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没落お嬢様の荷物持ちやってたら世界救ってました。  作者: 肋骨亭
第2章〜力不足を嘆いていたら人外になってました〜
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28. 道具

◆◆◆◆◆



「ここが今日からあんさんらが帰ってくる部屋どす。1階には食堂やら救護室やら……ま、使いながら覚えていけばよろし」

「ふむ……前の宿より断然広いですわね!」

「そら2人部屋やからなあ。あ、ベッド分けてたんはお節介やったかな? 今からでも1つのベッドに──」

「いやっ、このままで大丈夫ですッ!!」


冗談混じりに口元を抑えながら上品に笑うクロネ。ノインにとって歳の近い異性と再び同衾することは死活問題ゆえ、顔を真っ赤にして拒否した。


「さよか。ま、気が変わったらいつでも言いや」

「初めて会った時とはえらい雰囲気の変わり様だ……。やりずらい」

「ボスは案外お茶目なんだよ。初対面の相手だとあの時みたいにトゲトゲしてるけどね」

「ああしてた方が格好つくやろ? ま、ちゃんと納金せんかったら……あれより怖いことになるかもやなぁ」


そう呟いた彼女の口角は上がってはいたものの、その語調は空気を一変させるだけの圧を持っていた。


「まあそうビビらんでええ。ここではある1つの掟さえ守っとけばそんなことにはならん」

「掟?」

「心構えと言った方がええかも知らんな。その掟っちゅうのはな、『仲間は家族と思え。』や」


クロネから示された抽象的な掟。その内容に2人はポカンとした


「今はピンと来んかもしれんけど、ここで暮らしていけば真意と大切さが分かるやろ。」


そう言い残し、仕事があると残りの説明などアンリやリアンに任せて行ってしまった。


(せわ)しい方ですわねー」

「これだけの規模の組織の長ですから、当然といえば当然なのです」

「そんじゃ案内の続きをー! と思ったけど、ほとんどボスが説明しちゃったんだよね〜」

「だったら、この前の治療薬が買えるところに行ってみたいな。僕らの仕事に役立つものがあるかもしれない」

「そういえばまだ行ってなかったっけ。よし、そんじゃレパラんとこ行こっか」



◆◆◆◆◆



「たのもー! って、あれ?」


その部屋は全体的に暗く、大量の資料や小瓶が散乱している状況であった。


「レパラのことです。恐らくこの辺りに……やはり」


部屋に設置された椅子や机──もちろんそれらの上は散らかっている──の物陰に、うずくまる少女の姿が。


「あわわわ……知らない人の匂い……き、緊張する……」

「これからは知らない人ではなくなるのです。観念しやがれです」


物陰から引っ張り出される形でノインとティナの目の前に現れたのは、アンリやリアンと歳の近そうな、耳長族の少女だった。


「あうぅ……、レパラです……アイテムの開発と販売を任されてますぅ……」


リアンの背中に隠れつつ、否、実際にはリアンもかなり小柄なため全く隠れられてはいなかったが、その少女はレパラと名乗った。


「僕はノイン。あの薬、アイテムって言うんだ」

「せせ、正確には、アイテムは冒険の役に立つ様々な道具のことで……その薬はポーションといいますぅ……」

「レパラは凄いんだよ! 例えばこれっ! あれ?これってどう使うんだっけ?」


そう言って散らかった物の山から取り出したのは、スイッチが付いた鉄の筒。剣の柄程のサイズのそれには、△の中に!が描かれた怪しげなシールが貼られている


「あっ、それは試作段階の……!」

「あばばばばばばばば」


忠告は聞かないスタイルのアンリ。スイッチを押した瞬間に電流が体を走り回り、へんてこな表情で悶えている。


「私の開発したアイテムのほとんどは、こんな感じで使えないやつばっかりです……ちゃんとした商品はこちらに……」

「……」


ノインは何か思うところがある様子だったが、その場では話さずレパラの細々とした指が指し示した方向へ進んでいくことにした。


そこには棚に綺麗に並べられたポーションやロープ、用途が不明なものまで様々なアイテムが値札と共に陳列された部屋が続いていた。


「すごい……!」

「ここは裏口なので、入ってくる時は正面からお願いしますぅ……」

「相場がどれぐらいか分かりませんけど、このぐらいなら数本程度購入しておいても損はなさそうですわね」

「量産は連合の皆に手伝ってもらっているので、その分安く提供できてます」


棚を見漁っていたティナが話しかけると、背中からひょこっと顔を出して答える。どうやら単に人見知りというわけでもないようだ。


「私は冒険者として戦うなんてことは出来ませんが……少しでもみなさんのお役に立てるならと、こうして研究と開発をしてるというわけです。その分、失敗も多いですけどね……」

「失敗を恐れず、冒険者の為に……立派な考えですわね」


自虐的に苦笑するレパラに対し微笑みで返すティナ。


「とりあえずはこんなところかな? ま、おいおい慣れてきゃいーよ!」

「そっか。アンリさんリアンさん、今日はありがとう!」

「あー、その『さん』ってのやめない? もう同じ連合の仲間になったんだしさ! ティナも!」

「それもそっか。改めてこれからよろしく。アンリ、リアン」

「うんうん、よろしくね〜」

「よろしくです」



◆◆◆◆◆

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