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没落お嬢様の荷物持ちやってたら世界救ってました。  作者: 肋骨亭
第2章〜力不足を嘆いていたら人外になってました〜
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27. 指輪

◆◆◆◆◆



「連合?」

「そこからどす? 全く、ほんまに何も知らずに来はったんやなあ」


発言の内容とは裏腹に、どこか優しさを匂わせる語調で狐面の女は続けた。


「冒険者連合いうのは……、まあ、成り立ちはええか。言ってしまえば冒険者用の寮のようなもの。所属している冒険者は生活拠点や食事、それに」


ティナの包帯に巻かれた首元を見つめ、狐面の女性は棚から小瓶を1つ取り出し、投げ渡す。


「飲んでみなはれ。安心しよし、毒じゃないことは保証します」

「……?」


アンリやリアンの方を見やると、心配ないという様子だったので、ティナは小瓶に入った青がかった液体を喉に流し込む。


「! 傷が、癒えていきますわ……!」


包帯を取ると、元の白く透き通るような肌が露わになった。まるで、火傷など最初からなかったかのように。


「その薬のように、冒険に役立つ様々な道具を提供されるんどす。対価として私らは報酬のほんのちょびっと、30%ほどを頂戴してます。先程ティナ嬢が飲んだものも本来であれば購入してもらうもんやけど、今回はサービスということに」

「ふむ。感謝いたしますわ」


30%を「ちょびっと」と表現したことに対し、ムッとしたティナだったが、その気持ちは押し殺し、次の言葉を待った。


「概要としてはこんなところどす。細かいルールはあんさんらが入ると決まった時にでも」

「入るって……え?」

「なんや、そのつもりで来たんとちゃうん?」

「そのつもりで連れてきたのは間違いないです。アンリの説明不足です」

「さよか……。まあ、問題なんはそことちゃうからええわ。御二方、どないなん?」


2人は顔を見合わせた。


「僕は悪くない話だと思うよ。30%って支払い金もここの施設を自由に使えるって面では飲み込める範囲だし」

(わたくし)ははんた──もごごっ!?」


異論を唱えようとしたティナの口をアンリが塞ぎ、部屋の隅へと連れて行くと、他の者には聞こえないように小声で話し始めた。


「私たちがここに連れてきたのはね、2人とも一緒に暮らした……じゃなくて、ノインの監視のためでもあるのっ」

「監視、ですか?」

「そ。ノインが魔族化しないか監視しとくの。そしたらなんかわかるかもでしょ?」

「な、なるほど。まあ、あの時は状況が特殊だったからだとは思いますが、何かあった時に1人では心細いですものね」


ティナは元の位置に戻り、面の女性に向き直る。


「ボス、とお呼びすればよろしいのかしら。(わたくし)たち〈深眼の孤狼〉を〈トゥリプノア〉に加入させて頂きたく存じますわ」

「そういや自己紹介してへんかったな。ウチはクロネ。この連合の主をやっとります。ほんで、〈深眼の孤狼〉の2人の加入を認めます。ようこそ、我が荘園へ」


2人は互いに握手を交わし、ノインとティナの連合への加入が決定した。



◆◆◆◆◆



翌朝、ノインとティナは新しい拠点への移転のため、宿屋の部屋の片付けをしていた。アンリやリアンといった手伝いも込みで。


「こんな朝から悪いね」

「どうせ私たちも今日は暇だったし、いいっていいって!」

「それに、今日から貴方たちは仲間です。これくらいはさせてください」

「ふう。お2人の働きもあって、もうすぐ終わりですわ」


ティナの荷物をまとめていると、ノインが何かを見つけた。


「ティナ、これは?」


それは、小さな赤い宝石がはめ込まれた指輪だった。


「ああ、子供の時にお父様から渡されたものですわ。渡される時に何か言ってたような気もしますけど、覚えてませんの。当時はサイズも合いませんでしたし、捨てるに捨てられず……といったところですわね」

「てことは、今なら付けられるんじゃない?」


試しに右手の人差し指に付けてみると、指輪自身がその場所を求めていたかのようにすっぽりと収まった。


「うん、似合ってる」

「そ、そうかしら?」

「ちょっと手空いてる人こっち来て〜!」


アンリに呼ばれ、ノインはその場を離れたが、ティナはしばらくの間指輪が(はま)った指を見つめていた。



◆◆◆◆◆

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