ユーリ浴槽に死す
耐えた、ユーリは耐えた。
目の前にある極上の美幼女。その服を脱がし、洗い場へと連れていく道中。思わずガン見し抱きしめ、頬ずりして嘗め回したい欲望に必死で耐えた。それもこれもこの先を思ってのこと。警戒され逃げられては元も子もないと、必死の思いで表情筋を笑顔で固め、必死に鼻の毛細血管を強化して猛る血の奔流を噴出させずに耐えていた。
「頭を洗うわよー」
お湯を頭から被せ綺麗に洗っていく。行くが……その金の美しい髪は洗うにつれて照明を反射し自ら輝いていくように見えてくる。以前の髪が現実的に想像できる美しい金の色だったのならば、今彼女の前に広がるそれは黄金の輝きと言っても遜色のないものであった。
「よ、よごれていたのね」
そう、汚れていた。空に打ち上げられ地面に埋められ、湖に叩き落されたと思ったら土の上でごろごろと転がった。水浴びもするがマースルもエルも適当なもので、生乾きのまままた草地に横になったりするので汚れ放題であった。それでも一目で美しいと判断できるだけの容姿を保っていたのだから、元の素材の凄さが伺えた。
「ぇ?そうなるともしかして」
鼻血の奔流を必死に抑えエルを洗い続けるユーリは気づいてしまう。いや、気づいてしまった。髪がこれだけ汚れていたのならば当然身体も、と。そしてその懸念は石鹸で洗われていくユーリの素肌が証明してしまう。
ぶばっ!!
慌て横を向き、手で抑えたがそれでも垂れ落ちた鼻血が床へと落ちる。
汚れに汚れていた土や砂だったもの、それが鼻血と一緒に流れていく。人形のような美しい白い肌は、それがまだ偽装だったとばかりに見たことも無い白さ……それも病的なものではなく確かに血の通うほんのりと紅く美しい肌が曝されていく。儚く柔らかく、しかししっかりと指を押し返してくる肌の張りは、同性をしても羨むほどのものであった。
「も、森妖精の子ってこんななの?」
森妖精の冒険者とは何人か会話をしたことがある。確かに種族の壁を感じる美しさではあったが、目の前のエルほどではない。赤子は庇護欲をかき立てる姿をするものだとは知識で知ってはいるが、森妖精の子供がこれほどのものだとは認識していなかった。確かにこれは保護し外に出せない存在だろうとユーリは納得し、勢いの弱まった鼻血を気力で止めて手早く自身の身体も洗っていく。
「あ、洗い終わったけど、湯船は深いから私の上で、ね」
そしてすっかり綺麗になったエルを抱きながら、恐る恐ると問いかければエルが大人しくあっさりと頷いたため、ユーリはエルを背中から抱きかかえるようにして、自らの胸に頭を沈めるエルの感触に悦び悶えていた。そう、周りでうらやましそうにしながらも近づいて来れない同性の女性陣に見せつけるようにしながら。
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(こ、これは天国か)
代わりエルも至福の世界にあった。
美人に丁寧に身体を洗われた上におっぱい枕で湯船の中。お色気漫画ハプニングの中でも上位に位置するであろうサービスシーンにあって、後頭部に感じる柔らかい感触を堪能していた。そう、女になったことを前向きに考えられる良いイベントだと静かに頷きながら、少しだけ頭を前後に動かして、クッションの柔らかさを確認する。
「熱くないか?」
「けっこうなおてまえで」
ユーリの問いかけにも適当に返して、はふぅと息を吐く。
最初はアレだったが、マースルとの旅は楽しいし、異世界も悪くはないなあ、と考えながら。
「ふ、服は可愛いのを用意してあるんだが」
「着せ替えは慣れてるからだいじょーぶ」
おおらかな心で腐ったクラスメイトの記憶をどこかに放り投げた。




