3/3
殺人について2
江幅香織を首吊り自殺に見せかけて殺した。
教室の天井から江幅香織を吊るすロープが垂れ下がり、ぶらぶらと揺れている。
前から思っていたことだが、やはり江幅香織には縄が似合う。鬱血し、首に食い込む縄が、彼女を彼女として完成させている気がした。
クラスで一番の美人で、鬱陶しかった彼女は、教室で物言わぬ死体となったことで完成した。
軽く性的興奮すら覚える。
きっと、教室に誰かが入ってきても、誰も江幅香織には気付かないだろう。
授業が始まっても、昼休みが過ぎても、放課後になっても、江幅香織は教室の真ん中辺りでぶらぶらと揺れているだけで、誰も気付くことはないのだ。
そうであって欲しい。
私は頬杖をついて、私だけのための江幅香織を眺め続けるのだ。