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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
序章:ダンジョンマスターのすすめ
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自己紹介

前回のあらすじ

 死後に異世界へと誘われたアイリは、そこで宝玉のような光る石を見つける。

しかし掴もうとしても掴めずどうしようかと考えてたところに、神と名乗る金髪イケメンな青年ミルドが接触してきた。

そのミルドにより肉体と加護を授かったアイリは、宝玉に触れダンジョンマスターとなる事に決めた……のだが、急かすダンジョンコアによりいきなり難聴呼ばわりされてしまう。

 皆さんこんにちは。

ダンジョンコアに出会って数分で難聴扱いされた天前愛漓(あまさきあいり)です。

って、1人で言ってても虚しいわね。


 ダンジョンマスターに成って早々、ダンジョン核から命令をせがまれてしまったんだけど、ご命令をと言われても、まず何をしたらいいのか分かんない。

分かんないから、とりあえず自己紹介でもしようと思う。


「私の名前は天前愛漓(あまさきあいり)、あなたの名前は?」


「マスター、わたしに名前はありません」


「え? 名前が無いの?」


「はい。ですのでコア、もしくはダンジョンコアとお呼びいただければ良いかと」


 うーん、それだと何かつまんないんだよねぇ。

味気無いというか物足りないというか。

機械的って言えばいいのかな?

せっかく可愛い声なんだから、可愛い名前で呼びたいわよね。


「それならさ、私が貴女の名前をつけてもいい?」


「構いませんが、あまりセンスの無い名前だった場合、却下させてもらいますがよろしいでしょうか?」


 コヤツ、言いよる……。

というか私のセンスが疑われてるのかもしれないけど、変な名前をつけるつもりなんて更々ないし、可愛い声に合った可愛い名前をつけるつもりよ。


「変な名前にしないから安心して」


「……本当ですか?」


 何で疑うの!? 逆にショックなんだけど!


「事前知識として、過去にチ〇コとかウ〇コとかを名付けたマスターがいらっしゃることを知ってるのですが、そういった名前にされるとやる気が削がれるので、遠慮したかったのです」


 あ~うん、分かる分かる、男の人って特にそういう傾向が強いわよね。

お父さんはそんなことは無かったけども。

というかダンジョンコアにやる気とかあるのね……。


「さっきも言ったけど、変な名前にしないから安心してちょうだい」


「わかりましたマスター。では宜しくお願いします」


 それじゃあ可愛い名前をピックアップしましょうかね。


 まずはこのダンジョン核の声からイメージして、私よりも年下ね。

で、体格は私より若干小柄って感じかな。

うん、私に妹が居たらこんな感じね。

もういっそのこと、私の妹にしちゃおう、そうしよう。

ということで……




愛兎(アイト)


 男の子っぽいからダメね……。


「マスター、わたくしは人間の性別で言うところの女性になるようです」


 うん、声が女の子だから分かってるわよ。

 じゃあ次の候補は……




愛栖(アイス)


 夏は涼しそうだけど……。


「マスター、アイスという物はマスターの世界に存在する食べ物のことですよね? 食品の名前をつけられるのは……」


 分かってるわよ、次!




愛奈(アイナ)


 これはお姉ちゃんの名前だから却下ね。


「マスター、わたくしはマスターの姉ではありませんので……」


 わ、分かってるわよ、次よ次!




愛流(アイル)


 つぶらな瞳の猫を連想させられる名前だわ。


「……マスターはわたくしが猫に見えるのですか?」


 赤く光る綺麗な水晶ですね! 次よ!




「……愛子(アイコ)?」


「何で疑問形なんですか……」


「いや、なかなかしっくりくるのが思いつかなくて。それより愛子(アイコ)は「単調過ぎるので却下です」……だと思った」


 このままじゃ駄目よ、もっと相応しい名前にしないと!

世界に二つとない私のパートナーなのよ!




 思わずヒートアップしてしまった、冷静に冷静に……と……うん、これなら良さそう!


愛華(アイカ)なんて良さそうじゃない?」


 この名前なら姉妹っぽい感じも出ていいと思う。

後は本人が気に入ればいいけど……。


「はい。今までの中で一番まともだと思いますので、アイカでお願いします」


 よし、名前が無事決まったことだし後は……


「アイカ、私のことはお姉ちゃんて呼んでくれない?」


「できればマスターかアマサキアイリ様とお呼びしたいのですが」


 そんなんじゃダメよ、ちゃんと姉妹っぽさを出さないと!

特にフルネームはダメ! 絶対!

だからここは親しみを込めて……


「じゃあお姉様でお願い」


「かしこまりました。これからはお姉様とお呼び致します」


 よし、上手くいった!

可愛い妹ができて、私満足。


「それではこれからダンジョンについて説明致します。よろしいでしょうか?」


「オッケー」


「ではまず、ダンジョンとは何なのか、という話から始めます。そもそも、ダンジョンという物は……」


 そこからアクビが出るくらい長い話だったので、簡単に纏めると以下の通り。


 ダンジョンを運営するにはDP(ダンジョンポイント)が必要。

DPは、ダンジョン内の魔物を倒すか侵入者を倒す、もしくは追い払うことで獲得できる。

 そうして得たDP(ダンジョンポイント)を使用して、魔物や罠や宝箱を配置したり、通路やフロアの拡張を行うことができる。


「何かするにしてもDPがなきゃ始まらないってわけね。つまりDPが無くなると何もできなくなるから、DPの残高には注意しなければならないと」


「ちなみにですが、DPを使用して魔法やスキル、アイテムなどを獲得することも可能です。それらを上手く利用し、ダンジョンをより強固にしつつ、ダンジョンコア及びダンジョンマスターを死守することが重要です。特にわたくしは自力での移動が行えませんので、あまり目立つ所に置かれると危険かと思われます」


 それは考える必要があるわね。

上手くアイカをカモフラージュする方法を模索した方がよさそうだわ。


 何故目立つ所にダンジョンコアであるアイカを設置するとマズいのかというと、ダンジョンコアが破壊されればダンジョンは機能を停止し、その際ダンジョンマスターは死んでしまうのよ。

 仮にダンジョンコアを破壊されずに持ち去られたとしても、ダンジョンコアをダンジョンマスター以外の者が持ち出した時点で少しずつ魔力が失われていき、魔力が無くなるとコアはただの石になってしまうのだとか。

そしてやはり、その際もダンジョンマスターは死んでしまうと。


「あ、それならアイカを完全に隔離して、ダンジョン内部を捜索しても見つからないようにすれば……」


「お姉様、それは不可能です」


 良いアイデアだと思ったんだけど、アイカからダメだしされた。


「どうして?」


「ダンジョンには法則というものがあり、その内の一つで、ダンジョンコアからダンジョンの入り口までは絶対に繋げなければならない……と定められているのです」


 残念、イカサマはできないらしい。

それができたら楽だったんだけど、できないのなら仕方ない。

上手く罠を仕掛けたりして、侵入者から守るしかないわね……あ、侵入者といえば……


「アイカ、ダンジョン内で死んだ侵入者はどうなるの? それに侵入者の所持品とか」


「ダンジョン内で死んだ生物は、装備品も含め全てダンジョンに吸収されます。これはダンジョンで召喚されたモンスターも同様です」


 ふむふむ、ダンジョン内だと証拠隠滅が可能なのね……いや、積極的に侵入者を殺害するわけじゃないわよ? 黙って帰ってくれるなら、その方が有り難いし。


「侵入者を仕留めなくても侵入者がダンジョンから出ていけば、撃退したとみなして僅かながらDPが入手できます」


 でも罠だけで侵入者を撃退するのは難しいわね、罠を回避される可能性もあるはずだし。

そこで……


「ダンジョンモンスターを召喚するわけね」


 ダンジョンモンスターとは、ダンジョンマスターが召喚した魔物のことよ。


「はい、お姉様。ですがダンジョンモンスターは自我がないため、細かい指示に従わせるのは難しいという点に注意してください。できるのは大まかな命令だけです」


 融通が利かないから、個別で命令を出しても命令を理解できない可能性が高いらしい。


「代わりと言っては変ですが、ダンジョンモンスターを眷族(けんぞく)として召し抱えることができます。

眷族になった魔物は自我を持ち、ダンジョンマスターの命令には絶対です」


 それは、是非とも欲しいわね。

強いモンスターを召喚できたら眷族にしてみよう。


「ただし、注意点もいくつか有ります」


「どんなこと?」


「眷族は食事や排泄を行うようになるので、食糧が必要になります」


 ということは、自分のも含めて眷族たちの食糧も確保する必要があるのね。


「ちなみにわたくしは、食事の必要はありません」


 そりゃ手のひらサイズのダンジョンコアがボリボリと何かを食べてたら不気味よ……。


「そしてもう一つ。ダンジョンモンスターは死んでも時間が経てば復活しますが、眷族は復活しません」


 これも要注意ね。

眷族は替えが効かない……と。


「最後にDPですが、初期ポイントとして最初は10000DPで開始されます。そのDPを上手く使用しダンジョン構築を行ってください。運営開始から……つまり本日から1ヶ月後にダンジョンが地上と繋がりますので、それまでに侵入者への対策も完了しておかなければなりません」


 今日から1ヶ月で全ての準備を整えないといけないのかぁ……。


「わたくしアイカも全力でサポートさせていただきます」


「うん、よろしくね」


「では最初にモンスターを召喚しましょう。ランダム召喚と指名召喚がありますが、どちらに致しましょう?」


 神様(ミルド)曰く、運がかなり上方修正されてるらしいから、最初はランダム召喚のほうが良さそうね。


「ランダムで10回召喚しちゃおう」


「了解しました。1000DP使用して、ランダム召喚を10回行います」


 ふむふむ、どうやらランダム召喚は1回につき100DP必要らしい。

いまいち高いのか安いのか分からないけど、初期ポイントの1%を消費することを考えれば高いのかもしれない。


 そんなことを考えてると、目の前に魔法陣が出現し、モンスターたちが現れる。


Fランク:スライム

Eランク:ダートヘッジホッグ

Dランク:ブラックウルフ

Dランク:アサシンスネーク

Cランク:クレイゴーレム

Bランク:ワイルドホーク

Bランク:リザードマンキング

Aランク:ファイアドレイク

Sランク(シングル):デルタファング

SSSランク(トリプル):バハムート


「……」


「……」


「……ねぇアイカ」


「……なんでしょう、お姉様」


「ラスボスのような奴がいるんだけど……」


「いますね。それ以外もかなりの手勢です」


「こんなに簡単に出るものなの?」


「そんなことはありません。普通だと、Cランク以上は滅多に出ません。ほとんどG~Fがメインで、Dランクが稀に出現する程度です」


 ランクGも存在するのね。

まぁ運が人並み以上にあるのは間違いなさそうね。

というかコイツらちゃんと言うこと聞くんでしょうね?


「お姉様、バハムートを眷族にしましょう。基本ダンジョンモンスターはわたくし(ダンジョンコア)お姉様(ダンジョンマスター)を襲うことはありませんが、眷族ならより高度な意思疎通が可能です」


 でも眷族にすると死んでしまった場合、復活しないんだよね?

 せっかくの眷族を失うかもしれないとなれば、少し躊躇(ためら)うんだけど……。


「眷族になれば学習能力も備わるので、徐々に強くなるかもしれませんよ? 上手くいけば進化する可能性もありますし」


 進化かぁ……なるほどなるほど。

眷族が死なないようにフォローしつつ遣り繰りすれば、より高みを目指せそうね。


「わかった。それじゃバハムートとモフモフ(デルタファング)を眷族にするわ」


「お姉様、モフモフとは何のことですか?」


 おっといけない、デルタファングが狼種だったから、ついモフモフと言ってしまった。


「デルタファングのことよ。毛並みがモフモフしてそうでしょ?」


「なるほど、畏まりました。ではモフモフ(デルタファング)とバハムートを眷族にします」


 とりあえず、バハムートはダンジョンのラスボスとして、最下層のボス部屋に配置。

ちょっと部屋が狭そうだから後で拡張しよう。

 それから階層を1つ増やして、そこにモフモフ(デルタファング)以外の残りのモンスターを配置しておこう。

 それから……なんか眠くなってきた、今何時かな……、


 ()()()で確認すると、時刻は23時20分になっていた。

いつもならもう寝てる時間だし、そろそろ寝ようかしら……。


「アイカ、今日はもう寝るからまた明日ね」


「食事はよろしいのですか?」


「うん。お腹空いてないし」


 それに夜食べると肥るのよね。

おデブのダンジョンマスターとかカッコ悪いじゃない。


「了解しました。お休みなさいませお姉様」


「うん、お休みアイカぁ……と、忘れるところだった、ベッドを召喚しないと!」


 私は頭の中で普段使ってたベッドをイメージしながら召喚してみた。

でも何故か召喚できたのは、見慣れたベッドとは全然違う粗末なベッドだった。


「ああ、この世界のベッド……ってことね」


「只今の使用DPは10ポイントです」


 むぅ……DPもばかにならないし、我慢するしかないわね。

じゃあ改めて。


「お休みアイカ」


「お姉様、それは先程言いましたが?」


 分かってるってば!

本当は突っ込んでやりたかったけど、睡魔が限界まで侵食してきたので、諦めてそのまま寝ることにした。


 この時、何の()()()もなく眠りについてしまうのであった。


ミルド「アイリちゃん、パジャマも用意しといたよ」

アイリ「いいから帰って!」

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