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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第7章:過去に誘われしアイリ
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ハーレム勇者

前回のあらすじ

 過去へと放り出されたアイリは、気がつくと見知らぬ草原に立っていた。

そこで近くの街へとやって来たところ、ちょうど魔物による襲撃を受けてたため、それを手早く倒す事に成功。

直後勇者がやって来たという話を知らされ、勇者パーティに混じって魔女討伐に同行しようと動き出したのであった。




「――つまり、何者かに呼ばれてここに居る……って事でいいのね?」


『平たく言うとそうなるわ』


 広場に向かって踏み均されて出来た土の道を歩きながら事の経緯を聞き出してる訳だけど、クリューネが言うには、1000年前に封印した異世界の侵略者が関わってるらしい。

 確かベタンゴートから聞いた神話の話に有った出来事だけど、天魔戦争で天使族も悪魔族も互いに消耗してたところを異世界からの侵略にあったのよ。

けれど神々が地上に降臨して次々と駆逐しつつ、侵略者の親玉を()()()()()封印した。

そしてそのある場所というのが……






「私のダンジョンがある場所とはね……」


『あたしも知らなかったのよ。まさかあのカラオケボックスがある所が……って思ったわ』


 その言い方だと、カラオケボックスに親玉が封印されてるように聴こえるから訂正してほしいんですが……。


『その親玉が復活したのは、元居た時代から500年前の今って訳。ただし、勇者であるアレクシス一行により再び封印された事になってるわ。……史実ではね』


 史実では……という事は、事実と異なる可能性があるんだ……。


『実際に誰が封印したのかは関係ないのよ。歴史上ではそうなってるってだけで、封印せずとも倒せるんなら倒してしまってもいいしね』


 倒してしまってもいいって、凄くフラグになりそうな台詞よね、どうでもいいけど。


『でも注意しなきゃならない事もあるわ』


「どんな事?」


『事実をねじ曲げてはならないって事よ。例えば、死ぬ筈のない人を殺しちゃったり……とかね』


 いやいや、さすがに無関係な人をいきなり殺すような事はしないわ。


『例えそれがどんな悪人であってもよ?』


 ……そう言われると、ちょっと引っ掛かる部分がある。

もしも極悪非道な奴に遭遇したら殺してしまいかねない。


『だからこの時代に居る間はあたしが誘導するから、そこから大きく外れる行動はとらないでね。絶対よ?』


「う~ん、絶対って言われるとあんまり自信がないんだけど、一応は「絶対って言ったら絶対よ! いいわね?」……う、うん」


 妙に語気を強められたけど従わないとマズイ事になりそうだし、余計な行動はしないように注意しよう。


『OKOK、それでいいわ』

(そうよ、従ってもらわなきゃ困るのよ。じゃなきゃあたしがアイリを……)


 クリューネはこの時代に来る前の事を思い出していた。

そもそも彼女がこうしている理由は天界での一幕が原因だ。




「急に呼び出してどうしたのお姉ちゃん?」


「その事ですが、貴女はアイリというダンジョンマスターの少女と親しいようなので、貴女にアイリの元へ赴いてもらおうと思ったのです」


「へ? 赴く?」


 何の事か分からないという顔をしたクリューネを無視してラフィーネは続ける。


「先程かの生命体がアイリを過去へと誘いました。そこで貴女にやっていただきたいのは、アイリが事実をねじ曲げないように監視する事です」


「アイリを監視って……」


「今から貴女に【時渡りの術式】を施します。精神体だけではありますがこの術式を使えば過去へと渡る事が出来ますので、過去に渡り、アイリの傍らで監視を行って下さい」


「お姉ちゃんそれって……」


 険しい顔をしたクリューネがラフィーネに詰め寄ると……






「難しくて分かんないからもう一回言って?」


「あ、貴女は……」


 コケそうになるのを何とか耐えたラフィーネは、疲れた表情で額を押さえながら姿勢を正すと、もう一度同じ事を説明した。


「うん、何となく分かった!」


「何となくでは困るのですが……まぁいいでしょう。ではいきま「その前に確認したい事があるんだけど!」……なんですか?」


 術式を施そうとしたところを遮られ少々苛つきを見せるラフィーネに、クリューネは遠慮なく疑問をぶつけた。


「なんで、アイリが過去へ連れてかれたの?」


「そういえば貴女は知りませんでしたね。アイリがダンジョンを構えてる場所の事を。あの場所はかの生命体を封じた場所にあたるのです」


 そこから先はアイリに話した通りだ。

1000年前に封印した異世界の生命体が500年前に復活したが、勇者によって再度封印された。

それから500年後の今、再び行動を起こしたのである。


「彼女を過去へ誘った理由までは分かりません。もしかしたら彼女に何かをさせるつもりなのかもしれません。ですのでクリューネ、貴女にはもしもの場合に備えてほしいのです」


「もしもの場合?」


「過去を改ざんする事は、例え神であっても許されません。もしも彼女が過去を変えようと行動した場合の話です」


 そこでクリューネは凍り付く。

この先のラフィーネの言葉が分かってしまったからだ。




「もしもアイリが」

(お、お姉ちゃん……)




「過去を変えようとしたならば」

(やめて! その先は!)




「貴女の手で」

(聴きたくない……)




「彼女を()()しなさい」






『それだけは絶対にしたくない!』


「ク、クリューネ、いきなりどうしたの?」


『え!? あ、な、何でもない何でもない! ちょっと考え事をしてただけだから』


「そう?」


 ならいいんだけど。

あ! 綺麗に整ってる大きめの広場に冒険者のように武装した男女がいる。

きっと勇者パーティに違いないわ。


「クリューネ、話はまた後でね」


 さて、上手く同行させてもらえればいいんだけど、もしそれが出来なかった場合は単独で向かう事にしよう。


「すみませ~ん。勇者パーティが来てるって聞いたんですけど、皆さんがそうですか?」


 遠くから声をかけたけどキチンと聴こえたらしく、5人の男女が一斉にこちらへ振り向き、その中の若い男の人が口を開いた。


「確かに僕らは勇者パーティとして活動してる者だが、君は?」


「私は旅の冒険者でアイリって言います。魔女の森に行くって聴きましたので、是非同行させてもらおうと思ったんですけど、どうでしょうか?」


 私の言葉を聞いた勇者達は、深海よりも深そうな溜め息をついてからこちらに向き直ると、言い聞かせるように話し出した。


「いいかいお嬢さん? 僕らは遊びでやってる訳じゃないんだよ。勇者だと持ち上げられてはいるけれど、命懸けで戦ってるんだ」


「その通りです。貴女はまだそこに居る年増よりは全っ然若いのですから、死に急ぐ必要はないのですよ?」


「そうね。貴女はまだ発育途中なんだから、そこのまな板よりは全っ然希望があるんだから諦めちゃダメよ?」


 私でも分かる。

この女性2人はあまり仲がよろしくないのだと。

 って、それは兎も角、もう少し食い下がってみよう。


「こう見えても私、かなり強い方ですよ? なんなら試してみます?」


「せやから嬢ちゃん、これは遊びやないってアレクが言うたやん。あ、アレクっちゅうのはそこのイケメン勇者の事な。まぁ兎に角や、勇者ごっこは他でやったらええで」


「…………」


 食い下がったけど関西弁の獣人にお遊び扱いされた挙げ句、無口なドワーフがそれにコクコクと頷き同意されてしまった。

 こうなったら単独行動で行こうかなとも思ったんだけど、このまま引き下がるのも(しゃく)だし、せめて実力を示してからにしよう。


「ふ~ん、まぁそうですよね。こんな年下の少女に負けたとあっては、面目丸潰れですもんね? それならそうと言ってくれればいいのに……」


「ちょい待ちぃや。嬢ちゃん、今のは聞き捨てならんなぁ? 自分何言ってるか分かってるんか?」


 軽く挑発したらさっそく乗ってくれた獣人の女性に感謝するわ。

お礼にもっと煽ってあげちゃう!


「分かってますよ? そのくらい。貴女もそこのガーゴイルみたいに成りたくないんですよね?」


「だから嬢ちゃん、いい加減……え!?」


 あら? 固まっちゃった? 獣人の女性だけじゃなく、他の4人も固まってる。




「あのぉ~、もしも~~~し!」


「「「「ハッ!?」」」」


 ちょっと声を張り上げたら正気に戻ったらしい。

アレクシスって勇者が顔をパンパンと叩いて真っ直ぐ私を見据えてきた。


「確かアイリと言ったね? 君があのガーゴイルを倒したというのは本当なのかい?」


 どうやら勇者パーティは、私がガーゴイルを倒したという事を半信半疑に思ってるみたい。


「そうですよ? 西側に居たガーゴイルも全部片付けましたし。確か7体くらい居たかな? 4体は剣で斬り裂いて、残りは炎で燃やしてやりました」


「な、成る程……グロウス?」


「……間違ってはいない。確かに4体は剣によるもので斬られてたし、3体は燃えかすになっていた」


 水を向けられたドワーフは私の証言が間違いないと肯定してくれた。

それを聞いてたアレクシスは閉じてた目を開くと、私に向き直り手を差し伸べてきた。


「疑ってすまなかった。どうやら君は相当な強者のようだ。ならば是非とも僕らに協力してほしい」


「はい。最初からそのつもりでしたんで、こちらこそ宜しくお願いします!」


 勇者アレクシスの信用は得られたみたい。

反面他の面子は、いまだに信用してませんって顔に書いてあるわね。

あ、ドワーフのグロウスさんだけは分かんないけれど。

 その日は勇者パーティ専用の部屋――予め予約されてた宿に泊まり、そこで軽く自己紹介。

次の日の朝、街の人達に見送られて魔女の森に足を踏み入れた。

木々により遮られる太陽を背に、徐々に光が届かなくなっていく獣道を進んでいく。


「みんな気を付けろ、向こうはこちらの動きに気付いてる可能性もある。いつ奇襲を受けるか分かんない以上、常に警戒を怠るな」


 先頭を歩き、チラリと振り向きつつ注意を促すアレクシスは、やっぱりリーダーって感じがするわね。

そんな勇者の横顔を見てた3人は……


「も~ぅ、アレクったら心配性なんだからぁ。魔力反応があればすぐに気付くから、私に任せてくれれば大丈夫よ。危なくなったら優しく包んであ・げ・る」


「せやなぁ。気配察知ならウチが居るから問題あらへんしな。それとも心配してくれてるん? ほな今晩は期待してもええよ?」


「わたくしは神託を受ける身なので、何か動きがあればすぐにわかります。そ、その……夜のお勤めも頑張らせていただきましゅ……」


「お、おいおいみんな……」


「…………」


 と、ご覧の有り様。

唯一グロウスさんだけは、何を思ってるのか見当もつかないけど。

 でもさすがに勇者パーティなだけあって、ベタベタしてはいるけれど、絶えず周囲に気を張り巡らせてるところは感心するわ。

もしこれが普通の冒険者だったなら、魔物の奇襲を受けてあっという間に全滅してるわね。


「む!? 魔物の気配や! コイツはDランクのアサシンスネークやな。隠密スキルを持ってるから要注意や。分かっとるか嬢ちゃん?」


「分かってます」


 人懐っこそうな獣人なのに名前で呼んでくれないあたり、やっぱりまだ信用されてないっぽいなぁ……。

ま、実力示せば大丈夫かな?


「よし、円陣を組むぞ! 四方からの襲撃に備えるんだ!」


「分かったわ。ほぉら、お姉さんの隣に入れてあげるから、小娘も円陣に「ハァァァ!」


 勇者パーティが円陣を組もうとする中、既に索敵が終わってた私は、即座にアサシンスネークへと駆け寄り斬り伏せる。


「シャァァァ……」


「え? ちょ、お子様が勝手に「そこぉ!」


 最初の1匹を倒すと続いて2匹3匹4匹と立て続けに斬り捨て、最後の1匹が後ろに居たためアイシクルジャベリンで木に縫い付けた。

 戦闘が終わり、いまだポカーンとして見てる勇者パーティの元へ戻ると、大声で呼び掛けて我に返す。


「す、す、す……」


「す?」






「凄いじゃないかぁぁぁ!!」


 うぁっ!? ビックリした!


「最初に君がガーゴイルを倒したと聞いた時に疑った自分を叱ってやりたいぐらいだ! 今の動きを見て確信したよ、君が居れば確実に魔女を倒せると!」


「……うむ」


 アレクシスからの信用が急上昇したらしい。

ついでにグロウスさんもコクコクと相槌を打ってきた。

 ただし、女性陣3人からの敵意が急上昇したっぽい。

だって明らかに面白くなさそうな顔で睨んでくるんだもん。

このままだと空気が悪くなりそうだし、何か対策しないといけないかも……。


アレクシス「いやぁ3人共落ち着いてくれないかなぁ……」チラッ、チラッ

アイリ「止めませんよ? 」

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