クラスの美少女に訊いた
僕は陰キャという雰囲気と圧倒的な事実をもち、もちろんクラスでは目立たない。
そんな僕でも、一つだけ、運良く成し遂げたことがある。
それは僕の作ったSNSのスタンプが、どうやら人気らしい、ということだ。
人気らしいということしかわからないのは、僕にSNSの友達が一人しかいなくて、その一人は使ってないからである。
1分の0では根拠にならない。
じゃあなぜ人気か知っているかというと、ダウンロード数が結構あるからである。
ちなみにどんなスタンプかと言えば、柴犬を中心とした、可愛い動物のスタンプである。
漫画研究会で動物の漫画を描いている僕は、そのスタンプを試しに作ってみたってわけだ。
そしたらどうやら可愛かったらしく、なんかのJKに人気のスタンプランキングで10位になった。
でも僕はその人気を実感できない。
自分で頑張って作ったのに、それが使われてることがわからないのは悲しすぎる。
どうすればいいのかなあ。
僕は友達一人だけのSNSのホーム画面を見て、ぼんやりしていた。
唯一の友達となっているのは、漫画研究会の後輩、三元鈴絵である。
鈴絵とは仲はいいものの、特に部活の時以外は仲良くない。
少し地味目な女の子で、いつも一生懸命漫画を描いている。
漫画家になりたいことははっきりしているみたいで、それはに関してはいつもより少しだけ大きい声で、堂々と言う。
ぼんやりしてたら、もう授業が始まる時間だった。
今の僕の隣の席の女の子は、クラスの中ですごく美少女と言われてる女の子。
名前はゆみり。
まあ僕は下の名前で呼ぶこともないしそもそも名前を呼ぶこともまずないけど。
隣の席なのにねあんまり話さないんだよね。
まあそれはそうとして、ゆみりも僕の作ったスタンプを使ったりしているのだろうか。
してるかもしれないな、訊いてみようかな。
そうだな、訊いてみよ。
……話しかけるのむず!
困ってしまうわこれは。
僕は悩んだがなんとか頑張った。
「あのー、僕最近このスタンプ使ったりしてるんだけどさ、これ使ったりしてる?」
「え? あ、してるけど。それ流行ってるし。でもあんたが使うのは意外だね」
「まあそうかも。はい、ありがとうございました……」
控えめに自分の住処に帰るザリガニのようにひっこむ僕。まあ引っ込んでも隣の席なんだけど。
でもよかった。流行ってるのはほんとだったな。知れてよかった。