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没落お嬢様の荷物持ちやってたら世界救ってました。  作者: 肋骨亭
第1章〜解雇されたらお嬢様の荷物持ちに指名されました〜
11/44

11. 正体

◆◆◆◆◆



一片の危なげもない立ち回り。圧倒的な剣技、そして身体能力。その人物はノイン達をあれ程までに追い詰めた怪物を容易く仕留め、身の丈の4倍はあろう屍を前に、凛とした仕草で刀を収めた。

彼女の名はクィン=シュナイヴ。ノインの師にして剣術の達人である。


「皆、生きているか?」

「な、なんとか……。ティナも気を失ってるだけみたいです。ベイトもきっと──」

「皆サンのおかげで無傷っスー!」


木の影に隠れていたベイトが2人に駆け寄ってくる。ノインはその様子を見て、自分の役目を果たせていたことに安堵した。


「もうすぐ兵が来る。手当てもしないとな。それに────」


クィンはちらとノインを見つめ、続ける。


「色々と聞きたいこともあるだろう?」



◆◆◆◆◆



戦闘終了後しばらくすると、鉄の鎧に身を包んだ兵士達が十数名程到着し、クィンの指示によりノイン達の怪我の手当てや周囲の安全の確保に務め始めた。

ティナの目が覚めるまで待ち、穏やかな口調で話を切り出したのはクィンだった。


「さて、改めて自己紹介といこう。私はクィン=シュナイヴ、帝国、及びクエストギルドにより結成された騎士団の団長だ」

「えぇーっ! クィンさん、そんなに偉い方だったんですか!? 僕、なんか失礼なこと言ってたりしてないかな……!?」


同業者だと思っていた人物が、国家直属の騎士、それも団長であるという事実に、これまでの行いを振り返り不安になるノイン。


「そんなに慌てないでくれ。失礼なんてとんでもない。だから、今まで通りに接してくれないだろうか?」

「ぜ、善処します……」


困り顔でそう尋ねられ、反射的に断れなかったノイン。兵による治療を受けながら、疑問に思ったことを口にしていく。


「ええと、クィンさんはなんでここに? いや、勿論助けに来てくれてなかったら危なかったのは間違いないんですけど……」

「冒険者パーティから通報が入ってな。「バケモノに襲われて護衛の対象を置いてきてしまった。助けてくれ」とね」

「それってもしかして、自分の?」

「ということは、君がベイトか。今回は本当にすまなかった。敵前逃亡をするようなパーティに君の護衛を任せてしまった責任は我々にある。よって、当該のパーティは厳しく罰せられ、今回の依頼金も返金することになる」


クィンは頭を下げ、謝罪の言葉を告げたが、ベイトはしかめっ面で唸りながらその件についての見解を述べた。


「……そのパーティの皆サン、見逃してあげられないっスかね?依頼金もそのままで大丈夫っス」

「まあ、可能ではあるが……。理由を聞かせてもらえないだろうか」

「今回の件はあまりのイレギュラーっス。それに、彼らの通報があったおかげで自分は大事なく済んだ。つまり、護衛できたってことになんないスかね?」


飄々とした語調とは裏腹に、固い意思を感じさせるベイト。それを聞いたクィンは降参だという風に手を上げる。


「わかった、私の負けだ。しかし、今回の件で冒険者達のマナーが悪化するのは避けたい。我々騎士団の体裁のためにも数日は謹慎してもらうことになる」

「ま、それはしゃーないっスね。団長サン、ありがとうございますっス」

「話が落ち着いたようですわね。では、(わたくし)から1つ、よろしいかしら?」


騎士団の治療を受け、頭に包帯を巻いたティナが怪訝そうな顔をしながらクィンに声をかける。


「ああ、構わない。私に答えられる範囲であればなんでも聞いてくれ」

「先程のモンスターは結局なんでしたの?この森の魔素濃度からしても到底生み出される大きさではありませんでしたわ」

「そんなの、学者でもないクィンさんに聞いたってわからないんじゃないか?」

「そうだな、概ねノインの言う通りだ。件のモンスターの遺体から何か分かることはないかと調べさせているが、今のところわかったことと言えばあの巨大化した右腕の触媒としての性能がとても高いことぐらいだろうか。もっとも、異常なのは確かだ。何か分かれば君達にも知らせよう」

「ふうん。ま、考えても仕方ないって事ですわね」


腑に落ちないといった様子のティナであったが、すぐに興味を無くしたのか欠伸をしていた。

しばしの休憩を取った後、騎士の1人がクィンへとこそこそと何かを報告しにきた。それを受け、ノイン達へ話を切り出す。


「そういえば、ボスモンスターという存在を君達は知ってるかな?」

「ボスモンスター?」

「えぇ、存じておりましてよ。確か、ダンジョンの最奥にあたる場所などに出現する戦闘能力の高いモンスター、でしたわね?」

「なんでそんなことをティナが……!? ランクの説明すら面倒くさがってたのに……」

「従者の育成のために主は手を尽くすのは当然ですわ! ただ剣を振ってるだけと思ったら大間違い、でしてよ! ……こほん、して、そのボスモンスターがどうかしまして?」


ノインの指摘に声を荒らげるティナだったが、まあまあとベイトが宥め、すぐに話を戻す。


「先刻の獅子型のモンスターだが、恐らくボスモンスターとしてギルドに登録されるだろう。ということは、だ」


その発言にはっとしたティナが、引き継ぐように言葉を続ける。


「このモンスターの素材を持ち帰ることが出来る……?」

「えっ、そんなことできるの? というか、持ち帰ってどうするんだ?」

「ボスモンスターは存在が希少ゆえ、討伐後の死体は研究のためにギルドに回収されますの。ですが、討伐に参加していた冒険者はパーティ単位で一部を持ち帰ることが出来るんですわ。用途としては売却であったり、武具に加工したり、珍味としてたしなむ者もいるそうですわよ」


ティナの解説に耳を傾けていたノインは、モンスターを食べるということは想像すらしていなかったため、ぎょっとしていた。


「言ってしまえば特別報酬(ボーナス)のような物だ。本来であれば、ボスモンスターの剥ぎ取りはギルドの職員による監督のもと行われるが、今回は私たちがその役目を担おう。問題はどの部分を取るかだ。これに関して指定の重量を超えなければ特に決まりはない。君達で話し合って決めてくれ」

「未知のモンスター、それも眼球とかになると高額で売れそうですわね……」


ティナは小声でぶつぶつと思案しているようだったが、対しノインは気にも留めない様子でティナを見守っていた。


「あら、ノインはいいんですの? ボスモンスターなんて滅多に倒せるものではなくてよ?」

「僕は従者なんだろ? 言ってしまえばティナは雇い主みたいなもんだし、お金も食べていける分さえあればいいからさ。君が選びなよ」


ノインの発言にハッと我に帰るティナ。自身の考えを改め、ぐぐっと頭を捻りながら葛藤に耐える。

やがて、ノインに向かって仰々しい素振りで提案、もとい宣言をした。


「今回の戦いの功労者は間違いなくノイン、貴方ですわ! よって、この権利はノインに差し上げます!」


クィンはほお、と驚いたような表情を見せていたが、ノインは困惑を隠しきれない様子で問いを投げる。


「本当にいいの? 実を言うと、あんまりあの時のことを覚えてないんだけど……」

「ノイン、部外者の自分が言うのもアレっスけど、こーいう時は素直に受け取っとくべきっスよ」


ベイトの発言の意味をノインはすぐに理解した。ティナを見ると、体がぷるぷると小刻みに震えていたのだ。その態度に誠意を持って応えようと考えた。


「ありがとう、ティナ。今度飯でも奢らせてくれ」

「感謝される程のことではなくてよ! 良い働きをした従者には相応の報酬が必要だと思っただけですわ!」


照れ隠しか、慌ててまくしたてるティナ。クィンはそんな微笑ましいやり取りを見ながら、話を戻す。


「それでは、ノインが決めてくれ。このモンスターのどこを取るのか」



◆◆◆◆◆

最後まで読んでいただきありがとうございます。

お久しぶりです。化け物狩りやインク撒き散らしたりで忙しくしておりました。

投稿ペースの話でもしましょうか。決めた方がいいのだろうけど決めたら決めたで焦って駄文を投げるわけにもいかないし、と考え「毎週何曜日に更新します!」と宣言する判断に踏み込めないでいます。Twitter見てて思うんですよ、毎日2000字ぐらいを更新してる人本当すごいなって。私みたいにゲームばっかせずにちゃんと書いてるってことなのでしょうけどね。

今回初めて後書きでいろいろ書いてみましたけど、意外と楽しいですね。誰もこんなん興味無いやろ、という安心感でどうでもいいことめっちゃ書けますね。すみません今後はTwitterで勝手にやっておきます。

お目汚し失礼しました。感想や指摘など随時募集しております。

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