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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
最終章:落ちこぼれ勇者とエリート学生
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蒼天の悪魔

前回のあらすじ

 勇者エルシドの修行が終わったところで、チョワイツ王国に侵攻した十針達を撃退するため、エルシドを含めた眷族達に作戦を伝えた。

一方のチョワイツ王国では、ドミニク子爵の領地に転移者の操る魔物が押し寄せてきた。

これを撃退するため、急ぎクライムの街へと舞い戻る子爵であったが……。


 春のそよ風になびく草花を踏み潰し、大小様々な魔物が街を目指して突き進む。

 見通しの良い平原であるが故にそろそろ気付く者が現れるだろうが、指揮を任されている隊長は気にした様子はない。

 寧ろその光景に恐れ(おのの)くだろうと高を括っていた。


「シャッシャッシャッ! 漸くワスの出番が回ってきたけんのう。ここは一つ、ド派手に暴れて恐怖を植え付けるのが一番じゃわい!」


 鷲頭の人形(ひとがた)モンスターであるイーグルロードが鼻息を荒くする。

 この魔物は後方にいる転移者によってテイムされたBランクの魔物で、更に人語を話せる事から隊長を任せれていた。


「さぁて、街が見えてきた事だし作戦通り三つに分けるぞい。右翼はおんし、オーガリーダーに任せるけんしっかり頼むぞい」

「ぐぉぅ!」


 力こぶを作って見せたオーガリーダーが町の右側へと移動する。


「左翼はワレ、ゴブリンキングじゃ。存分に暴れるんじゃぞ?」

「グギャギャッ!」


 手にした大剣を掲げたゴブリンキングは左へと逸れて行く。


「そして正面はワスじゃ。非力な兵士や冒険者なんぞ蹴散らしてくれるわい!」


 隊長は三方に分かれて街を包囲するため、本隊以外の二つをそれぞれ別の魔物に任せたのだ。

 オーガリーダーとゴブリンキングもCランクの魔物だが、それ以上高ランクの魔物はイーグルロードしかテイムに成功していない。

 なのでこの3名による部隊指揮は実質最良の選択なのである。


「むぅ? ――シャッシャッシャッ! 雑魚共がようけ集まってきよったのう」


 やはり街に居た者達は魔物の進軍に気付いたようで、多くの兵士達が慌ただしく動いてるように見えた。


「だが今更慌てても手遅れじゃい。ワスの剣の錆にしちゃるけん光栄に思うがいいわい」


 隊長の目には大慌てで戦闘準備に追われてるように映っており、出来るだけ時間を稼いで援軍到着までの間籠城するのだと思っていた。

 が、しかし……


「むぅん? やけに土埃が舞っているような気が――んな! や、奴等正気か!?」


 それは大きな間違いで、何と彼等は多くの冒険者を引き連れ打って出てきたのだ。

 しかもその多くは獲物を見つけたといわんばかりに目が血走っており、中には笑い声をあげながら走って来る者まで居る始末。

 結果多くの魔物達は逆に恐怖を感じ取り、自然と足が止まってしまう。


「ば、馬鹿者ぉ! ワスらが怖じ気付いてどうするんじゃゴラァ! 向こうもその気ならこちらもそうするまでじゃい!」


 気迫で恐れた魔物達を鼓舞(こぶ)し、自らが先陣を切り突撃していく隊長。

 攻撃範囲に相手が入り込んできたところで己の剣を振りかぶる。


「ワスの実力、思いしれぃーーっ!」






 ガキン!


「い?」


 信じられない事が起こった。

 何とBランクにもなるイーグルロードの斬撃を真っ向から受け止めたのだ。

 しかも相手は……


「う……んなバカな! ただの雑魚兵ごときがワスの剣を受け止められる筈はぁ!」


 普通なら有り得ない。

 イーグルロードの剣レベルは6であり、達人レベルと言っていい。

 そんな彼の剣をどう見ても雑魚兵にしか見えない――いや、実際に雑魚兵なのだが、雑魚兵に受け止められる筈はないのだ。


「……フン、どうせマグレだ。そんな偶然は何度も起きないのだと教えてやろう!」


 先程のはマグレだと結論付け、隊長は再び剣を振るう……が!


 ガキィン! ガキガキン!


 どう見ても一般の雑魚兵にしか見えない男に上手く防がれてしまう。


「な……ななな! いったいどうなってやがるんじゃ! まさかワスよりも剣レベルが高いいうんか!?」

「それな、俺の剣レベル7なんだわ。恐らくだが、お前の剣レベルは6あたりだろ?」

「う……んだ……」

「つまりそれな、俺よりお前の方が低いからなんだわ」

「ふが!?」


 隊長は混乱しながらも何とか飛び退く。

 Bランクの魔物よりも雑魚兵の剣レベルが高いとは前代未聞だ。


「た、隊長……」


 近くにいたコボルトが震えながら剣を構えている。

 周りを見れば他もほぼ同様であり、誰一人として雑魚兵を倒した魔物は()らず、逆に魔物の死体が積み上がっていた。


(……仕方ない。不本意じゃが狙いを変えちゃる!)


 目の前の雑魚兵は雑魚ではないと結論付けた隊長は、別の雑魚兵に切り替える事にした。

 だが……


 ガキィィィン!


「――っと危ぇ。ディーキンには負けるが、俺だって剣レベルは6だぜ?」

「ほげ!?」


 再び飛び退く隊長。

 そんなに高レベルの剣の使い手がホイホイ現れるのは現実的ではない。

 寧ろ雑魚兵が揃って高レベルなのがおかしいのである。


(ええぃ、こうなれば手段は選ばん!)


 今度は小柄で明らかに弱そうな雑魚兵に斬り掛かっていく。

 見た目だけなら雑魚中の雑魚、キングオブ雑魚、雑魚オブザイヤーな雑魚兵に突撃する。

コイツなら間違いなく雑魚だろうと考えての選択だ。

 部隊を指揮する者としてはヘタレ過ぎる選択――だったのだが……


 バギィィィン!


「――ふぅ、ビックリしたぁ。()()()()()()だけど、上手くいってよかった」

「#★%∞∴@§$&★!?」


 最早言葉にならないくらいパニクった隊長は、折られた剣を投げ捨てると上空へと退避する。

 そして自分の顔を何度もつねるのだが残念ながら夢から覚める事はなく、残酷な現実である事が昭明された。


(くそ、なんなんじゃ……なんなんじゃコイツらは!? こんな奴等が居るとは聞いちょらんぞい!)


 当然である。

 国の中枢も、よもや正規軍よりも強い雑魚兵と冒険者が、王都ですらない街に居ようとは夢にも思わないだろう。


「た、隊長、アレを!」


 先程のコボルトが右翼側を指した。

 すると信じられない事に、オーガリーダーが冒険者に追い回されて逃げ惑ってたのだ。自身よりも2回り以上小さい者達によってだ。



「フハハハハ! 待て待てぇ!」

「追え追えぇーーっ!」

「ムフッ、中々の筋肉! ――いざ、この儂と肉と肉とのぶつかり合いを体験しようず!」


 あまりの恐怖にオーガリーダーは逃げの一手となっており、まるで追い剥ぎにあってるように見えた。



「くそっ! 右翼は何をやっとるんじゃ!」


 だが隊長も他人の事を言える状況ではない。

 何せ雑魚兵は誰一人として倒れてはいないのだから。


「ぐぬぬぬぅ、雑魚相手にコレを使う羽目になろうとは……。もう手加減する訳にはいかん。――くらえぇ、エアバーストアタァァァック!」


 イーグルロードの必殺技――上空から標的に対してドリルのように回転しつつ急降下する技で、風属性のウィンドカッターで周囲を巻き込みながら襲い掛かるという危険なものだ。


「いくらなんでもこれを受け止める事は出来まい! 防ぐと言うなら炎でも吐いてみせるんじゃなぁ!」


 さすがに鍛えられた彼等でも、コレを正面から受けるのは危険過ぎる。

 だが驚いた事に、果敢にもその危険に挑む者が立ち(ふさ)がったのだ。


「――下がれお前ら!」


 しかし現れたのは何て事はないただの雑魚兵。周囲の者達と何ら変わらない一人に過ぎない者だった。


「バカが! 勇気と無謀をはき違えた愚か者は潔く死ねぇい!」


 だがイーグルロードは忘れていた。

 鳥頭のせいも含まれるか微妙だが、その何て事はないただの雑魚兵が、雑魚ではないという二律背反を起こしてるという事を。


「今だ! ファイヤーブレスェェェス!」


 ブオォォォォォォ!


「な、何だと!? ――ウグァァァァァァ!」


 風属性の弱点ともいえる火属性のブレスをモロに受け、イーグルロードは炎上しながらゴロゴロと転がる。

 この場合、間違いなくイーグルロードは不運に見舞われたと言えよう。

 何故なら雑魚兵がファイヤーブレスを吐くなどイグリーシアの歴史上には存在しなかった事であり、普通はそんな事を想定して行動したりはしない。

 物事には限度というものがあるが、それを超越しつつあるこの戦いは正に例外だろう。


「あああ――」






「悪魔じぁぁぁぁぁぁ! こげん奴等は悪魔に違いねぇけぇ! ――おっとお、おっかぁ、都会は恐ろじいどごろだぁぁぁ!」


 哀れイーグルロードは完全に戦意を失い、ゴロゴロと転がりながら逃げて行く。


「た、隊長がやられたぁ! もうおしまいだぁぁぁ!」


 テイムされてる筈の魔物達ですら命令を無視して逃走を開始。

 いつの間にかゴブリンキングも討ち取られており、前線は完全に崩壊してしまう。


「よぉし、敵は敗走を開始した。者共続けぇぇぇ!」

「「「「「おおぉ!!」」」」」


 撃退に成功した筈なのに何故か追撃を開始するという血迷った彼等により、後方に控えてた転移者の元へと今正に厄介が訪れようとしていた。




 そんな事が起こっていようとは毛ほども思ってない転移者――志村(しむら)という男子生徒は、アクビをしながら平原をブラブラと歩いていた。


「ふぁぁ……あ~眠ぃ。魔物達に任せとけばいいとはいえ、さすがに退屈だなぁ。やっぱボス戦みたいな戦いがないと盛り上がらな……」


 ……等と呑気にフラグを立てているが、それに気付かぬまま事態は急変する。


 ドドドドド……


「ん? この音……って、ええ!? 何でテイムした筈の魔物が勝手に逃走してるんだ!?」


 志村は一瞬呆気にとられる。

 クライムの街に向かわせた魔物の群れが反転して逃げてくるのは明らかに命令違反だ。


「ちょちょちょ、おかしいだろぉ!? なんで命令を無視してんだよ!」


 勿論普通ではないが事は単純だ。

 転移者の命令より外的要因による恐怖が上回っただけである。

 だがそんな事を気にしてる余裕はなく、魔物達の後ろから、もっと恐ろしい存在が現れた。


「ヒャッハー! 転移者発見だぜぇ!」

「居たぞ! 捕まえろぉぉぉ!」

「うぬの筋肉……晒すがよい!」


「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ! く、来るな、こっち来るなぁぁぁぐぎぁごれぶぉばぁ……」


 後から攻め寄せてきた冒険者により抵抗する間もなくズタボロにされ、先の言葉が遺言となったのである。


 こうして戦いは終わり、クライムの街は守られた。

 此度の戦い。犠牲者が0という完全勝利と雑魚兵がファイヤーブレスを吐いたという記録は、以後イグリーシアの歴史に深く刻まれる事になるのだった。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 国境近くの街パーラット。殆ど無抵抗のまま落とされてしまったこの街から、6つの黒い塊が飛び立った。


「視界良好。今日はいい狩りが出来そうだな」


 その黒い塊――戦闘機に搭乗した鷹並(たかなみ)という男子が(つぶや)く。

 彼が言った通り今は雲一つ無い晴天に恵まれており、敵を捕捉するのには労しない良好状態だ。


「だよなぁ。こんないい天気なら王都まで飛んできゃ速攻でケリがつくのによ、何でか知らねぇが十針(とばり)の野郎は少しずつ前進するんだとよ。――ハッ、つまんねぇ野郎だぜ」

「まぁまぁ。それよりほら、目標の街が見えてきたよ」


 戦闘機部隊のリーダーである熊谷(くまがい)が愚痴るのを夜霧(よぎり)という男子が宥め、標的が見えてきた事を伝えた。


「それよりさぁ、これってそんなに簡単なわけ? そりゃ映画とかのシーンだと簡単に撃ち抜いたりしてるけどさ」

「そういえば(さかい)は戦闘機乗るの初めてだったな。――フッ、難しく考えるな。俺達のやり方を見てれば分かると思うぜ?」

「な~に格好つけてんのよ……」


 今回初めて搭乗する堺という女子生徒をリードするため、鷹並は自身の腕前を披露するつもりのようだ。

 これまでの戦闘で一番命中率の高かったのも鷹並なので当然と言えば当然かもしれない。

 そんな鷹並を真壁(まかべ)は白い目で突っ込んだが。


 が、彼等はまだ知らない。この蒼天の青空に悪魔が潜んでた事を……。


『コーション、コーション、アンノウンよりロックオン。直ちに回避せよ』


「へ? な、何これ?」


 ほのぼのとした雰囲気が一変、突如一機の戦闘機に警告が発せられる。


「おい、どうした堺? 何で警告が鳴ってんだ?」

「ししし、知らないよ! 私はこのハンドル以外どこも触ってないよ!?」


『コーション、コーション』


 警告が発せられてる一機――堺が搭乗した機体からは尚も警告が鳴り響くが、周囲には敵はおろか野鳥すら飛んでいない。


「故障か? ――ったく、屋内(おくない)の奴もいい加減なもん作んなよなぁ……」


 敵が見当たらない事から、熊谷は故障であると断定した。


「な、何、故障なの? 大丈夫なのね?」

「――みたいだね。今まではこうしたトラブルは無かったのに……」


 故障と言われて堺は落ち着きを取り戻し、夜霧は首を傾げつつ高度を下げた。

 だが……






『アンノウンよりミサイル! ミサイル!』


「え? 何? ミサイル!?」


 チュドォォォォォォン!


 訳も分からず、堺の機体は撃墜されてしまった。


「「「「「えっ?」」」」」


 故に他の5人も理解が追い付かず、パラパラと燃えカスが落ちて行くのを口を開けて眺めるしかなかったのだ。


「お、おい、何だ今の……何なんだ今のはよぉぉぉ!?」


 我に返った熊谷が叫ぶ。正体不明の何か居る。それを徐々に理解し始め、恐怖が後から押し寄せてきた。


「ちょ、ちょっと、何なのいったい!? 堺は何にやられたっていうのよ!?」

「ししし知らないよ! だって敵なんて見えないんだから!」


 熊谷に押し寄せた恐怖が波紋のように広がり、他の生徒達も同様にパニックを起こす。

 だがアンノウンは容赦なく迫ってくる。


『コーション、コーション、アンノウンよりロックオン。直ちに回避せよ』


 また別の生徒の機体に、あの恐怖の警告が鳴り響く。

 

「ひひひひぃぃぃ! ななななんなんだよ、何が居るんだよぉぉぉ!」


 正体不明の何者かに怯え、機体を大きく旋回させる。

 兎に角ロックオンを外す事を優先したための行動なのだが、それでも警告は鳴り止まない。


『アンノウンよりミサイル! ミサイル!』


「や、やめろ……やめてく――」


 ドシュュュュュュン!


「ギャァ――ピーピー、ガーガーガー……」


 また一機、成す術もなく撃墜されてしまう。


「くそっ、――おい鷹並、敵はどこだ? どこにいやがる!?」


 もし側近くに鷹並が居れば、胸ぐらを掴み上げてたであろう熊谷が怒鳴る。

 索敵捕捉(ターゲットポイント)という固有スキルを持つ彼なら相手が分かるのではと踏んだのだ。

 しかし、鷹並の返答は期待してたものとは違い、熊谷達を更なる恐怖へと誘う事になる。


「……見えない」

「あ?」

「見えないんだ……」

「だから何だっ――「見えないんだよぉぉぉ! いる筈の敵が見えないんだ! ――分かるか? そこに居る筈の敵が見えないこの事実が! こんな事は有り得ないのに! 俺の索敵捕捉(ターゲットポイント)は敵対してる存在が近くに居れば捕捉出来る筈なんだ! なのに……なのに何故見えないんだぁぁぁ!」


 鷹並は堺が撃墜された時から必死に敵を探していたのだ。

 しかし敵を発見する事叶わず、とうとう発狂する事態に(おちい)ってしまう。


「チッキショウ、全機撤退だ! 急いで前哨基地まで戻るぞ。あそこなら対空ミサイルも配備されてる筈だ!」


 そう言って熊谷は急旋回させると、他の3人も彼に続く。

 すると突然、彼等の無線に何者かが割り込んできた。


『こんにちは、転移者の皆さん』

「な! ――だ、誰だ!?」

『わたくしはアイカといいますが、特に覚えていただく必要はありません」

「あ? 何ふざけた事言ってやがる!」

『別にふざけてはいませんよ? これから死に行くあなた達が覚えても無意味だと思いますのでね』

「くそっ、ッざけんな! 姿を現せ!」

『姿を? ――おお、そうでしたそうでした、特殊迷彩(ステルス)を解除しないとあなた達には見えませんものね』


 アイカはわざとらしく勿体振り、ドローンに掛かってる特殊迷彩(ステルス)を解除する。


「「「ドローン(だと)!?」」」


 彼等は目を見開く。

 まさか異世界で自分達以外の者がドローンを所持してるとは思う筈もない。


「そこかぁぁぁ!」


 だがそんな事はどうでもいいとばかりに、鷹並がミサイルを射出する。

 元々シューティング系ゲームのランカーである彼は獲物を狙撃する事に長けてたのだ。


「くそ、何で当たらないんだ!? くそ、クソ、くそ、クソ、糞がぁぁぁ、」


 いつもならとっくに命中してる筈が、アイカの操縦するドローンにはかすりもしない。

 これには物凄く単純なカラクリがあり、特殊明細(ステルス)のONとOFFを使い分けてるだけだ。

 なのでいくらロックオンされても特殊明細(ステルス)を使用する事により、簡単に解除出来るのである。


『おやおや、確かにクソですねぇ。まぁ貴方の場合、クソの前に下手が付くのですが。クススス♪』

「チィックショョョウ! ――ふざけんな、ふざけんな、ふざけんなぁぁぁ!」


 アイカの挑発にキレた鷹並がミサイルを乱発しだす。


「バ、バカ、止めろ! 落ち着けぇ!」

「ちょ、鷹並、危な――」


 チュドォォォォォォン!


「うわぁぁぁ……ザーザーザー」


 結果フレンドリーファイアーが発生し、夜霧がその犠牲になってしまった。


「何やってんの鷹並、落ち着きなさいよ!」

「うるさい! 俺が負ける筈ないんだ、俺は下手じゃないんだ、俺はトップランカーなんだぁぁぁ!」

「だから落ち着きなっつってんでしょ! アンタが暴れるとこっちが――」


『コーション、コーション、アンノウンよりロックオン。直ちに回避せよ』


 しかし真壁も鷹並を気にしてる隙はなかった。


「ちょ、ちょっと止めてよ、冗談でしょ!?」

『フフン、残念ですが冗談ではありません。これが真実です』


『アンノウンよりミサイル! ミサイル!』


「い、いやだ、死にたくない! 死にたくないよぉぉぉ!」


 ドォォォォォォン!


『後2機ですか。――さて、どちらから落としましょう?』


 等と呑気に考えてるアイカだが、鷹並はいまだ発狂中でミサイルを射ちまくっている。

 勿論一発も当たってはいないが。


(クソッタレが、こんなとこで死んでたまるかよ!)

「ヤロウ、覚えてやがれ!」


 熊谷は急に高度を下げると機体から脱出。上手く着地して近くの森の中へと飛び込んで行った。


『フム、1人逃しましたがアレはリーダーでしょうし、わたくしとしては好都合です』


 と言うのも勇者エルシドの仲間が熊谷達に殺されてるので、元々エルシドにトドメを刺させるつもりだったのだ。


『――という事で、貴方とはここでお別れです。それでは』

「クソクソクソクソクソクソ――」


 ズドォォォォォォン!


 とうとう鷹並も撃墜され、炎上した機体が平原に突っ込む。

 幸か不幸かその光景を見てた者は居なかったが、ただ雲一つない青空の下に一つの背景と化した姿は、正に蒼天の悪魔が微笑んだ結果なのだろう……。


アイリ「やっぱりドローンだけでよかったわね」

ホーク「ワイらの出番が無いんちゃうん?」

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