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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第4章:夜空に舞う銀箔蝶
97/255

新たな事実

8/8 あらすじが間違ってる箇所があったため修正しました。


前回のあらすじ

 怪しい老婆、怪しい尾行者、怪しい冒険者達、そして怪しいエレムラブのパーティ。

怪しい連中が多い中、アイリ達はコアルームを目指すのであった。


「……とまぁ、まだまだ言い足りないのですが、簡単に説明するとこうなりますね」


「……ああ、そうかい」


 今現在、私達はローザさんの案内でコアルームまでの最短ルートを進んでいる。

当然のように、何故ローザさんがコアルームの場所を知ってるのかは教えてくれない。

余計な詮索をすると協力しないと言われてしまったので、ローザさん本人に関する質問は完全にNGとなった。

 そして先程からマルティネスさんがローザさんに対してエレム教の素晴らしさを必死に説いていて、それを聞いてるローザさんはウンザリした表情をしてる。

こういうのって、必死になるほど逆効果になりそうなものだけど、マルティネスさんはその辺はどう考えてるのかな……。


「ですが肝心なのはここからです! そもそも、エレム教の始まりは……」


「まだ続くのかい……」


 何も考えてなさそうね……。

 他のメンバーも止めればいいと思うんだけど、マンシーさんは相槌を打って聞き入ってるし、ミゲールさんとジュリアさんは苦笑いだ。

 そういえばボチボチすれ違う冒険者が多くなってきたような気がする

お宝も何も無いダンジョンらしいから、諦めて帰ってくみたい。


「エレム様は、それはそれは美しい方であったと語り継がれております! まさに女神と言うべきでしょう!」


「……そりゃ良かったねぇ」


 まだやってたのね、マルティネスさん……。

それより女神って言われると、真っ先に()()が出てくるんだけど……。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「ヘックショーーーイ!」


「クリューネのくしゃみって、あんまり可愛くないよね……」


クソガキ(プルド)に言われたくないわ!」



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 あ、そうだ。

神と言えば、今の内にミドルーシェという神について調べとこう!

まぁ私の場合はアイカに聞くだけなんだけど。


『アイカ、ミドルーシェという神について調べてほしいんだけど』


『お姉様、今一段落ついたところなんで、後にしてください』


 どうせサボってるくせに……。

アイカがその気なら私にも考えがあるわ。


『アイカ、すぐに調べないと、かき氷の事バラすわよ!』


『たった今、休憩は終わりました! それでミドルーシェ様についてで宜しかったですか?』


 うん、効果てきめんっと。

暫くかき氷ネタは使えそう。


『そうよ、普通の人間にミドルーシェの加護がついてたのよ。これって普通じゃないわよね?』


『仰る通り普通ではありませんね。そもそもミドルーシェ様とは、主に地上に住まう人間達を見守るという役目があるのです』


 人間にとっての神って事ね。

 でも私は人間でも、ミドルーシェという神は聞いた事ないんだけど……。


『お姉様の場合はダンジョンマスターになりますので、ミドルーシェ様ではなくレグリアス様の管轄になります』


 つまり私の場合はダンジョンマスターになるから、ミドルーシェとは違う神……レグリアスが見守ってるのね。

 とりあえず、ミドルーシェの管轄が人間という事は分かった。

けれど、肝心のローザさんの事が全く分からないわね……。


『他には何かないの?』


『そう言われましても、ミドルーシェ様がその人間に加護を与えたのは間違いないのでしょうが、加護の詳細や理由までは本人しか分からない事です』


 むぅ……、これだと本人から話してくれるのを待つしかないか……。

てっきりダンジョンマスターの眷族かと思ったら普通の人間っぽいし、益々分からないわね。


 アイカとの念話を終えて、マルティネスさんの説法を聞き流しながら歩き続けてると、行き止まりになった。


「隠し通路になってるでな」


 そう言うと、ローザさんが近くの壁を探りだし、スイッチを見つける。

押すと、行き止まりだった通路の先が新たに出現する。


「このすぐ先じゃ。ほれ、見えてきたぞ」


 ローザさんの指さす先に、ボス部屋らしきものが見えてきた。

というかボス部屋よね、間違いなく。

 これは私自身がダンジョン制作を行ってるから分かるんだけど、ただの部屋とボス部屋では構造が異なってるのよ。

ただ、何処がと言われても何となくとしか言えないんだけれども。


「着いたぞ。ここがボス部屋じゃな」


 本当の目的地はコアルームなんだけど、ボス部屋の後にコアルームが存在するのが一般的なので、一応は目的地に着いたと言える。 

 逆に一般的じゃないパターンだと、ボス部屋を設置せずにコアルームまで直通出来るようにされたパターンも有ったらしい。

それってどう考えても制作ミスよね……。


「ん? どうやら先客が居るようですね。どうします?」


 扉に耳を当てたマンシーさんが、中から怒号がするのを聞き取ったらしい。


「マズイ、隠し通路を発見した者達がいたようじゃ! 早くボスを倒してコアルームに踏み込むんじゃ!」


 理由は不明だけど、急がないと危ないらしい。

 この場合、先客のパーティに助太刀に入るのを了承してもらえればいいんだけど、了承されなかった場合は黙って見てるのがマナー。

 ……なんだけど、それに拘ってる場合じゃなさそうね。

もしかしたら後で揉めるかもしれないから覚悟はしておこう。


「マンシーさん、開けちゃって下さい!」


「分かりました!」






「シューーーーッ!」


 中に入ると、やたらと長いミミズのような魔物がうねってるのが目に飛び込んできた。

 更にその付近では、2人の男が倒れている。

どうやら既に手遅れのようね……。


「ほ、他のパーティか!」

「コイツは手強過ぎて敵わん、撤退の手助けを頼む!」


 壁に追い詰められていた2人の男が叫ぶ。

逃げるつもりのようだから、後はこっちで引き受けよう。


「ホーク、ザード、お願いね!」


「承知!」

「ほないくでぇ!」


 2人の男の前に壁となって立ち塞がった眷族達に、やたら長いミミズが突っ込んで行く。

そしてザードに巻き付こうとしたところを逆に斬り落とされ、慌てて後退した。


「た、助かった……」

「すまない、恩に着る!」


 ミミズから逃れた男2人は、礼を述べそのままボス部屋から出ていった。


「さて、後はこのミミズを……え?」


 ボスを倒して……と思ったら、ザードに斬られた部位がそのまま成長していき、本体と同じくらいの大きさになってしまった。


「コイツら数を増やしおったで!」


 一気に数が増えてしまい、戦いにくくなった。

こうなったら火魔法で焼き尽くすしかない。


「アイリさん、この状況は危険過ぎます! 1度撤退しましょう!」


 形勢が不利だと悟ったマンシーさんは、早々と部屋から出ていく。

逃げ足が速くて関心します、はい。

 マンシーさんに続いてミゲールさん達残りのメンバーもそれに続いた。

エレムラブの4人が出て行ったので、逆に堂々と実力を出せるようになったわね。

一応ローザさんにも出てもらって、一気に燃やしてしまおう。


「ローザさんも早く脱出を!」


「それはならん! もう時間がないんじゃ!」


 叫びながらミミズに突撃しようとしたところで、すかさずザードが止めに入る。


「落ち着かれよローザ殿。下手に近付くと巻き添えを食らうで御座る」


「は、放しておくれ! 早くしないと、早くしないと……」


 尚も叫ぶローザさんを、ザードとホークが引きずって後方に下げる。

その間に私はミミズによる巻き付きを回避しながら詠唱を完了させた。


「燃え尽きなさい、イグニスノヴァ!」


 私の手から放たれた光の玉はそのままミミズに吸い込まれていき、全身を爆散させて燃え上がらせた。


「シュアーーーーァァァァ……」


 瞬く間に燃え上がる体をうねらせて何とか消火しようとするけど、その努力は報われず消し炭になって消えていった。

 明らかなオーバーキルだけど、日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らすために、強めの火魔法を使ってやったわ!


「これで大丈夫。ローザさん、コアルームに行きましょう」


「う……あ、ああ、そうじゃな」


 ミミズが燃え尽きるのをあんぐりと口を開けて見ていたので、正気に戻らせてコアルームへと急ぐ。

ボス部屋の奥にあった扉を見て、そこがコアルームだと確信する。


「ここね!」


 しかし、扉を開けようとするも扉はびくともしない。


「あ、あれ? 開かない!?」


 ボスを倒せば先へと進める筈。

なのに目の前の扉は行く手を阻んだ。


「アイリはん、どないしたんや?」

「開かないのよ、ボスは倒した筈なのに……」


 けれど、その様子を見ていたローザさんは両手を地面に着きガクリと項垂れた。


「遅かったか……」


「ど、どういう事ですか?」


「ダンジョンコアが最後の砦として、新たなボスを召喚したのじゃ……」


 見ると部屋の中央に魔法陣が出現し、新たな魔物が出現しようとしていた。


「この感じは……マズイわ! ホークとザードは部屋から出て!」


 焦ってた為、思わず怒鳴り口調になりつつ2人に命令する。

今召喚されようとしてるのは、とんでもなくヤバイ奴よ!


「ア、アイリはん、そない焦ってどないしたっていうん?」


「のんびりしてる場合じゃないのよ! 私でもローザさんを庇ってやり過ごすのが精一杯な相手なの!」


「ほほほ、ほ、ほんまかぁ!?」


 そうよ、悪いけど冗談でもなんでもないわ。

ホークとザードよりも上位の奴が出ようとしてるのよ。


「し、しかし、(あるじ)を放り出して逃げる訳には……」


 その忠誠心は有り難いけど、2人をみすみす死なす訳にはいかない。


「落ち着いて聞いて。今召喚されつつあるのは、少なくともAランクの魔物よ」


「なんと!?」

「マジかいな!」


「だからここは私に任せて、2人は外で待っててちょうだい」


 2人に説明してる間にも召喚は進み、遂に実体化してしまう。

 それは身体中が腐敗しつつも並の魔物よりも遥かに強力で、黒塗りのローブを身に纏う魔力が桁違いな相手……。


「コ、コヤツはまさか……」

「間違いない。リッチや……」


 その禍々しい見た目は、正に不死者の王そのものだった。

リッチ……魔法職を極める為に死後も自我を保ち、更なる上を目指す人間をやめた存在の事だ。


「ヤバイやないか! ワイは逃げるけどアイリはんは大丈夫なんか? ワイは逃げるけど」


「大丈夫よ。いざとなれば切り札があるからね!」


 ちょっと時間を要するけど、私なら大丈夫だと思う。

 というかホーク、2度も逃げる宣言しなくても宜しい!


「承知つかまつった。某とホークは外で待つで御座る」


 渋々納得した2人(特にザード)がボス部屋から出て行った。


「さぁお嬢ちゃん、アンタもお引き。コイツはあたしが封印する!」


 まさかローザさん、たった1人で立ち向かうつもりなの!?

ローザさんのステータスが不明だから分かんないんだけど、さすがにリッチに対抗しうるステータスではないと思う。


「私なら大丈夫だから。それよりローザさんも気を付けてね!」


 今までで一番危険な戦いかもね。

気を引き閉めて掛かろう!



ホーク「アイリはん、ここは任せたで!」ダッ!

アイリ(逃げ足だけみれば私より速そうなんだけどねぇ)


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