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TS転生したエルフ幼女の可憐な冒険物語  作者: 樹遠零
第二章 幼女、冒険者になる
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最低の取引

「斬しゅ「トイレっ!!」」


 ユーリが叫ぶそれに被せるようにエルが声を上げる。

 顔が少しづつ青くなり、内股で下腹部を抑える姿。ここまで我慢をしてこなかったエルが男と女の我慢限界を見誤ったのが原因ではあるが、その姿は正しい意味で幼女っぽく、ユーリがマースルへの怒りを忘却してしまう程にクリティカルヒットな仕草であった。


「あーごめんね。すぐ連れてくから」


 が、萌えていたが故に一歩出遅れたユーリに、先までエルの相手をしていた女兵士が軽く抱きかかえて部屋を出て行ってしまう。


「……あ」

((あ、じゃねーよ))


 心底残念そうに手を伸ばすユーリに、マースルを含め全員が心の中で突っ込みを入れるが矛先が自分に向くのが確定するため態度に出したりしない。そして顔を赤くしたり、にへらと笑ったり、たらりと鼻血を垂らしたりするユーリから全員が顔を背けていたが、ふと何かを決心したのかドカリとマースルの対面の椅子に座る。


「本気か?」

「ぇ?」

「本気かと聞いているっ!!」


 ものすごい剣幕で問いかけてくるユーリに、マースルも先の会話の件かと合点がいく。あの時は勢いで言ったが、一つ間をおいて考えてみれば悪い選択肢でもない。『変態』だという大問題に目を瞑ることができれば、騎士爵を持ち、マースルから見ても腕がたち、しかも女性である。そもそもがうまく逃げても追いかけてきかねないことを思えば、利益を甘受してしまえば悪いことではない。


「条件がある」

「ほぅ、金か?私の身体か?」

「そっちが出す方かよっ!!い、いや、金は出せんってのとお触り禁止が約束できるかって事だ」


 じゃらりと金貨を懐から出したユーリに突っ込みを入れつつマースルは最低限の線引きをする。エルはあれでいてかなり逞しい性格をしている。最低限性的悪戯さえ禁止していれば大丈夫だろうという考えに、ユーリはニヤリと笑う。


「相手から触ってくる分には問題ないな?」

「まあ、それはそうだが……お前、露出癖は無いな?」

「あるわけないだろう!!」


 エルとユーリが全裸で徘徊する姿は他人であれば楽しかろう。だが、半ば保護者となっているマースルがその場に居合わせれば、幼女と騎士を無理矢理裸に剥いた変態野郎という誤解が広まりそうな気配がする、いや確信する。とはいえ、余計な心配だったと胸をなでおろし安堵する。なお、よもやエルが『一緒に裸っ!!』などと言えばユーリは刹那に脱衣(クロスアウッ)するのは確実なのだが、マースルが気づくはずも無いのは幸運であった。


「なら表向きはどうする?」

「殺人鬼と森妖精の子を監視する騎士でいいだろう」

「俺が良くねえ!!冒険者になついた森妖精の子供と、奴隷商人の調査をしている騎士ってのはどうだ?」


 兵士たちを置き去りに取引を始める二人。性格と趣味に致命的な不具合を抱えているとはいえ爵位持ち相手に不用意な意見をすることはできず、何も聞かなかったことにする兵士たち。そんな彼らを気にすることなく、マースルは核心的な言葉を口にする。


「エルは記憶がねえ。俺が出会ったのも奴隷馬車の檻の中だ」

「ほぅ。当然殺したんだろうな?」

「生きてねえよ。んで、お前さんはその話を聞いて調査してるってことでいいだろ……正直、エルは裏の奴らにとっちゃ金貨が歩いてるようなもんだからな」

「ふんっ、よかろう」


 いいながらユーリが立ち上がる。

 遅れ立ち上がったマースルと握手を交わす。


「この町の中の安全は私に任せておけっ」

「おぅ。エルの保護は任せたっ!!」


 そして一言。


「ところで本当に娼館に行くのか?」

「アレは冗談だっ!!エルに気取られたらどうすんだよ!!!」


 □■□


 その頃。


「ねえ、お姉さん。この綿みたいなのってどう使うの?」

「あぁ、これはね。ここの水に浸してアソコを……」


 ユーリ血涙必須のレアイベントが消化されていた。

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