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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第5章:熱き猛るダンジョンバトル
130/255

改変バトルロイヤル1

前回のあらすじ

 アイリへの復讐として魔法少女ユーリに目をつけたアマノテラスは、闇ギルドにこっそりとユーリ捕縛もしくは殺害を依頼したのだが、ユーリの新たな眷属であるルカーネロによって阻まれてしまう。

 しかしいまだ懲りずに新たな企てを行うのであった。

「アイカ、情報は集まった?」


「バッチリですお姉様。やはりお姉様の睨んだ通り、アマノテラス様は現地の者達とは微妙な関係のようですね」


 アイカに頼んでアマノテラスについて調べてもらった結果、北に位置するミリオネック商業連合国にダンジョンを構えてる事が分かった。

 但し、国との関係は中立を保ちつつ侵入者は容赦なく殺してるみたい。


「中立という事は、上手くバランスを保ってる証拠じゃな。大国相手にやりおるわ」


 知っての通り私のダンジョンは四方を強国で囲まれていて、ミリオネックはその内の1つでアンジェラが言う大国に分類される訳よ。

主に経済が強みらしいから、さしずめ経済大国ってやつね。


「でもおかしいわね」


「マスター、お菓子どこ?」


「お菓子の話はしてません!」


 ……っとにルーったらもう、そんな風に指加えて物欲しそうな顔してもあげないからね。


「……コホン。アマノテラスは侵入者を殺しまくってるのにどうやって中立を維持してるんだろ?」


 アマノテラスがミリオネックの弱味を握ってるとか? ――いや、それはないか。もしそうならミリオネックの中枢に食い込んでてもおかしくはない。

 逆にミリオネックに利用されてるとか? ――それも有り得ないか。アマノテラスのあの性格じゃ利用されてるって思ったら憤怒しそうだし。


(しゅ)よ、中立だと何ぞ悪い事でもあるのかや?」


「ああ、それはね……」


 もし国と対立してればダンジョンを攻略する大義名分が出来たんだけど、中立って事は逆に攻略しちゃマズイかもしれないのよ。


 一応ミリオネックとは外交官のフォーカスさんを通して良好な関係にあるんだし、下手な事すると悪化しかねない。

これは一度フォーカスさんに相談した方がいいかもしれないわね。

その結果、攻略してもいいって言われたら遠慮なく潰しに行こう。


「成る程。つまりお姉様は冒険者としてかのダンジョンを攻略するのですね」


「そういう事」


 交渉次第ではまた貸しを作る事が出来るかもしれないしね。


「ミリオネックに対して菓子1つ。汚ない、さすがマスター汚ない。他人にお菓子を作ってあげるなんて!」


「だからお菓子じゃないっての!」


 いちいちお菓子を作るつもりはないし、ルーはいい加減お菓子以外に興味を持ちなさい。


「……お姉様、さすがに年頃の女の子としてお菓子作りをしないのは……」


「う……コホン。その話は置いといて、アマノテラスに関してはダンジョンの場所を特定するのが先ね。アイカ、頼むわよ?」


「了解です、お姉様――っと、お待ちください。たった今、アマノテラス様から通信がきましたので」


 またぁ? 噂をすれば――って感じね。

正直お呼びじゃないんだけども、話くらいは聞いとこう。


アマノテラス

『やぁ、相変わらず調子に乗ってるアイリさん。今日はちょっとしたお知らせをしようと思って、ワザワザ伝えに来たのさ』


 お知らせねぇ。

な~にか下らない事でも考えたのねきっと。


アイリ

『そのお知らせとやらが、アンタの虫の知らせにならなきゃいいわね』


アマノテラス

『チッ、口の減らない……。まぁいいさ、そうやって今の内に調子に乗ってなよ。いずれ運営側(邪神側)から連絡が入るだろうからさ』


 運営から連絡が? コイツ、運営を巻き込んで何を企んでるんだろ?


アイリ

『運営から連絡が入るならアンタと話す必要はないわね。さっさと引っ込んだら?』


アマノテラス

『くっ、本っ当ぉぉぉに不快だよお前! 不快だから要点だけ伝えてやる。次のバトルロイヤルは前のと違って、前回の勝者対前回の敗者になる予定だ』


 おや? 思ってたよりもまともな内容だった。

もっと不快指数が限界突破するような事を考えたのかと思ったけども。


アマノテラス

『それともう一つ、眷族(けんぞく)及び眷属(けんぞく)の参加は禁止だからな。精々今の内に震えてるがいいさ。ククク……』


 薄気味悪い笑みを浮かべながら、アマノテラスは通信を切った。

ここへ来てモフモフ達が使えない……か。

やっぱりモフモフに無双されたのが堪えたのね。


「でも何とかなるでしょ。さすがに攻勢に出るのは難しいかもしれないけど、籠城するなら可能だと思うわ。アイカ、今のDP(ダンジョンポイント)は?」


「はい、今現在の当ダンジョンに置けるDPは――526万7523ポイントとなっております」


 凄い貯まってる!? アンジェラに定期的に魔力を流し込んでもらってるにしても多い気がする。


(しゅ)よ、リヴァイにも協力してもらってるからだと思うぞ? 奴も妾と同等の魔力を持っておるからのぅ」


「ああ! そういう事か」


 リヴァイもアンジェラ並に魔力があるのねきっと。お陰で大助かりだわ。


「お姉様、運営からの通達です。バトルロイヤルに関する内容なので、アマノテラス様が(おっしゃ)ってた件ですね」


 アイツが出した要望を受けてルールの変更をするんだと思う。

前回DPの無いダンマスは、ろくに戦えなかっただろうからね。


 そして通達された内容はやはりルール変更を行うという旨で、前回の勝者26人対その他大勢のダンマスという形をとるんだって。

これはアマノテラスから聞いた通りね。

 それと眷族と眷属の参戦も無しになったから、戦況を見極めて新しく召喚しようと思う。

 後は週末までに罠を増やして侵入者達を激励してあげましょ。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 そんな感じで迎えた週末。


エーリッヒ バトルロイヤルVr2

『今回審判を任された悪魔族のエーリッヒだ。知っての通り、前回のバトルロイヤルでの反省を踏まえてルールを一部変更した。前回勝者の26人がチームとなり、前回敗者と新規参加者を迎え撃つというルールだ。26中1人でも終了まで残っていれば勝者側の勝利となる。それから今回は眷族と眷属の参戦は不可となってるので、間違って参戦させた場合は失格となるので注意してほしい。ではカウントダウンを開始する』


 開始されたカウントダウンと同時に、いつでもモンスターを送り込めるように待機するダンマス達。

特に前回敗者だった者は雪辱に燃えている者が多いため、スクリーン越しに熱気が飛び交ってる感じすらするくらいだ。


エーリッヒ バトルロイヤルVr2

『0! バトルロイヤルスタート!』


 0の瞬間、大勢のダンマスが放ったモンスターが26人のダンマス――もといダンジョンへと殺到する。

 当然アイリのダンジョンも例外ではなく、1階層の洞窟エリアには既に何万というモンスターが押し寄せていた。

通路の幅が狭いためモンスターがひしめき合いながらの進軍となり、当然落とし穴や釣り天井の罠により多くのモンスターが散っていくが、やはり数が多いというのは大きなアドバンテージとなるようでモンスターで物理的に押し潰すように1階層のボス部屋を突破したのだった。


 そして続く森林エリアの2階層へと歩を進めた侵入者側は、1階層を突破した勢いのまま突き進んだ。

擬似太陽の光が木々の隙間から差し込む中、飛べる者は樹木を抜け出し上空へ、それ以外の者は地をひた走る。

 だが侵入して間も無く、すぐに異変が訪れた。


ベンジョー アイリーン発展中♪

『正面から何か来る!』


 1人のダンマスが叫ぶと、前からガサガサと茂みを掻き分けウルフが飛び出してきた。


マーフィ アイリーン発展中♪

『グレーウルフだ、アサルトクーガーも雑ざってるぞ!』


ルネア アイリーン発展中♪

『数が多い! 気を付けて!』


 機動力のあるウルフ系が突っ込んできたため、すぐにゴブリンやオーク等が迎え撃つ。

だが大群となって向かってくるため、倒しても倒しても、途切れる事はない。

その上ゴブリンやオークも次々と討ち取られていき、敵味方共に多大な被害を叩き出しつつあった。

 しかしそんな中、1人のダンマスが発した言葉に、他のダンマス達が凍りつく。


ベンジョー アイリーン発展中♪

『そう言えば、先頭に居たウルフやクーガーは何処に行ったんだ?』


 彼等は鈍足なモンスターを侵入させたため、前を行く敏速なモンスターに引き離されてしまっていたのだ。

だがこれまで戦闘が行われた形跡は無く、接敵した可能性は低い。

ならば彼等はいったい何処に?


マーフィ アイリーン発展中♪

『お、おいまさかコイツら!』


ルネア アイリーン発展中♪

『そうよ、先頭に居たモンスター達よ! お願い、戦闘を止めてぇ!』


 同士討ちに気付いたダンマスにより何とか事態を収めたが、気付くまでに時間を要してしまい、進軍に支障をきたすレベルになってしまった。


ベンジョー アイリーン発展中♪

『くっ……モンスターを3割も失っちまうとはな……』


 ではいったい彼等に何が起こったのかというと、地上を進軍していたウルフやクーガーが大規模な樹海トラップに掛かってしまったためである。

 このトラップは進む方向を反転させるもので、先頭を走っていたモンスターは、いつの間にか逆走していたのだ。

そのため後続のゴブリンやオークと出会して戦闘に突入してしまったという訳だ。

 もしも彼等ダンマス同士が連携をとり隊列を成して進んでいれば、樹海トラップに掛かってもすぐに気付いただろうが、機動力重視でモンスターを組んだダンマスはせっかちな者が多く、とても連携をとれる面子ではなかった。


ルネア アイリーン発展中♪

『さすがは期待のルーキーと言われるだけはあるわ。足並みが揃わない私達だと、攻略は難しいわね……』




 同じ頃、上空を進行していたモンスター達は下で起こっている事態とは全くの無縁で、優雅な空の旅を楽しんでいた。


フューチャー アイリーン発展中♪

『やはり進軍ルートに空を選んで正解でしたね。何の妨害もありません』


 1人のダンマスが言った通り空中に罠を仕掛けるのは難しく、通過する場所をピンポイントで当てるのは困難を極める。

勿論アイリとしてもその辺は理解してるので、無駄に罠を仕掛ける事はない。

ないのだが、()()()()煽る事はあるようで……


トゥザ アイリーン発展中♪

『お? あの開けたところがボス部屋じゃないか?』


 ケルビムスワローの目を通してダンマスの1人が発見する。

見ると、森林に不釣り合いな石造りの建物に、大きめな扉が備え付けられてるボス部屋なのが分かったので、次々と他のダンマス達もそこを目掛けて着陸させようとするのだが……


バック アイリーン発展中♪

『なんだ? 結界のようなものがあって、着陸出来ないぞ!?』


 ボス部屋はすぐ下にあるのに降りれない。


トゥザ アイリーン発展中♪

『いったいどうなっ……ん? 何か書いてあるな』


 そしてボス部屋の屋根には、こう書かれていた。

【ご苦労さん。ボス部屋は遥か手前の地上からじゃないと入れないんやで? まぁ精々スタート地点から頑張りぃや。ほなさいなら♪】

 というホークからの有り難い挑発メッセージは脇に置いといて、どういう仕組みになってるかというと、入口からボス部屋までのルートを地上からしか侵入出来ないように無色の()で覆ってるのである。

しかも入口付近の天井は上空へ飛び出せるように穴が空いてる親切設計だったりするので、うっかり出てしまうと降りるまで気付かなかったりする。


フューチャー アイリーン発展中♪

『ぐぬぬぬ……腹が立ちますが仕方ありません。スタート地点から出直すとしましょう』


 うっかりなダンマス達は渋々スタート地点へと引き返すのであった。

 しかしバトルはまだ始まったばかり。

対バトルロイヤル用に凶悪な変化を遂げたアイリのダンジョンが、侵入者達に牙を剥く!


 残りのダンマス26人中21人。


アイリ「ちょっとちょっと、これじゃ私が悪役みたいじゃない!」

作者「実際凶悪仕様なのは変わらんし」

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