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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第3章:アレクシス王国の暗部
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閑話:とある兵士のお話

ブクマ100越えありがとう御座います

m(..)m

 突然だが俺の話を聞いてほしい。


 ん? そもそも俺は誰だって?

ごもっともな指摘だが、名乗る程の者じゃない。

だが一応は名乗っておこう、俺の名はクラースという。

チョワイツ王国に属する一般兵で、クライムという街に配属されてる者だ。


 俺には幼馴染みでライバルとも言える同僚が居るんだが、今から話すのはソイツの事だ。

 ある日ソイツ……名前はディーキンって言うんだが、そのディーキンがノルゴストル男爵の(めい)を受けてダンジョン攻略の部隊に組み込まれたんだ。

 なんでも攻略対象のダンジョンは国との規約を無視したとかで、そこのダンジョンマスターを討伐する事になったんだとか……。

 その話を聞いた俺は不安になった。

ダンジョンマスターって言や、良くも悪くも人間離れした奴が多いと聞くからな。

だからもしかしたらディーキンの奴は生きて帰らないかもしれない……って思った訳だ。

 バカ真面目で口煩い奴だが、くさっても幼馴染みだ、何とか無事で帰って来てくれよと願ったもんだ。




 それからディーキンが出陣してから6日経った。

俺の願いが通じたのかは定かではないが、ディーキンは無事に帰って来た。

勿論俺は喜んださ、両手上げてな。


 さて、ここまで聞いてどう思った?

 ……まあ、そうだろうな。

どこにでもあるありふれた話だよな。

俺としてもここで終われば、イイハナシダナァで終わると思う。

 だが、ここからが本番だ!


 ディーキンの奴は無事に帰って来たが、どうも様子がおかしい……。

帰って来れたのにあまり嬉しくはなさそうだったんだ。

 その様子は他の連中も感じ取ったようでディーキンに言ったんだ、無事に帰って来れたんだから素直に喜べよ……ってな。


 そしたらディーキンの奴は何て言ったと思う?


「ああそれな。出来る事ならもっと修行したかったんだがなぁ……」


 そうさ、もっと修行したかったとディーキンは言ったのさ。

 だが待ってほしい、ディーキンはダンジョンマスターの討伐に向かった筈ではなかっただろうか?

そうだ、ノルゴストル男爵の命令でダンジョン攻略の部隊に組み込まれて出陣した筈だ。

 なのでその一言を聞いた俺を含む周囲の連中は、皆が頭の中が???という状態だった。


 そこで今度は俺が直接聞くことにしたんだ。

ダンジョン攻略の話はどうなったのか……ってな。

そしたら驚愕(きょうがく)の事実が明らかになったんだ。


「ああそれな。当初はダンジョン側が規約を無視したって話だったけど、あれ、ノルゴストル男爵のでっち上げだったそうだ」


 詳しく聞くと、ノルゴストル男爵がダンジョン側に賄賂を要求したらしい。

それを突っぱねたダンジョンマスターに怒ったノルゴストル男爵が、兵を指揮してダンジョン攻略に向かったって事なんだと。

 これは後にドミニク子爵より通達があったから間違いないんだろう。

それに攻略に向かった兵達は全員が生け捕りにされたらしく、奇跡的に死者は出なかったって事だ。

 何とも優しいダンジョンマスターだな。

 まぁ、下手に殺したりすると個人的に悪感情を抱く者も出るだろうし、そういう打算があったんだろうけどな。


 という事でハッピーエンド……には成らなかった。

俺もそのまま終わりそうになったが、忘れちゃいけない事がある。

ノルゴストル男爵の件は分かったが、修行うんぬんの話は全く出て来なかったじゃねぇか!


「おいディーキン、それと修行の話はどう繋がるんだ?」


 俺の発言により、周囲の連中も思い出したようで、そうだそうだと言う声が上がり始める。

 そして改めてディーキンから語られる話を聞いて、より一層謎が深まった。


「ああそれな。捕虜になってた5日間で規則正しい生活を……って事で、早寝早起きから日課のラジオ体操とかいうものをやらされてな、その空いた時間に剣術の指導も受けてたんだ」


 コイツは……ディーキンはいったい何を言ってるんだろう……というのが、その場に居た連中の総意だっただろう。

 何故なら皆が、今一つ意味が分からないという顔をしてたからな。

自慢じゃないが俺も分からなかった。


 そこでだ、改めてディーキンから聞いた話を纏めてみた。


・生け捕りにされて捕虜になった

・捕虜として生活してる間は、規則正しい生活を強いられた

・早寝早起きは勿論、ラジオ体操とやらもやらされ、空いた時間に剣術の指導を受けていた

・用意された食事は大変美味しい


 以上だが、既におかしな点が幾つかある。

 まず生け捕りにされた際に捕虜になったという事だが、これに関してはおかしな点はない。


 次に規則正しい生活を強いられたという事だが、これも仕方ない。

捕虜になった以上、捕らえた側に委ねられるので、キチンと管理されてるだけでも有り難い事だろう。


 さて、問題はここからだ。

早寝早起きは分かるが、ラジオ体操とはいったいなんだ? 普通の体操ではないという事は分かるが、具体的にどういった体操なのかは分からない。

 聞くと、不思議な魔道具からオッサンの声が聴こえてきて、その声に合わせて体操をするというものらしいが、よく分からないのでこの話は脇に置いとこう。

 俺が一番気になってるのは、【空いた時間に剣術の指導を受けていた】というものだ。

捕虜なのに剣術の指導を受けていたのである。


 いいか? もう一度言うぞ? 捕虜なのに剣術の指導を受てっ! イツツツ……舌噛んじまった……。

 ……つまり、捕虜の身分でありながら剣を持つ事を許され、あろうことか剣術指南を受けていたって事だ。

 これはいったいどういう事か……いや、そのままの意味なんだが、何故そのような事をするのかが分からない。

もしかするとダンジョンというのは、俺達が思ってるものとは違うのかもしれないと思い始めた訳だ。


 だってそうだろ? 今までの認識じゃダンジョンってのは、魔物が居て、罠が有って、宝が有って、ついでにダンジョンマスターが居る。

そんでもって、ダンジョンマスターによっては共存主義者か排他主義者か、もしくは中立かにわかれるんだ。

共存主義者や中立のダンジョンなら最下層のコアルームに行かない限り比較的安全だが、排他主義者の場合だと、入り込んだ者を殺しにくるってんで用心が必要だ。

 そんな場所で捕虜にされちゃ、いつ魔物の餌にされるか分かんねぇ、そんな所だ。


 それで話を戻すが、ディーキンの奴はそのダンジョンで5日間も剣術指南を受けていたって訳だ。

 だが結局のところ、剣の訓練ならダンジョンじゃなくても出来るじゃないかって事でディーキンに言ったんだよ、そしたらまたしてもディーキンの奴は爆弾を投下しやがった。

 いや、爆弾ってのが何なのかはしらないが、過去にプラーガ帝国からやって来た勇者が仲間に対して、【コイツ爆弾投下しやがったw】という発言をしたとかで、突拍子もない発言の事を爆弾を投下したと言うようになったんだと。


 ……また脱線したな。

 あ、因みに脱線ってのは…………すまん、脱線に関してはまた今度な……。


 んで、ディーキンが話した内容は……、


「ああそれな。あのダンジョンで修行したら剣のレベルが上がったんだよ」


 ふーーん、成る程な、つまりダンジョンで修行したら偶々レベルがあがったから、縁起を担いでダンジョンで修行したいって訳だ。

 と、言ったら違うと否定された。

じゃあどういう事だってばよ? って事で、更に追及したら、剣レベルが2から5に上がったんだと言ってきた。


 まぁ元々ディーキンは真面目な奴だからな、その真面目さ故に努力が実って……。








「「「「「レベル5だとぉ!?」」」」」


 周囲の連中との一体感を感じたが、そんな事は今はどうでもいい。

確かディーキンの剣レベルは俺と同じ2だった筈だ。

 この剣レベル2というのは、一般兵の最低規準とされている。

因みに剣レベル1なら見習いだ。

そして剣レベル5というのは、騎士団長……もしくは将軍クラスに並ぶレベルだ。

要するにディーキンは、たった5日間で将軍に並ぶくらいの強さを身に付けたという事だ。


 それが本当なら凄ぇ事だ!


 ……そう、本当の話ならば……だが。

 俺としても真面目なディーキンを疑いたくはないが、こればっかりはすんなりと認める訳にはいかない。

 そこで、鑑定スキルを持ってる奴を引っ張って来た。

そいつは非番だっただけに悪い事をしちまったが、なんせ急を要する事案だ、今すぐハッキリさせるしかない。

 さぁ鑑定しろ、今すぐ!






 マジだった!

ディーキンの言った事は事実だと分かった。

 つまりあれか? ダンジョンってのは俺達のしらないユートピアなのか?

 まぁいい、強く成れるってんならやってやろうじゃねぇか!

今この機会を逃すのはバカのする事だ。

だったら乗るしかねぇだろ? このビッグウェーブによぉ!


 あ、因みにビッグウェーブってのは……、



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 次の日、ディーキンの話が爆発的に広がり、今このダンジョンには数百人の冒険者や非番の兵士が詰めかけていた。

 なんて耳の早い連中だ、いったい誰が流しやがったんだか……。

 そういや昨日、久しぶりにディーキンと飲みに行ったんだっけな、俺はつい飲み過ぎちまって途中から覚えてないんだが……ま、いいか。


 それにしても凄ぇ光景だ、入口付近がごった返してるダンジョンなんざ聞いた事がない。

ダンジョンの奥の方で、ゴブリンがビクビクしながらこっちを見てやがる。

だが安心しろ、今はお前に構ってる暇はないんだからな。


 そして待つこと数十分、ダンジョンの関係者と思われる連中が奥からやって来た。

中には少年と少女も居るようだが、あのどちらかがダンジョンマスターなんだろうな。


 そして少女の近くにいたドミニク子爵から、ダンジョンに詰めかけてる俺達に言った言葉が以下の通りだ。


・さすがに毎日押し掛けられても対処出来ないので、今後は月の始めに1回の間隔で戦闘訓練を受ける事が出来るようにした。


・その月1の日以外は、普通のダンジョンと同じ対応をするので注意すること。


・今日は特別に戦闘訓練を受けさせてくれる。




 よし分かった。

半年かけてディーキンと同じくらいまで強く成れるなら安いもんだ。


 他の連中も納得したようだ。

一部不満をあげた者達もいるようだが、大多数が納得してるので押し黙ったみたいだ。


 そして俺は日が沈みかけるまで修行に専念した結果……、






 何故かファイヤーブレスを覚えていた。


「何でだよ!!」


アイリ「ねぇホーク、どうやってファイヤーブレスを覚えさせた訳?」

ホーク「口に酒含んで火を起こしたところに吹き掛けるんやで」

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