表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

しかし、偽物は本物になれない。

作者: にゃる

 そうして華々しいパーティーは終わった。


 パーティーなんて最初は参加したくなかったよ?


「参加じゃない?俺が主役?あー、俺の誕生日か、忘れてた」


 成人の誕生日パーティーは貴族の義務なんだとさ。


 そりゃあ、最初は緊張しっぱなしだったしどうして良いか分からなかったよ。でも、いつの間にか……


 慣れました!


 美女たちとおしゃべり、ダンスは楽しかったです。毎週でも誕生日パーティーやろっかな〜?


 めっちゃくちゃはしゃぎました。


 日も暮れて薄暗い誰も居ない裏庭、余韻に浸りながら散歩する。

 そんな俺は浮かれていた、気が抜けすぎていたのかもしれない。


 ーードンッ


 不意に衝撃が背中から体を突き抜ける、唐突に足の力が抜け地面に両膝を着いてしまった。


 背から胸にかけてヒヤリとした感覚があって、目線をゆっくりと下へと向ける。


 すると、俺の胸元にその違和感の元凶があった。


 鋭利な金属の先が、俺の胸から突き出ていたのだ!


 頭の中が真っ白になる。突然過ぎて何が起きたか理解できなかった。


「えっ?」


 俺の胸にナイフが突き刺さっていた。そして、そのナイフの先が自分の意識とは関係なく勢いよく引き抜かれ、胸に大きな傷穴が空く。


 心臓が脈打つたびにその傷口からドクンドクンと血が流れ出し、服はどんどん赤く染まっていく。両手を胸に当て、血が流れ出すのを止めようと試みるが止まらない。


「…なんでこんな……」


 全身の力が抜けてそのまま勢いよく前方へ倒れてしまった。


 何故こうなったのか訳がわからなかった。


 事実を確認しようと、力を振り絞り体を捻って後ろを見た。


 するとそこにいたのは俺のよく知った顔だった。

 

 俺の偽物、否、影武者だった。


 俺と見た目が瓜二つの双子の弟。こいつはここにいるはずが無い。


 酔いなど覚める驚きとショックからか、傷みはほとんど感じていなかった。


「お前は生きていてはいけないんだ、今日から俺がお前になる」


 貴族の世界では長男が全て、次男以降はゴミ扱いされることも珍しく無かった。


 責任、重圧、苦痛、俺は嫌なことから逃げた。


 見かけは同じだから、全てをこいつに押し付け、良いことだけは全て俺が頂いていた。


「そうか…さすがに、命を狙うとは…思ってなかった…な…」


 今日、偽物は本物に生まれ代わる。


 今日は双子の弟も誕生日だった。

本物ってなんだろう


偽物だったら本物になりたいよね


ブックマークって押してみてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 深いですね~。 良いストーリーでした!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ