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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第7章:過去に誘われしアイリ
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アレクシスとの合流

前回のあらすじ

 アシナ型ディフェンサーという狼型モンスターの大群の前に、一時的に撤退する事にしたアイリ達。

その際にアレクシス自らが殿を勤めたのもあり、パーティは無事撤退する事が出来た。

だが喜んでるのも束の間。

今度はグロウスとエレムがトラップの影響で崖の下に流されてしまう。

そこでアイリはアレクシスの方をリーガとミリオネに任せ、自身は崖下で戦う2人を援護し、無事窮地を脱する事が出来た。




「……む?」


「どうしたのですかグロウス?」


 崖の上へとたどり着き、巨木に突き刺さった自身の斧を回収したグロウスは、森が変化してる事に気付く。


「大分暗くなっているな。まだ夜には早い筈だが……」


 言われてエレムも気付き、辺りを見回す。


「確かに。……あ、もしかすると、先程の魔物がボスモンスターだったのでは?」


 思い出したのは、ここがダンジョンであるとアイリが発言した事だ。

もしボスモンスターを撃破すれば、ダンジョンが崩壊してもおかしくはない。

寧ろ崩壊するのが大半だろう。


「何れにせよ、早くアレク達と合流しましょう。――我らを導く光となれ、トーチ!」


 エレムの周囲を明るく照らされ先程よりも断然動きやすくなったところで、アレクシスの元へと急ぐ。

吊り天井が有った場所を通り過ぎ、見覚えのある奥まった獣道を進んだ先に、片膝立てて座っている状態で木に寄り掛かった人影が見えた。


「あれは……アレク!」


 人影の正体はアレクシスで、エレムが駆け寄ると傷だらけで強張った顔を崩し、優しい笑みを見せた。


「エレム、それにグロウスも無事だったか」


「わたくし達は大丈夫です。それよりも早く手当てを……」


 だがすぐに詠唱に入ろうとしたエレムを、アレクシスは片手で制止した。


「僕なら大丈夫だ。どうやら戦闘中にそこそこレベルが上がったらしくてね、徐々に楽に倒せるようになったところで殲滅完了さ。掛かった毒も解毒ポーションで治したし、ちょっと休んでたとろこだよ」


 そこそこ上がったという本人の証言ではあるが、実際には相当なレベリングが行われたと言っていい。

 アレクシスが足止めに残った際に30体近くの狼が居たのは2人も覚えてはいるが、相手にしたのはその数の3倍である。

 そのため物凄い経験値が貯まったというのが現状だ。

 そんな訳で、どうやら痛々しく見えるのは見た目だけらしい。


「ところで他の3人はどうしたんだ?」


 ここでエレムとグロウスは気付く。

自分達は水流に流されたのが原因ではぐれてしまったが、アイリ達3人は無事だった筈だ。

ならばその3人が先に合流してなければおかしいという事になる。


「来てないのですか? わたくし達よりも先に進んでる筈ですが……。ま、まさか3人の身に何かが!?」


「いや、そうとは限らない。ここがダンジョンの中だと仮定するならば、単に道を間違えた可能性も「……それはないな」グロウス?」


 アレクシスの言葉を否定しつつ遮ったのはグロウス。

そのグロウスにエレムも同意見だった。


「わたくし達はダンジョンのボスモンスターを撃破したのです。今現在はダンジョンが崩壊し、元の森に戻ってる筈です」


 エレムの説明に思い当たる節があったのか、成る程と頷いた。

だがそうなると尚更楽観視出来る状況ではなくなり、3人を捜すべくアレクシスは自身の頬を叩いて立ち上がる。


「よしっと。いつまでもはぐれたままじゃ危険だ、すぐに捜そう」


「はい! それで可能性の一つなのですが、3人が移動中にダンジョンが崩壊したと考えられます。ダンジョンの場所や構造は不規則なものですから、突然数キロ先に飛ばされてしまう事もあり、恐らくはその影響かと……」


 エレムの推測はこうだ。

2人がボスゴリラとの死闘を繰り広げてる最中に転移トラップに巻き込まれてしまい、現在地から遠く離れた場所に飛ばされた。

その後ボスゴリラを撃破した事によりダンジョンは崩壊するが、3人は遠くに取り残されたままになっているのだと。


「魔女の居る場所は西ですから、西に向かって進みましょう。幸いロードコンパスを各自で所持してますので、方向は分かる筈です」


 ロードコンパス……ズバリ言えば方位磁針のようなマジックアイテムで、東西南北が分かるようになっている。

ただし一点だけ方位磁針とは違う性能があり、これまで進んで来た道も示してくれるという大変有り難いアイテムなのだ。

つまり最悪は来た道を戻れば、ファルスの街にたどり着く事が可能となっている。


「分かった。ならば目指すは西だな」

「はい」

「……うむ」


 行動方針が決まり、いずれ3人と合流出来ると信じたアレクシス達は、本丸が潜むと思われる西へと足を進めた。




 そんな去って行く3人を木陰から見届ける者が一人。

はぐれた3人の内の一人である筈のアイリであった。


「こっちはこれで良いとして、問題はリーガとミリオネの方よ」


 理由はエレムの推測がほぼ正解だってところね。

私は既に別行動をとってたから転移トラップには掛かってないけど、あの2人はリーガが踏んだトラップに掛かって30キロ以上も離れたところに飛ばされたみたいだから。

幸いなのは、2人共同じ場所に転移した事だと言える。


『やっぱりあの2人を助けに行くの? そもそも死ぬ事は無いんだから、気にしなくても大丈夫よ?』


 そう言ってもやっぱり心配なものは心配よ。

だから私はクリューネの言葉に対し首を横に振る。


「だって、エレム達は私が居ないと危なかったじゃない。あの状況を上手く切り抜けられたようには見えなかったわよ?」


『それね。多分だけど、エレムが殴り飛ばされた先で偶然杖を見つけて反撃出来たとかだと思うよ? そうじゃなければあの2人は死んでる筈だし』


 それにしたって、死にそうになるのを分かってて助けないのは抵抗がある。

 という訳で……


「クリューネ、リーガとミリオネの詳しい居場所を教えてちょうだい」


『しょうがないわねぇ……』




 クリューネが教えてくれた場所は、現在地から更に30キロほど離れた西のダンジョンとの事。

かなり遠いので、アレクシス達を迂回して現場までひた走る。

そして着いた先は、やはり周囲と同じ背景が広がる薄気味悪い森にしか見えない。


「ここなの?」


『見分けはつかないだろうけど、三歩先に進めばダンジョンに入るわ。だけど気を付けてね? 何度も言うけど、本来の歴史からかけ離れた行動をとればイレギュラーが発生する可能性が高いから、くれぐれも過度な手助けは無しよ?』


「うん。そこは気を付けるわ」


 心の中で何度も自分に言い聞かせ、ダンジョンへ突入する。

すると自分の周囲が明るくなり、ダンジョンなんだと再認識させられるわね。


「で、本来の歴史ではどうなってるの?」


『堂々と聞くのね……、まぁいいけど。このダンジョンで2日程迷ってたところをダンジョンに入って来たアレクシス達と合流するわ』


「ダンジョンのボスは倒さないの?」


『5人でボスに追われてる最中に転移トラップに掛かり、100キロ程離れた場所に強制転移ってのが本来の流れみたいね。だからアイリに出来る事は、2人と合流してアレクシス達が現れた後に一緒に転移トラップに掛かる事よ』


 うっわ、面倒くさい……。


『仕方ないのよ。一緒に転移しないと勇者パーティはアイリを捜そうとするわよ?』


 それはもっと面倒くさい……。

何かもっと簡単便利な方法は……あ!


「この辺りを探索して待つってのはどう?」


『それでも良いかもしれないけど、それならアレクシス達と……! マズイわアイリ、ボスがアイリを感知したみたいで、こっちに向かってくるわよ!』


 ウゲ! 益々面倒な事になった!


 ガサガサガサガサガサガサ!






「シュゴーーーーーーッ!」


 現れたのは迷彩柄のゴーレムよ。

大きさは体長7メートル超はあるフォレストキーパーと同じくらい。


名前:フォレストガーディアン  

職種:エリアボス        

ランク:???  種族:ガード 

HP:3000  MP:500 

 力:500   体力:1500

知力:500   精神:500 

敏速:500    運:25  

【スキル】格闘Lv5 高出力ビーム リカバリーリペア   

【魔法】

【ギフト】


 すかさず鑑定した結果がコレ。

魔法を使える人達が束になることで、やっと戦える相手よ。

 というか、あの2人はよくコレから逃げる事が出来たわね。


『逃げる事しか出来なかったとも言えるけどね。それよりもアイリ、これから2日間、頑張って逃げ延びてね』


「はぁ!? ちょっと何ふざけた事言ってんのよ! コレと2日間も戯れてろって言うの? 冗談じゃないわよ! クリューネは見てるだけでいいか『ドゴッ!』って危な!」


 人が話してる時にぃぃぃ!

 ああもう倒したい倒したい! 一思いにブチのめしてやりたい!


「ファイヤーボール!」


 ボン!


 足元狙って撃ち込んでやった。

片足を砕いたので、その場で転倒するクソガーディアンから一旦距離をとると……


「ホコウフノウ。復元ヲカイシスル」


 機械的な音声と共に失った片足の部分に光が集まると足が再生され、元の状態に復元した。

これじゃ足元を崩しても意味がない。


「でも素早さなら私の方が遥かに上だし、引き離して隠れるようにすれば……」


『一応教えといてあげるね。そのゴーレム、サーモグラフィックモニターによる熱源センサー付きだから、どこへ逃げても死ぬまで追ってくるわよ』


 なんでそんなハイテクなのよ! というか誰が作ったこんなもの! だったら思いっきり遠くまで逃げてやる!


「エネルギー充填カイシ……30%……70%……100%充填カンリョウ。モクヒョウニ向ケテ……ハッシャ!」


 キュイィーーーーーーーーーーー!


「ひぃ!? なにこのデカいレーザーみたいなのは!?」


 ゴーレムの顔から発射されたレーザーみたいなやつで、前の木々が消え去ったじゃない!


『高出力ビームよ。当たったら熔けるから触らないようにね。』


「誰が触るか!」


 というかコレ、ダンジョンも熔けるんじゃないの!?


『アイリの知ってるダンジョンとは少し異なるみたいだから、もしかしたら熔けるかもしれないわ。だとするとあの2人には危険過ぎるから、なるべく近距離で相手してやるのがベストよ』


 理不尽な! 何だってこんな目に合わなきゃなんないのよ!


「いい加減にしなさいよこの粗大ゴミ!」


「シュゴーー、我ヲゴミ呼バワリトハ万死ニアタイスル。コムスメノ分際デナマイキダ」


 驚いた事に言葉が通じるらしい。


『凄いわ! このガーディアンが会話出来るって記述は無かった筈よ。これは新発見だわ!』


 知らんわそんなん……。

だいたいサーモグラフィックで小娘って事が分かるとかおかしいじゃない!


「この粗大ゴミ! あんたなんか恐くないわポンコツ! お呼びじゃないのよガラクタ!」


「シュゴーーーーッ! 我ヲココマデ侮辱シタモノハ貴様ガハジメテダ。ゼッタイニ後悔サセテヤルゾクソガキ!」


 今度はクソガキって言われた! 脱出する際に絶対壊してやる!


「ハナシハ終ワリダ。カクゴシロ」


「ああもぅ、ちくしょーーーーーーっ!」


 こうして長いようでやっぱり長い、鬼のような鬼ごっこが開始された。


アイカ「皆さんこんにちは。最近出番がなく、予測変換ですら出てこなくなったアイカです。突然ですがクイズの時間となりましたので出題させていただきますね。では参ります」


Q、次の眷族の内、カラオケボックスに入り浸ってる者は誰でしょう?

1、ホーク

2、ザード

3、レイク

4、セレン


アイカ「正解した方には抽選で、素敵なマジックアイテムをわたくしのポケットマネー(DP)からプレゼント致します」

アイリ「致しません! あ、正解は4番よ」

アイカ「何故バラすんですか!」

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