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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
序章:ダンジョンマスターのすすめ
3/255

眷族達

前回のあらすじ

 個性的でマイペースなダンジョンコアをアイカと名付けたアイリは、アイカの助言のもとにモンスターの召喚を行う事にした。

ランダムに召喚した結果、モンスターの中に最強クラスのモンスターが居るのを発見。

眷族として迎えればより親密にコミュニケーションがとれると聞くと、やや迷った末にSSSランクのバハムートと、Sランクのデルタファングを眷族とし、名前もそれぞれ与えるのであった。


 ん、朝か……。


 異世界に来てから2日目の朝を迎えた。

昨日の夜に入手したモフモフ(デルタファング)を手離し起き上がる。


「おはようごぜぇやす、姉御」


「ん……。おはようモフモフ」


 まだ半分眠ったままの目を擦りつつ、モフモフに話……




 って、喋った! ……やっぱり喋った!

昨日の夜に喋った気がしたのは気のせいじゃなかったんだ!


「姉御、驚いた顔してどうしなすって?」


「え……ああ、うん。何でもない、何でもないから気にしないで」


 とりあえず落ち着こう、冷静に冷静に。


 で、改めて状況を整理すると、昨日の夜に抱き枕の代わりにモフモフを抱えて寝たんだけど、その時に私に対して『お休みなせぇ姉御』って言ってきたのよ。

もうその時は半分以上寝てたから気にする余裕は無かったんだけど、ついさっき私に挨拶してきたのを見て眷族(けんぞく)と話せるって分かった。

意思疎通ができるって聞いてたけど、実際に喋るとは驚きね。


「それじゃ自分は見回りに行ってきやす」


「うん、ご苦労様」


 何となくモフモフが私から避けてる気がするのは気のせいかな?

せっかく二度寝しようと手を伸ばしたんだけど、モフモフはスルリと避けてコアルームを出ていってしまった。

あの手触りは虜になる心地好さだけに残念。


 そんなモフモフなデルタファングは、見た目はかなり大きい狼。

その狼が抱き枕にされたのは不本意だったのかもしれない……止めないけど。


 あ、そうだ。モフモフ(デルタファング)に名前をつけてあげるのを忘れてたわ。


 名前は……






 モフモフでいいわね。

最初からモフモフって呼んでたから、それ以外だと違和感が出そうだし。

そんな感じでデルタファングの名前が決まったところで周囲を見渡す。

相変わらず洞窟の中は暗いままで、()()()の時刻は7時を過ぎていた。


「おはようございますお姉様」


 アイカも起きたみたい。

いや、ダンジョンコアって寝る必要あるのかな?

もしかしたら一晩中起きてたのかもしれない。


「おはようアイカ。アイカも朝は早い方? それとも寝る必要は無いとかだったり……」


「お姉様、わたくしに睡眠は不要なので一晩中起きておりました。ちなみに食事や排泄も不要です」


 あら便利ね、食費がかからないのは凄く羨ましい。

私は昨日の昼間から何も食べてないからお腹ペコペコよ。


「ところでお姉様、その()()()()()()()()()()()()は何ですか?」


「え? 不可思議な物って、スマホを持っ……ええ!?」


 アイカに言われて気付いた。

私スマホ持ってる!?

 そういえば昨日の夜にスマホで時間を確認してたわ。

今まで片時も離さなかったから気付かなかったのね。

スマホも一緒に喚ばれたってことはないわよね?

もしそうなら、アイカからスマホに関して質問はされないはず。


 となると、アイツ(ミルド)が洋服を構築した際に一緒に構築されたってことだと思う。

うん、多分そうよ。


「あの……お姉様?」


「あ、ゴメンゴメン。ちょっと考え事してたから」


 でもスマホの機能は使えるのだろうか?

後で確認してみよう。

でもとりあえずアイカに説明するのが先ね。


「コレはスマホといって、離れた所に居る相手と会話をしたり、ネットに接続して色んな情報を調べたり、ゲームをダウンロードして遊べたりする私にとってはとても大切な物よ」


 友達が居なかった私にとってはなくてはならない代物よ。






 ……今、ボッチだと思った奴がいそうだけど、友達が居ないのは学校に行けなかったせいだからね?

コミュ障と一緒にしないように!


「ネットという物が何なのか不明ですが、大変興味深いです。拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」


 お、何か食いついてきましたよ?

ダンジョンコアって中々好奇心旺盛なのね。


「まぁこの世界には多分存在しないと思うから珍しいよね。じゃあ見せてあげるけど、どうすればいい?」


「この光に掛かるように掲げてもらえますか?」


 そう言ってアイカは光線を出してきたのでスマホを掲げてみる。

何となくQRコードを読み取ってるように見えなくもない。


「ありがとうございます。ふむふむ……ほほぅ、これはこれは……な、なるほど!」


 なんだかアイカがのめり込んでるようなので、その間に朝食にしよう。

DPを使用して朝食を用意しようとアイカに触れると……、


「今いいところなので邪魔をしないでください」


 コヤツ、昨日よりも増して言いよる……。

そして目をキラキラさせたアイカが一心不乱にスマホを弄ってるのを想像してしまう。


 私も携帯からスマホにした時は大変だった。

変えた当初は一心不乱に操作に慣れようと悪戦苦闘したもんだわ。


「お姉様、この魔道具は素晴らしいです! この魔道具の存在は、この世界に革命をもたらします!!」


「あ、ここ(異世界)でも使用できるのね。一応言っとくけど、革命を起こすつもりはないからね?」


 まぁ素晴らしいのはわかってますよ。

私の唯一の友達なのでね……。


「そうなのですか? このスマホがあれば世界制覇も夢ではないと思うのですが」


 そうかもしれないけど世界とか要らないからね。

例え世界の半分をやると言われても要らないと答えるわ。


「ところでバッテリーは大丈夫なの? 今更だけど」


「はいお姉様。バッテリーは不要で使用できます」


 なるほど。なら暇な時はゲームで暇潰しも可能なわけね。

でも使用料はどうなるんだろ?

まさか異世界にまでA〇が請求してくるとは思えな『グゥゥゥッ』


 ……お腹が空いてたのを忘れてたわ。


「アイカ、とりあえず朝御飯にするからメニュー出して」


「畏まりました。ただ、数が多いので一般的な物に絞って宜しいですか?」


「うん。アイカに任せるわ」


 そして出されたメニューから以下の食べ物を召喚した。


白パン・DP2

野菜スープ・DP5

草原兎(ブッシュラビット)の干肉・DP3

野菜サラダ・DP4

飲み水・DP1


 朝食だけで15ポイントも使ってしまったわ。

しかもあまり美味くない。

これは節約しないといけないかも……。


「ところでお姉様、このスマホとわたくし(ダンジョンコア)をリンクさせてはいかがでしょう? リンクさせることで、スマホから得た情報を基に、あちら(地球)の物を召喚できるようになりますが」


「そんなこともできるの!?」


 それが可能ならリンクさせない手はないわね!

 というかリンクさせてから日本の食べ物を召喚すればよかったじゃない! 失敗した!!


「こちらですね」


ダンジョン核とスマホのリンク・DP3000


 わぉ、消費ポイントは多いけど、これは必要経費ね。

んじゃさっそく選択……っと。

 すると決定してから20秒ほど経ったところで、アイカから完了の報告を受けた。


「――ダウンロード完了。お姉様、リンクに成功しました」


「うん、ありがとうアイカ」


 いったいどこからダウンロードしたのか気になるけれど、ファンタジーだし気にしないことにする。

でもこれで切れる手札は多くなったと思っていいわね。

この調子d『おーい(しゅ)よ。妾にも食べる物をくれんかの?』……誰?


 (しゅ)って私のことだよね?

ということは……。


『妾はバハムートじゃ。残念ながらまだ名前を授かってないがの』


 若干()ねた口調でバハムートから念話が入ってくる。

そういえばデルタファングには名前をつけたけど、バハムートにはまだだったわ。


『ゴメンねぇ、今御飯するから』


 名前もそうだけど、まずは朝食を食べてもらって、その間に名前を考えよう。


「じゃあアイカ、バハムートが好きそうな食べ物出してあげて」


「了解しました」


 さてと、名前名前……。

バハムートだからムート?

これだと雄っぽいなぁ。

念話の声からして成人女性っぽい感じがしてたから雌で間違いなさそう。

もういっそのことバハムートから離れてみようかな。

それこそメアリーとかジェニファーとか。


 よし、アンジェラにしよう! 理由は特にないけど。

名前も決まったし、早速アンジェラのとこへ行こうかな。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「美味い! これは美味いぞ! 先ほどのも美味かったが、コレもまた美味いのぅ!」 


 私の目の前で20歳前後くらいの紫髪の美人さんが牛丼に食らいついている。

その隣でモフモフが何かの肉を貪っているけれど、これはいい、特に問題はない。

問題なのは、この美人様のことである。

私の勘が正しければ、バハムートが人化したもので間違いないんだけど。


「お姉様、目を丸くしてどうされましたか?」


 いやいや、どうもこうも、アイカは疑問に思わないのかな?

というか、アイカは知ってるから疑問に思わないってことなんだろうか?

うん、多分そうね。


「えーと、一応確認なんだけど、この人はバハムートでいいのよね?」


 これで違うと言われると、ややこしくなってしまうんだけども。


(しゅ)よ、妾はバハムートで間違いないぞ。元々人化のスキルは所持しておったのでな、人化したほうが食らう量も少なくてすむしのぅ」


 やはりバハムートで間違いないなかった。

それにしても最初に見たときの禍々しさが全く感じない。

体長10㍍以上はあった巨体と同一人物だとは思えないわ。

その大きさ故に、ボス部屋を拡張する必要があったしね。

おかげでDP300も消費しちゃったけど。

でも気を使って人化してくれたのは有り難い。


「それじゃあ(しゅ)に気を使ってくれたバハムートに名前を授けるわね」


「うむ。宜しく頼むぞ」


 デロデロデロデロデロデロザザザン!

心の中でドラムロールをやってみる。

 ……ちょっと虚しい感じがしたから、次からはやらない……ってことで、バハムートの名前は……




「貴女の名前はアンジェラよ。これからも宜しくね」


「アンジェラか……ふむ、悪くないのぅ」


 気に入ってくれたかな?

あ、そうだ、隣にいるモフモフにも名前を教えてあげよう。


「隣のデルタファングはモフモフよ、仲良くしてね」


「モフモフか。うむ、了解したぞ」


「ちなみにモフモフにした理由は、抱き枕にするとモフモフしてて気持ちいいからよ」


 その言葉を聴いて、ピタッと動きを止めるモフモフ。

食事を中断し、恐る恐るこちらを見る。

 ん? なんかブルブルと震えてるように見えるけど、どうしたんだろ?

嬉しさで感極まったのだろうか?


「名前が決まったようですね。ではそろそろ本日の運営なのですが……」


「その前にDPの残量を教えてくれる?」


 結構景気よく使ってるから注意しとかないとね。


「はいお姉様。只今のDP残量は5222ポイントとなっております」


 1日しか経ってないのに随分減ったわね。

原因はわかってるけれども。

でも後悔はないわ、スマホのリンクは必要不可欠だった。

できることは格段に増えたはず。


「ちなみにさっき食べてた牛丼やら親子丼は、どれくらいの消費だったの?」


「はい。こちらが明細になります」


  親子丼・DP30 

   牛丼・DP25 

  カツ丼・DP35 

けんちん汁・DP5  

  お新香・DP3  

 大猪の肉・DP18

  飲み水・DP1  


 高っ!

高過ぎでしょこれ!! このままじゃダンジョン開放まで持たないじゃない!

しかもモフモフまで私よりいい物食ってんじゃねーわよ!!




 ふぅ、熱くなってしまった、一旦落ち着こう、冷静に冷静に。


「DPに関してなら心配無用かと思われますよお姉様」


 ん? どういうことなんだろ。


「DPの獲得方法の1つに、わたくし(ダンジョンコア)魔力(MP)を供給することでDPを得ることができるので、魔力の多い眷族に供給させればいいのです」


 ほほぅ、そんな方法があったのね。

それなら私のMPも役立つわね。今のところ魔法は使えないし。

それと大食らい(アンジェラ)にも協力させよう、拒否権はない!



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 早速アンジェラに魔力供給をさせることになったんだけど、これがまた膨大な量の魔力を持ってたので大量のDPが手に入ったのよ。

一応私も供給したんだけど、アンジェラに比べると焼け石に水みたいな状態だった。

悲しい……。


「魔力を消耗し過ぎて少々怠いわぃ。昼寝してくるから何かあったら呼んでたもぅ」


 アンジェラはアクビをしながら、いそいそと最下層に向かっていった。

食べてから直ぐ寝ると牛になると言うけど、アレ(アンジェラ)の場合は既に牛以上よね。


 特に胸の辺りがね。

 まぁ昼御飯になったら起きてくるだろうから、ほっときましょ。


 ちなみにアンジェラのステータスはこんな感じね。


名前:アンジェラ  種族:ドラゴン   

レベル:536   職種:アイリの眷族

HP:X£@≒   MP:%▲∽ヴ   

 力:8355   体力:9454   

知力:6780   精神:8941   

敏速:7322    運:28     

【ギフト】龍神の加護

【スキル】ドラゴンブレス 探知波動(エクプロルウェーブ) 咆哮Lv9

 【魔法】火魔法Lv9 風魔法Lv8 光魔法Lv8 闇魔法Lv9 無魔法Lv7


 HPとMPが文字化けしちゃってるのよねぇ。

他のステータスも軒並み最強って感じよね。

コレがボス部屋に居る限り、誰も突破できないわね恐らく。


「アイカ、DPって今どれくらい?」


「はいお姉様。只今のDPは15331ポイントです」


 凄っ!!

今日だけでDPが乱高下って感じね。

これなら余程のことがない限り、DPが枯渇する心配はないわ。


「素晴らしい成果です。ダンジョン運営2日目でこれほどのDPを稼いだダンジョンは、このイグリーシアでは存在しません!」


 私も驚いてるわ。バハムートだから高い魔力を持ってると思ったけど、これほどとはね。

というかこの世界ってイグリーシアって言うのね、初めて知ったわ。


 ちなみにアンジェラの後にモフモフにも供給させようとしたら、いつの間にか消えてた。

どこに逃げやがったのかしらあの駄犬。


「お姉様、そろそろ本日の運営を開始しましょう」


 それもそうね。じゃあこのダンジョンの1階層を完成させましょうか。


 まず1階層は無難に洞窟エリア。

2階層へのルートを3通りくらい作りましょうか。

全く罠の無いルートを1つだけ作って、それ以外は罠てんこ盛りで。

メインのモンスターは……、



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「ふふん、勢い余って2階層まで作ってしまったわ! 2階層は森林エリアよ!」


「お疲れ様です、お姉様」


「ありがとうアイカ。そろそろ昼だから御飯にするわ。アンジェラとモフモフを呼んでちょうだい」


「既にこちらに向かってきてるので大丈夫です」


 早っ! さすがは大食らいね。

さて、アイツらが来る前にメニューでも見てましょうかね。


 僅か2日で大量のDPを得たアイリのダンジョンだが、そのDPだけ見ても既に驚異的なダンジョンなのであった。


アイリ「モフモフ、寝るわよ~」

モフモフ「み、見回り行ってきやす!」

アイリ「あ、こら、待ちなさい!」

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