局ここなんだ」

「どちらにしろ来るつもりでしたのに、もしかして面倒事を押し付けられただけなのでは?」

「そうかもしれない……!?」


彼らが最終的に辿り着いたのはクエストギルド。確かに、ノインたちがクィンに呼び出されたりするのは決まってここだった。冒険者が集う場という事もあって、騎士団長である彼女とも何かと関係があるのだろう。


「と、とにかく話を聞いてみよう」


と、カウンターにいる職員に話しかけようとしたところ、目の前に突然壁が現れ、ノインは倒れ込んでしまった。


「いてて……って、ええ!?」

「なんだボウズ。喧嘩なら買うぞ!」


壁が喋ったわけではない。というより壁ではない。ノインがぶつかったのは、全くと言っていいほど老いを感じさせない大きな体躯を持った老人だった。


「貴方はもしや、じいやではなくて!?」

「えええっ!?」



◆◆◆◆◆

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