表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第3章:アレクシス王国の暗部
79/255

束の間の夢

前回のあらすじ

 元国王との謁見を終えてダンジョンに戻ろうとするアイリだったが、城を出る直前にこの国の魔術師であるグリムロに呼び止められる。

その際に人化の指輪をプレゼントされてゴマンエツのアイリは、さっそくダンジョンに戻ると以前から欲しがってたザードに所持させた。

 そこでザードは折角だからとホークと共に王都を人化して歩いてみたいと延べ、王都で1泊する事になった。

 しかし、そんな王都に悪夢の夜が訪れようとしていた。

 王位継承により国王となったヨゼモナールは、落ち着かない気分で玉座に座っていた。


「まだ僕が国王だというのが実感できないなぁ……」


「大丈夫です。オーディス様も継承した当初は、慣れなくて落ち着かないと仰られてたとか」


 不安を持つヨゼモナールを、ミスティがフォローする。

ミスティとハンナはヨゼモナールの専属護衛だったので、そのまま国王の側近という形で収まった。


「あの……もしかして、ヨゼモナール様が玉座に座ってる間って、ずっとこうして立ってないとダメなの?」


 事前に説明を受けてる筈のハンナが、涙目になりながらミスティに訴えた。

割と活発なハンナにとっては、ただじっとしてるのは性に合わないらしい。


「……今更何を言ってるの? 当たり前な事言わないで」


「うえぇ……」


「ハハッ、その内慣れるさ」


 当たり前だと言われて、げんなりした表情をみせるハンナ。

そんなハンナを、先程ミスティに言われた事を思い出して宥めるヨゼモナールであった。


「国王陛下、あまりハンナを甘やかしてはなりませぬぞ? 継承式の間、3度もアクビをしてたくらいですからな」


「うげっ、見られてた……」


 宰相のマッソニーは内外に厳しい性格であり、特にハンナは礼儀作法に関して厳しく指摘されてるのである。


「もう、宰相は厳しすぎるのよ。あんまり細かいと禿げるわよ?」


「ふん、儂はまだまだフッサフサじゃ、戯けが!」


 ヨゼモナールが国王になってから初めて覚えた事は、厳格なマッソニーとずぼらなハンナでは、性格が合わないという事だった。


 だがそんな和やかな雰囲気も束の間、血相を変えた兵士が扉から入ってくると、ヨゼモナールの前で膝間付いた。


「ほ、報告します! ボーアロッカ公爵が謀反を起こしました! 公爵の騎士隊により既に城門を破られ、城内になだれ込んで来ております!」


「な、何だと!? あの老いぼれが!」


 ヨゼモナールの前にマッソニーが声を荒らげた。


「落ち着けマッソニー。それで、状況はどうなっている?」


「今、アルベルト将軍が城内の兵を纏めて迎え撃っております。ですが敵味方の区別がつきにくいため、少数は取り零している可能性があるので、くれぐれも注意されたしとの事です!」


「分かった。また何か動きが有ったら伝えに来てくれ」


「ハッ!」


 伝え終ると、伝令の兵士は戻って行った。


「「「ヨゼモナール様(陛下)!」」」


 マッソニーと側近2人が声を重せてヨゼモナールを見る。


「迷ってはいられない、ダンジョンマスターの力を借りよう」


 ヨゼモナールは指輪形の魔道具を作動させ、相手の反応を待った。

 すると直ぐにダンジョンマスターのファインに繋がった。


『はい、こちらは美しく咲き誇る薔薇のようなファインですよ』


「ファイン、ロードアレクシス城がボーアロッカの急襲を受けている。直ちに救援を依頼したい!」


『な!? 分かりました、すぐに……あ!』


 恐らく直ぐに駆け付けると言おうとしたのであろうファインが何かに気付き、声をあげたようだ。


『申し訳ありません、実は僕を含む3人共、公爵の邸の地下で時間稼ぎの妨害を受けている最中でして……』


「くっ、なんてことだ……。そちらの状況は分かった。だがこちらも危険な状況ゆえ、出来るだけ急いでほしい」


 思わず苦虫を噛み潰した表情を滲ませたが、冷静に勤め、極力急ぐように促した。


『分かりました。可能な限り急ぎますので、それまで耐えてください!』


 ファインとの会話を終えるとマッソニーが心配そうに寄ってきた。


「陛下、以前オーディス様が籠って居られた部屋に避難致しましょう。あの部屋の結界なら、そう簡単に破れはしません」


「分かった。その方が安全かもしれないな」


 以前オーディスが籠った部屋というのは、ヨゼモナールの影武者が暗殺された際に、オーディスが暗殺されるのを恐れて籠った部屋の事である。


 だがその部屋に移動する前に扉が開け放たれ、セーラとバニラが飛び込んで来た。

その後ろからケティとトリーも入ってくる。


「たた、大変です……ヨゼ兄様! ……ロッツ兄様が!」


 セーラが国王ヨゼモナールに駆け寄る。

 走って来たためか息を整えながら、鬼気迫る勢いで話し出した。


「落ち着けセーラ、ボーアロッカが謀反を起こした事なら既に知っている」


「ち、違います! そうでは……なく……」

「セーラ姉様落ち着いて下さい。わたくしから話します」


 何やらボーアロッカの件とは別らしい。

ヨゼモナールはいまだに呼吸の乱れたセーラの背中をさすりながら、バニラの話に耳を傾けた。


「先程ロッツ兄様のお部屋からうめき声が聴こえて来たので、中に入って様子を見たのです」


 バニラの言うロッツとは、ヨゼモナールの2つ上の兄でロッツローニの事を指す。


「見ると顔色が悪くとても正常とは思えなかったので、危篤状態なのではと思いヨゼ兄様に知らせに来たのです」


 どうやらこの状況下でロッツローニが危ないらしい。

 だがヨゼモナールは冷静に冷酷な判断を下した。


「バニラ、それとセーラも聞いてほしい。今この城はボーアロッカによる急襲を受けている。そのような状況でロッツ兄の心配をしてる余裕はないんだ。残念だけど…………ロッツローニは諦めてくれ」


「え、そ、そんな……」


 セーラは信じられないという表情をして固まってしまった。

 しかし、逆にバニラはヨゼモナールに噛みついた。


「ヨゼ兄……いえ、国王陛下。貴方は肉親を簡単に見捨てるのですか!?」


「………………」


 だがヨゼモナールは何も答えない。

いや、何も言えなかった。

出来る事ならロッツローニを助けたい……だが状況が悪すぎる。

 今の自分は国王であり、自分が死ねば国が迷走してしまうのは分かりきっている。

なので自らを危険にさらすような行為は出来ないのだ。


「もういいです! 公爵の手勢なんて、アイリちゃんに倒してもらいます! そしてロッツ兄様を助けてもらうんです!」


 そう言ってバニラが取り出したのはアイリから渡されてたスマホ。

 歳の近い友達が欲しかったアイリは、バニラとより親しくなりたい一心で、いつでも話せるスマホを渡してたのだ。


『はいは~い、どうしたのバニラ?』


「アイリちゃん、助けて下さい! 公爵が謀反を起こして城に攻め込んできたのです!」


『な! 公爵って、ボーアロッカ公爵の事ね!?』


「そうです!」


『分かった。今すぐ眷族(けんぞく)を向かわせるから、バニラは避難しときなさい!』


 通話を終えると、バニラはヨゼモナールに向き直った。


「先程はすみません。ヨゼ兄様の立場を考えずに発言してしまいました」


 アイリと話して落ち着いたのか、バニラの興奮は収まり、ヨゼモナールに頭を下げた。


「すまない、バニラ。僕はもう国を背負った存在なんだ。だから……」


「いえ、いいんです」


 バニラとしても無茶な事を言った自覚があるため、それ以上ヨゼモナールを責めるつもりはなかった。


「え~、コホン。そろそろ宜しいですかな?」


 中々話を切り出すタイミングを掴めなかった宰相マッソニーが、周囲に発言の許可を得るように切り出した。


「あ、ああ、すまない。避難するという話だったかな?」


 堅かった表情を崩したヨゼモナールが、思い出したように問う。


「はい。まずはあの結界を張れる部屋に避難していただこうと思います。恐らくオーディス様もそこへ避難されている事でしょう」


「結界……というと、お父様とお母様が籠られていた部屋の事ですね?」


 そして落ち着きを取り戻したセーラも会話に加わる。


「その通りです。そこなら暫く持ちこたえる事が出来「それはなりませんな!」


 開いていた扉から入って来た人物により、マッソニーの言葉が遮られてしまった。


「おのれボーアロッカ!」


 遮った人物を見たマッソニーが声を荒らげる。

 入って来た人物はボーアロッカ公爵。

その後ろからは続々と公爵の私兵達が姿を現した。

その私兵達を見たミスティとハンナは前に出て、ケティはセーラとバニラを後ろに下げる。

トリーも懐からダガーを取り出し、王女達の前に立った。

 そして意を決したヨゼモナールが口を開く。


「一応聞いておこう。ボーアロッカ公爵、これはいったい何の真似かな?」


 ヨゼモナールの質問に対し、既に切り返す台詞を用意してたボーアロッカは、鼻で笑いながら答えた。


「フフン。真似事ではない、これは私が王位を継ぐ為に必要な措置なのだよ。今宵、王族達には消えてもらう。全員な……」


 そう自信満々に公爵は答えた。

正当性の欠片もない措置だが、最早そんな事を言える段階はとうに過ぎており、自分が死ぬか、()を殺すかの2択しか公爵には残されていない。


「バカな事を……」


 そう誰かが呟いた。

 だが公爵は構わず言葉を続ける。


「だがキチンとした筋書きくらいは用意してあるぞ? ……おい!」


 公爵の合図と共に騎士達が道を空ける。

 すると奥から、ドシンドシン! という重い足音が聴こえてきた。

 やがて顔が見える位置まで歩いてきたその人物を見て、セーラとバニラは悲痛な叫び声をあげた。


「そ、そんな……ロッツ兄様ぁーーっ!」


「う、嘘よ……こんなの嘘よ!」


 姿を現したのは、全身の筋肉が腫れ上がったような太さとなり、まるで人間がオーガに変身したかのように見える。

だが顔を見て、辛うじてロッツローニと分かる状態であった。

 それを見たセーラとバニラは取り乱し、さすがのヨゼモナールも顔を歪ませた。

それを見た公爵は、満面の笑みを浮かべながら発言する。


「罪状はこうだ。ヨゼモナール、貴様は兄のロッツローニを人体実験に使用した結果、ロッツローニをおぞましい化け物にしてしまった。その責任をとらせるため、このボーアロッカが貴様を討つ! そして王女2人はその化け物に殺された事にしようか」


「き、貴様ぁーっ!」


 さすがに我慢ならないと立ち上がろうとするヨゼモナールをマッソニーが宥めた。


「陛下、奴の挑発に乗ってはいけませぬ!」


「くっ……」


 つい我を失いそうになったが、マッソニーのお陰か辛うじて抑えた。


「どうだね? 完璧な筋書きだろう?」


 自慢気に語る公爵だが、全ては満持紀子(みつもちのりこ)が作り出したものだ。

ヨゼモナールに罪を被せ、王女2人を始末し、オーディスとその妻は幽閉する。

当然ロッツローニに施した工作も、協力者を通じて満持が行った事であり、生きたまま化け物の力を手に入れられるという薬だった。

そしてこの薬を投与された者は、ボーアロッカか満持紀子の言いなりになるという副作用もある。

 だがこの薬の恐ろしいところは他にもあり、投与された者は死ぬまで効果を永続させるところにある。

つまるところ、どうやってもロッツローニは助からないという事だ。


「さぁて、話は終わりだ。さぁ行け、ロッツローニよ! ()()()()()()()()()()()にするのだ!」


 既にロッツローニはボーアロッカの言いなりになっており、ボーアロッカと王女達を交互に見ながら近付いていく。

 そして(おもむ)ろに剣を構えると……。






 ズシュ!!






 剣を突き刺す音が響く。

 そして剣で突かれた者はゆっくりと仰向けに倒れた。


「グホァ! き、貴様……何故!?」


 倒れたのはボーアロッカ公爵。

ロッツローニは公爵に剣を突き刺したのだ。


「いったい何が……」


 ヨゼモナールは理解が追い付かず、思わず口に出してしまった。


 何故ロッツローニが公爵を刺したのか……それは公爵が出した命令が原因だ。

何故ならボーアロッカ本人も()()()()()()()()()()からだ。

 そんなボーアロッカの軽はずみな命令により、自らを死に追いやってしまったのだった。


「グゾォ……こんなどごろで……グフッ……」


 血を吐いて倒れた公爵を見た私兵達は、ロッツローニに斬りかかった。


「おのれ化け物めぇ! 話と違うじゃねぇかぁ!」

「くそっ! 公爵様の仇だぁ!」


 だが皆等しく力で薙ぎ払われたため、後続の私兵達は恐怖に刈られて逃げ出した。


「ひ、ひぃぃぃ化け物ーーっ!」 


「ガアァァァァァァ!」


「く、来るなこっちにグハァ!」


 逃げ遅れた私兵の身体に剣を生やすと、ぐるりと体を捻り、王女達とヨゼモナールを視界にとらえると、一歩一歩近付いてくる。


「それ以上近付けば……斬る!」


 ケティが警告し、剣を構える。

既にロッツローニとは呼べない化け物を前に立ち塞がるが……、


「ガアァァァァァァ!!」


 ギィィィン!






「く……なんて馬鹿力だ……でやぁ!」


 力任せに振ってくる大剣を何とか防ぎ、攻勢に転ずる。


「グ……ガアァァァァ!」


 剣の技能そのものは高くないロッツローニを袈裟斬りにする事に成功した。


「ロッツ兄様!」

「いけません、バーミレニラ様!」


 バニラが斬りつけられたロッツローニに近寄ろうとするが、慌ててケティに止められた。


「バーミレニラ様、コイツはもうロッツローニ様ではありません。まともな言葉を発しないところを見ると、もう人として……何!?」


 袈裟斬りにより致命傷を与えたと思っていたケティだったが、ロッツローニの傷はいつの間にか塞がり、何事も無かったかのように立ち上がった。


「……やはり化け物か!」


「ゴガアァァァァァァ!!」


 1度斬られたためか、憤怒した状態のロッツローニがケティに迫る。


「グ………………ガハァ!」


 再び剣を構えるケティだったが、先程よりも憤怒した状態のロッツローニに薙ぎ払われ、壁に叩き付けられてしまった。


「ケティ!」


 それを見て慌ててミスティとハンナが前に出ようとするが、既にロッツローニはバニラを標的と定めたようで、立ち竦んだバニラに大剣を叩き込もうと振り下ろしたところだった。


「バニラ様ァァァァ!!」


 トリーも駆け寄ろうとするが間に合わない!

 ロッツローニの剣はそのままバニラに……、






 ガキィィィィィィン!!


 振り下ろされる事はなく、1本のロングソードがそれを受け止めていた。


「バニラ殿、今の内に下がるで御座る!」


 その聞き覚えのある声にトリーはハッ!となり、急いでバニラを引き寄せた。


「あ、貴方は……」


 声はどこかで聞いた筈。

しかしどこで聞いたかは思い出せない。

 故にバニラは訊ねる、その鎧兜に身を包んだ者が誰なのかを。


「我が名はザード。我が(あるじ)(めい)により参上つかまつった!」


「ゲホッゲホッ……ザ、ザード殿か!」


 壁に叩き付けられたケティがザードという名前を聞いて起き上がる。


「さぁ参られよ。貴殿の邪剣、某が受けて見せようぞ!」



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 時はザードが駆け付ける前に遡る。

ホークとザードは人化した状態で、夜の王都を練り歩いていた。

 2人の出で立ちは、ホークは何処にでもいるチャラそうな青年で、ザードはこの辺りでは珍しい鎧兜を装着した中年男だ。

いや、ザードの場合、正確にはダンノーラ帝国の武将に見える。

ただし、ダンノーラの武将を見た者に限るが。

 そんな2人が並んで歩いてるため、端からみると非常にアンバランスである。


「お、この匂いはあの串焼きやな!」


「ホークよ、先程から落ち着きがないぞ」


 ホークは珍しい物や、香ばしい匂いがする物に引かれるらしく、冷やかしながら歩いていた。


「何言うとんのや。折角外に出たんやから、楽しまな損やろ? ……お、あの姉ちゃん良いもん持ってんなぁ!」


「良いもの? あの女子(おなご)は手ぶらに見えるが……」


「かぁーーーちゃうやろ! あのボリューム満点の胸に決まっとろうが! ……ん? もしかしてアレか? 手ぶらって、手ブラの事か? そうなんか!? その発想は無かったでぇ!」


「よく分からぬが褒めてるのか?」


「おう、中々のセンスやで!」


「ふむ……そうか」


 凸凹コンビだけに、会話が成り立たないようで、妙に成り立たっていた。

 そんな彼等へアイリからの念話が届く。


『ザード、ホーク、急いでお城に向かってちょうだい! ボーアロッカが謀反を起こしてバニラ達が危ないの!』


『城というと……王都中央にあるデカイ城の事で御座るか?』


『そう、それよ! 既に城内に侵入されてる可能性が高いから急いで!』


『分かったで! ちょうど派手に暴れたいと思うてたところやしな!』


『頼んだわ、絶対に助けてあげて!』


 念話を終えると、2人は中央にあるロードアレクシス城に向けて駆け出した。






 2人が城門にたどり着くと、既に城門は破られており、中に侵入されたのが(うかが)える。


「こりゃマズイで! はよ駆け付けな!」


 2人は壊された城門を潜り奥へと進むと、目の前に(そび)え立つロードアレクシス城を見上げた。


「よし、見張りも居らへんし、今なら楽に入っ……ん?」


 城に入ろうとしたホークは、城の後方が騒がしくなってるのに気付いた。


「なんや魔法が派手に飛び交ってるな。なんや戦闘が発生してるみたいやが……」


 ホークの()()()は城の奥でも戦闘が行われてるのをしっかりと捉えた。


「だが王族の居るのは城の最上階だった筈。ホークよ、ここは2手に別れようぞ」


 ここに来て、城の奥と最上階の2手に別れる必要が出てきた。


「しゃーない。んならワイは、城の奥の方に行くで。最上階はザードに任したる」


「承知した。ならばホークよ、某を一番近い最上階の木窓に向けて投げてくれぬか?」


「くれぬか……って、そりゃかまへんが、大丈夫なん?」


「問題ない。それよりも早く!」


「もう分かったで! 木窓にぶつかっても知らんからな!」


 そう言うとホークは得意の風魔法を操り、ザードを放り投げた直後にウィンドスマッシュをザードにぶつけて加速させる。

 その結果、無事に木窓を叩き割って城内に入っていった。


「下手すると賊に間違われると思うんやが……ま、ええか」


 ホークはそのまま、いまだ戦闘が行われている城の奥へと進んで行った。


ホーク「よく考えたら、ワイが最上階を引き受けた方が良かったんちゃうんか? ワイ空飛べるし」

ザード「お主が先にもう片方を引き受けたからで御座ろう」

ホーク「せやったか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ