表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第5章:熱き猛るダンジョンバトル
131/255

改変バトルロイヤル2

前回のあらすじ

 アマノテラスによる新たな企みとは、眷族の居ないアイリのダンジョンに勝利する事であった。

だがアイリの方も対策を施し、アイリ対アマノテラスの戦いが再び始まったのである。

 バトル開始から30分が経過した。

状況は数で押されつつあるって感じだけど、まだ焦る必要はない。

3時間生き残れば私の……いや、()()の勝ちになる。


千手(せんじゅ) 前回勝者

『おうよ、()()2人の勝利よ!』


トミー 前回勝者

『いや、何で2人だけの勝利になるんだ……』


アイリ 前回勝者

『ごめんねトミー。千手はちょっと勘違いしてるみたいだから、後でよぉ~く言っておくわ』


トミー 前回勝者

『お、おう……』


 先日は気付かなかったけど、トミーも生き残った側だったみたい。

今のところ生き残りは、私達を含めて21人。

早くも5人がやられちゃったようだけど、誰か1人でも最後まで生き残ってればいいので、ひたすら防衛に専念すれば勝てる筈よ。


メイプル 前回勝者

『皆さん頑張ってなのです。皆さんが勝てばあたしも勝つ事になるのです』


千手 前回勝者

『頼るんじゃねぇ! だいたいおめぇは負けるの早すぎんだよぉ。開始5分で攻略されやがって!』


 そう、千手が言った通り、この金髪で小柄のメイプルって子は真っ先に攻略されたのよ。

まぁ第一被害者? とでも言おうかしら。


アイリ 前回勝者

『そもそもどうやって前回は生き残ったの?』


メイプル 前回勝者

『それはですね、あたしは何もしてないですけど、何故か入口付近で侵入者同士が戦い始めたです。お陰で誰もコアルームまでたどり着く事はなかったです』


 ふ~ん? 侵入者同士がねぇ……。

なんだってそんな事をしたのかしらね? まぁいいか、メイプルが勝てた理由は侵入者側にアホが居たって事ね。


トミー 前回勝者

『しかしよぉ、眷族が参戦出来ないって事ぁアイリにゃ不利なんじゃねぇか?』


千手 前回勝者

『そうそう、俺としてもそこが気になってんだよな。大丈夫なのか?』


 この2人も含めて大多数のダンマスには私=強い眷族って認識が有るらしく、眷族抜きだと大した事はないと思ってるダンマスもいるのだとか。

 それなら教えてやろうじゃないの、眷族抜きでどこまで戦えるかをね。


アイリ 前回勝者

『なんとかなるわよ。DP(ダンジョンポイント)は豊富に有るからどうとでもなると思ってくれていいわ』


 消費せずに終わらすのが一番理想的だけどもね。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



ウェポン アイリーン発展中♪

『くっ、着いたとたんいきなり襲い掛かってくるなんて、ここのリザードマンは手出ししなければ襲って来ないんじゃなかったの!?』


リーサル アイリーン発展中♪

『知りませんよそんな事! それより迎撃に専念して下さい。それから手の空いてる人は後方支援出来るモンスターをこちらへ!』


 こちらは3階層の沼地エリアにたどり着いたダンマス達。

そんな彼等は今、そこに配置されていたリザードマン相手に(たわむ)れていた。


 群となって襲い掛かるリザードマン相手にクレイゴーレムやオーガが立ちはだかるのだが、如何せん数が多くとても全てを相手に出来る余裕はない。

 そんな壁役の脇をすり抜け後方に居たゴブリンやオーク達に襲い掛かるので、ゴーレムやオーガは巻き込まないように攻撃せねばならなくなる。

 そうなるとチマチマとした攻撃を繰り返す事になり、リザードマンを一掃するには不十分な火力しか出せない。

 結果周りを囲まれて、四方から切り刻まれてしまうのであった。


 このリザードマン達は相手から攻撃されない限り襲ってこない――というのは昨日までの話で、急遽アイリによって()()()()()()という設定に変更されたのだ。

 そのため人畜無害だと思い込んでたリザードマンの脇をすり抜けようとしたところで、思わぬ痛手を負う羽目になった。


ウェポン アイリーン発展中♪

『よく分かんないけど、バトル用に設定を弄った可能性があるわ』


リーサル アイリーン発展中♪

『そうですね。思えば大勢のダンマスを相手にする時点で、今までと同じ設定だと思い込んだ私達の考えが甘過ぎたのでしょう』


 リザードマンを含む多数のモンスターが沼地へと沈んでいくのを横目に、後からやって来たダンマスのモンスターが通過していく。

 この沼地エリアだけでも7人のダンマスがリタイアしたのだった。


 だがここはまだ3階層で、アイリの居るコアルームまでは残り10階層も突破しなければならず、次の鉱山エリアでも多くのダンマスが悪戦苦闘していた。


ハード アイリーン発展中♪

『気を付けるんじゃ! 鉱山の中は迷路になっておる上に、暗がりからコボルトが奇襲してきよるぞ!』


 コボルトが放つ弓矢に次々と倒れ伏すゴブリンやオーク達。

飛行してるホーネットも狭い坑道では優位に立てず、徐々に数を減らしていった。


ダイ アイリーン発展中♪

『ぬぇぇぇい、生ぬるい! 一思いに焼き尽くしてくれるわ! ゴブリンメイジよ!』


 1人のダンマスがゴブリンメイジに火魔法の発動を命じた。

すると3体のゴブリンメイジがファイヤーボールを暗がりへと撃ち込む。

だがこれが悪手となり、周囲が次々と爆発を起こすのと同時に炎に包まれる事になってしまう。


ダイ アイリーン発展中♪

『な、なんとぉぉぉ! ファイヤーボールが()()()燃え移ったような有り様だぞぃ!』


 予め仕込んであったのは火薬。

以前アイリがEランクのロックとダンジョンバトルを行った際に、火薬を使用した罠により大きな被害を出した事を思い出して採用したのだ。

狭い坑道で爆発を起こしたため先に進む事が出来ず、出口へ引き返そうとする者と後ろからやって来た者とが入り雑じり、坑道内は大混乱となった。


ハード アイリーン発展中♪

『なんの、炎ごときに遅れはとらん! オークジェネラルよ突き進め!』


 そんな中、厚い鎧を着こんだオークジェネラルは炎の坑道を突破する事に成功した。

だが残念な事に、その勇気ある行動が報われる事はなかった。

何故なら……


ハード アイリーン発展中♪

『むぅ……行き止まりか……』


 爆炎の先にあったのは、ボス部屋ではなく行き止まり。

4階層の鉱山エリアは鉱山の中にボス部屋が設置されてるのだが、入れる鉱山の数が多く何処が正解の鉱山なのかも分からない。

故に前回ここを突破出来た者達は、余程の手練れか幸運に恵まれてたかのどちらかだろうと(ささや)かれ始めた。


 そして幸運か実力か、鉱山エリアを突破したダンマスがちらほらと現れ始める。


イット アイリーン発展中♪

『確か次は6階層の闘技場エリアだった筈だが、ここは闘技場なのか?』


カクテル アイリーン発展中♪

『いや、そんな感じはしないねぇ。どう見ても街にしか見えないんだねぇ』


 闘技場などどこにも無く、彼等の目の前には5階層のアイリーンが見えていた。


リコール アイリーン発展中♪

『確か5階層は不可侵になってるって聞いたが……あれ? やっぱ入れないな……』


 ここへきてアイリは5階層の街を見えるようにしたのだが、当然見えるだけで中には入れない。

だかこれがアイリによる最大の罠だった。


トータル アイリーン発展中♪

『ん? んおぅ!? こ、これは!!』


 仕掛けられている()()()()彼等は、既にアイリの術中に嵌まりつつあった。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 さて、アイリによる苛烈(かれつ)な罠が発動してる頃アマノテラスはというと、いまだ侵略をせずにコアルームで寛いでいた。

多くのダンマスが挑んだ後に、消耗してるであろうアイリのダンジョンを潰すためだ。


「まぁ精々頑張りなよ。最後に僕がとどめを刺してやるからさ。クククク」


 相変わらず余裕をぶっこいてるアマノテラスだが、勿論何も手を打ってない訳ではない。

アイリのダンジョンを攻略した者には、DP1000万ポイントを進呈すると触れ回ったのだ。

これにより、報酬に釣られた者達は我先にとアイリのダンジョンに突入していったが、アマノテラスとしてはバカ正直にDPを進呈するつもりはない。

攻略間近までいった場合、横から奪い取るつもりでいるのだ。


「とはいえ、雑魚が束になったところでアイリには勝てないだろうけどね。不快だけど、それだけは認めてやるよ」


 攻略間近まで――は、あくまでもポジティブに考えた場合だ。

殆どは、そこへたどり着く事すらなく脱落するだろうと見ていた。


「それにしても脱落者が多いな……」


 脱落すると言ってもジワジワと攻略が進みながらだろうと思っていたが、それにしては脱落者が加速的に増え続けているのが気になった。

最初は500人以上居たダンマスが、既に200人を下回っている。


「戦況を確認する必要もあるし、ちょっと見てみるか――って、なんだこりゃぁ!?」


 偵察用の鴉を通してこの日初めてアイリのダンジョンを覗いたのだが、それを見て自分の作戦がまたもや失敗に終わったのだと悟った。

 スクリーンには意気揚々とアイリーンの街に入っていくダンマス達が映っており、とても戦闘を行ってる様子はない。

それどころか、そこに居るのは全員がリタイアしたダンマス達であった。


「なんだよ、いったいなんなんだよコイツらは! なんでコイツ……ほわぁあ!?」


 そしてついに信じられないものが飛び込んでくる。

10人くらいのダンマスが、ジェットコースターを堪能してるのだ。

だがそれだけではない。

メリーゴーランドや、コーヒーカップといった遊園地のアトラクション以外にも、ゲームセンターまでもが開放され、賑わいを見せていた。


 これがアイリの仕掛けた最大の罠の正体だ。

アイリの誘い文句は、リタイアしたダンマスはバトルロイヤル終了まで好きなだけ遊んでていいという事だった。

 こうなると日頃から娯楽に飢えてるダンマスは挙ってその提案を受け入れ、次々とアイリーンへ飛び込んでいったのである。

だが大抵のダンマスは自力で転移出来ないので、同様の誘いを悪魔族と天使族にも行い、アイリーン行きを希望するダンマスを転移で運んでもらってたりもする。

 因みにその提案に真っ先に食い付いたのは、天使族のアズラ(以前アイリのダンジョンを紹介したリポーター)であった。


「………………」


 だがそんな楽しげなものを望んでなかった者も居る。

それは当然……


「ちっっっくしょーーーっ!! ふざけんなよ! あぁもう、ふざけんなふざけんなふざけんな! どいつもこいつもバカじゃないのか!? クソクソクソがぁ!」

(どうもリタイアが多いと思ったら、そういうトリックか! クソォ、卑怯な真似しやがって!)


 堪らず怒りを爆発させると、すぐに行動に移った。

持てるDPの殆どを使い、大量のモンスターを解き放ったのである。


「まずはアイリ以外のダンジョンを全て潰す! そして最後に……」


 一呼吸置くと、スクリーンの先にあるアイリのダンジョンを指し……


「アイリのダンジョンを攻略する!」


 残りのダンマス26人中11人。


アマノテラス「クソォ、楽しそうにしやがって!」

アイカ「今なら遊園地1日無料券を配布中ですが、いかがです?」

アマノテラス「頂きます!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ