カイリ、最終手段スキップを使用
語りたいことはあった。
しかし地味。
【魔力操作】、スキルアシストがないとかなり難しいものですね。
しかしながら神に借りたチート、経験者100倍は伊達ではありません。
ただの経験値としてならば、スキルは使わない練習も経験と言えます。
異様な上達を見せ、今や思うがままに魔力を動かせます。
この村最強にならすぐにもなれそうです。
父上、母上、そして村の皆、守れるくらいに強くなりますからね。
3ヶ月前にはたどたどしかった言葉も、もう3ヶ月あれば流暢に喋りだす。
【ギニラ大陸言語】はレベルが7に到達した。
両親や祖父母、村人からの情報収集により、スキルレベルの上限は10と分かった。
そのためあと3レベル上げれば、【ギニラ大陸言語】をマスターしたことになる。
あと学べていないものとしたら古文かなにかだろう。
いつか学者にあったら学ぶとしよう。
他にスキル関連では、面白いスキルが増えた。
【役者】、【表情操作】の二つだ。
【役者】に関しては年相応の子供のふりをしていたから身についたのだろう。
【表情操作】は心情を読み取らせないため、無邪気に笑うようにしていたから身についたのだと思う。
さすがに無表情なポーカーフェイスを身につけていたら、家族に気味悪がられてしまうだろう。
これは経験値100倍にかなり感謝した。
とても有用なスキルをありがとうと、久々にスフォリア様に祈りを捧げてしまった。
これで難しいことを考えながら純真無垢な子供を演じることができる。
有用な分、早急に技術としてスキルを身につける必要ができてしまうのだが。
ちなみに視界の端に入った【称号】の所に、【名子役】とあったが、見なかったことにしよう。
着々と日々は過ぎ行き、四季がないこの村に産まれて1年が経とうとしている。
名もなきこの村には、24世帯の住民がおり、子供と呼ばれるのは、私を除いて5人ほどだった。
その5人にしてももうすぐ村を出て嫁ぐのが3人、逆に他の村から嫁いでくるために落ち着かない2人と、子供を卒業する直前の子供しかいなかった。
自らを高める時間を得られるのは利点だろうが、人間関係の構築の面においてはあてが外れたと言わざるを得ない。
物語では幼馴染と深く関係を持ち、成長していくパターンが多いが、これも無難な人生を求めた自業自得としておく他ない。
まだ1歳だから行動に自由はほぼ無いが、現状この村に不満はない。
家族は誕生日にはお祝いとして言葉をかけてくれたり、豪華な夕食を用意してくれたりする暖かさがある。
友人は村を出てから作ればいい。
大きくなるまではこの家で沢山の思い出を作ろう。
物語で数年後という描写はあまり好きではない。
しかしながら、当人になって初めて気付くことがある。
誰も自分の無様を語りたいわけがない、と。
私の訓練はとても地味だ。
ただただ反復練習を行い、スキルを得たら技術に昇華させる。
まずは技術を得て肉体を作ることに重点を置いており、魔物は倒していないためレベルに変動はない。
つまり、見せ場がない。
平穏な村を希望したため、大規模な魔物の襲撃や、盗賊の襲撃、国と揉めるなんてことも無い。
ゲームで最初の村でひたすらレベル上げをしていて、それを説明してもつまらない。
今の心境は正しくこれである。
ということでこの言葉を使おう。
······7年後。
予てより冒険者を目指すことを告げていたため、冒険者の養成学校に入学することになっていた。
それには8歳になる今日この日に村を出る必要がある。
誕生日ではあるものの、今日の昼にでも村を出なければ、馬車で7日の道のりである王都へ行き、入学試験を受けることができないのだ。
別れは辛いが、長期休暇には顔を出し、冒険者になってからも帰省することを条件にして入学を許可されている。
過保護な親とは少し思うが、これだけ会えるのだから泣くの迄は勘弁して欲しい。
村についての思い出は、個人的には良かったものの、人に語るにしては山なし谷なしオチなしなので、もし機会があったら語るとしよう。
私は行商人の馬車に乗り込み、王都へ向けて移動を開始した。
数年間の話しろよ!
数年あればかなりイベントあるだろ!
そう思っていた時期が私にもありました。
カイリの日常
赤子·····起きる、授乳、こっそり訓練、授乳、寝る
幼少·····起きる、ご飯、家の手伝い、こっそり訓練、ご飯、寝る
語るべきところがない!?
ちなみに出ることがなかった家族のお名前紹介
父上·····クルドレア
母上·····ヒューリ
お爺様·····ヒルムント
お祖母様·····ガレシャ
2世帯家族で、ヒューリが隣村から嫁いできた。
曾お祖父さんは狩の事故で死亡しており、曾お祖母さんは病死。
どちらも60代手前で亡くなってます。
村は自給自足ができているので、近隣の村との付き合いは希薄。
結婚相手という意味では交流があるが、大きな事件が起きないため、この縁が婚姻以外で活かされた所はほとんどない。
これ以降は蛇足過ぎるのでまたの機会に