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胎内転生

 異世界に行きました。

 母体の神秘に触れてま······せん。

 ふむ、私は神に会えると思っていたのだが、まさか直接転生とは。

 最近は転生物にも生まれ方にパターンが増えてきたが、私は胎内からスタートらしい。

 胎内にいる時間が長いパターンはなかったと思うが、意識があって身動きが取れないのは精神にクるものがある。

 とりあえず体内にいる利点を活かして、自身の状態を確認しておこう。

 考えて発動することを祈ろうか。


 "ステータスオープン"


 ······ん?

 何も出ない?

 もしかして音声認識か、言葉が違うか?

 いや待て、自由記述欄に鑑定は書かなかった。

 つまりは鑑定でしかステータスを閲覧できない世界の可能性があるということか。

 スフォリアがどのような神か、話もしていないのでその神性(ひとがら)が全くわからない。

 神と言うからには信仰を糧にしていると想像はつく。

 とりあえず祈りを捧げてから信じてみよう。

 

 "スフォリア様、無事転生すること叶いました。遠く果の世界の私を見守ってくださり、ありがとうございます"


 祈りになるかは微妙なところだが、感謝の意を示しておいた。

 これが信仰なのだろうかと、無宗教の私としては不安だが、届くことを期待しよう。

 

 【スフォリア神より、女神の寵愛を得た】


 ほう。

 ちゃんと祈りは届いたということか。

 寵愛と聞くと身構えてしまうが、あってもいない(かみ)に愛情を向けられてもどうしたものか。

 まぁ、そもそも神に会えるものでもないし、上位存在の思考を読めるはずもないか。

 貰ったものは有効活用させてもらおう。

 もちろん、恩を仇で返すようで悪いが、貰い物の力を自分の力だと思い込むことはしない。

 いつかなくなる前提で対策しておこう。

 

 さて、このタイミングで寵愛なるものをくれたということは、私の状況を掴んでいてのことだろう。

 つまり······ステータスを見るための何かをくれたと思う。

 もう一度試してみよう。


 "ステータスオープン"


--------------------


【名前】 未定

【種族】 聖人

【職業】 胎児

【性別】 男


【レベル】  1

【体力】  3/3

【魔力】  5/5

【筋力】  1

【耐久】  1

【敏捷】  1

【器用】  7

【知性】  200

【幸運】 測定不能


【スキル】

【オリジンスキル】

・正義(1)


【ユニークスキル】

・取得経験値100倍

・取得スキル経験値100倍(スキル取得のための経験値を含む)

・不老不死

・痛覚無効(肉体・精神)

・多重思考(1)

・管理者の眼(スフォリア神固有スキル)

・隠蔽(1)


【コモンスキル】

・威圧(1)

・思考加速(5)


【加護】

・女神の寵愛〖スフォリア〗

・女神の協力者(対神存在隠蔽)〖スフォリア〗


【称号】

・異世界転生者

・共犯者


--------------------


 これは······貰いすぎだ。

 人すら超越させて貰っている。

 今から返還を求められた時を恐れても仕方ない。

 いつも通り考察してみよう。

 ステータスに関しては、おそらく自身のものだろう。

 知性に関してはこの世界の文明レベルによって、日本の学校を経験してきた私には妥当な数値だろう。

 たぶん。

 幸運に関しては確実に異様な高さを誇ると言える。

 神の目に留まり、たかが人の意見を反映させた転生を行うなんて、幸運以外の何物でもない。

 所々スフォリア様の思惑が見え隠れしているが、不幸故の選択ではないと思われる。

 それは他に借り受けたスキル達が物語っている。

 2倍でもいい方かと思っていたが、経験値が100倍も貰えるらしい。

 例えば魔物が出たとして、5体倒せば500体分の戦闘経験を積めるわけだ。

 その分戦闘の勘といった経験からくる技術を磨かなければ、高ステータス、優良スキルを振りかざすガキになってしまう。

 そのうちステータスやスキルを制限するものを手に入れておこう。

 またスキルの後ろについている数字はレベルだろう。

 これは早急に上限を調べなければならない。

 一応幼少期は親孝行をするつもりだ。

 その間に変に目立つことは避けたい。

 新たな親となる人達、信じたいのは山々だが、異世界という異文化圏の人間の思考回路が掴めていない。

 成長過程においてその辺は学んでいこう。

 

 ······にしても、だ。

 胎内では何をしていればいいのだろう。

 母体の動きからすると、今日にも生まれるということは無さそうだ。

 というか母上よ、さすがにアクティブに過ぎないだろうか。

 立ったり座ったり、激しくはないが動き回っているようだ。

 父上は家事を手伝ったりはしないのだろうか。

 兎にも角にも、胎内でやれることはスキルの取得と練習のみだろう。

 それも外に影響を出さないように行う必要がある。

 ここは数多くの転生物のライトノベルに従って、魔力関連の練習をしておくべきだろう。

 魔力は使い切ると最大量が増える場合と、使い切ると死ぬパターンがある。

 私に関しては不老不死があるから使い切って試すことができる。

 しかし体外に放出するような訓練をすれば察知されてしまう可能性がある。

 体内に作用する、もしくは胎内で影響を出さずに完結するものに限って練習していこう。

 初めは魔力操作でいいだろう。

 魔力を消費してスキルを使うだろうし、魔力の鍛錬は最優先事項だ。

 まずは体内の魔力を感じ取る訓練。

 次に体内に循環させる訓練。

 最終的に身体強化を目指したいと思う。

 魔力を体外に漏らさないよう気を付けなければ。

 こう考えてみればやることは多く見えるが、経験値取得が100倍なのだ。

 胎児の体力を考えても数日のうちに終わってしまうのではないだろうか。

 

 ······おや、身体が重い?

 どうやら寝る時間のようだ。

 それではまた、おやすみなさい。

 胎内生活未知すぎる。

 次から胎内トンデモ生活。

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