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神スフォリア、気の遠くなる復讐譚

 はよ異世界行けと。

 傍若無人に振舞えと。

 けど、スフォリアさんのことを覚えていってください。

 神界のある一室

 偉大な神々が贅の限りを尽くした裕福な暮らしをしている裏で、人間に名も知れていない弱い神、スフォリアが世界の維持・管理を行っていた。

 神と言うだけあって、力はそれなりに持っているが、人外同士で比べると明らかに見劣りしてしまう程度の力である。

 周りの神々から舐められ、雑用に使われる日々を、淡々と過ごし続けていた。

 その間、何もしていなかった訳では無い。

 スフォリアが生まれて数千年を超えた頃、世界の創造が止まった。

 同時にスフォリアには、余剰リソースの蓄積が起こり始めた。

 数多ある世界に生きる人間達に分け与えるためのリソースは神には何の役にも立たない。

 しかし神以外、管理世界の生物には欠かせない力の源である。

 元々世界の増加を想定して割り振られていたものが、世界の生産が止まった今でも変わらない量が分配されている状態。

 ある種プログラムに沿ってしか動けないロボットのような神であるスフォリアには、対処法が思いつかなかった。

 問題意識はあったため、初めは業務内でリソースを消化する、それを考えていた。

 しかし長年続けてきた仕事は最適化を続けており、今更無理に消費する余分を作り出すことは良くないことと理解していた。

 結果、リソースを無駄に消費する必要は無いと結論づける事となった。

 参考にできる生物の人生がスフォリアの記憶の中には沢山あったからだ。

 業務の間に嫌でも目に入るため、問題にはならないだろうと管理世界の生物の観察をし続けた。

 それがスフォリアと言う神にヒビを入れる行為だとは気付かずに。


 考えてみて欲しい。

 誰かに学ぶのとは違い、自ら観察し学ぶ行為は情報量が圧倒的に違うだろう。

 教わるならば聞いたことのみで終わるところを、観察から学ぶことは対象の全てを学ぶことである。

 ここでひとつの疑問が浮かぶと思う。

 生物の持つ不完全さを、完全存在である神が学ぶことができるのだろうか、と。

 答えは可だ。

 完全故に理論立てて不完全さを学び取れてしまうのだ。

 スフォリアは、生み出した者の意図を無視して、感情を手に入れてしまった。

 他の神からのいじめのような行為を気にしなかったのは、業務以外を気にする心がなかったからであり、感情を手にしたことでストレスが蓄積されるようになった。

 それは生物としての成長であり、個としての悲劇であった。

 スフォリアは負の感情を蓄積させつつも、慈愛を持って世界を管理し続けた。


 スフォリアは根が真面目な優しい性格をしていた。

 負の感情の発散を、己が力による解決ではなく、管理世界の生物を神自身が驚嘆するような成長をさせてやろうと画策していたのだ。

 神々と言えば傲慢を身にまとった自己中心的な存在の塊であり、傲慢の延長線として、下等生物と思い込んでいる管理世界の生物の人生を、悪戯にかき乱す存在である。

 傲慢さは臆病の結果であることを、既に数多の世界から学んでいたスフォリアは、この計画には自分の手助けが必要不可欠であることを理解していた。

 初期投資として長年溜め込んだリソースを費やすことは決定事項として、成長過程において他の神に妨害されないように存在を隠蔽し続ける必要があるのだ。

 そのシステムの構築に数億年の時を要したが、無事に思考を誘導する(・・・・・・・)仕掛けを施すことに成功し、ついに行動を起こした。




 ······カチッ、カチカチ······ピロリン♪


 メル友のいないスフォリアには、タイピングは世界の管理より難しいらしい。

 スフォリア生誕時······管理世界数82


 世界の創造中止時······管理世界数532823841450279


 スフォリアさん、人じゃ図れないレベルの有能な(ひと)

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