表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第5章:熱き猛るダンジョンバトル
120/255

週末のバトルロイヤル

前回のあらすじ。

 侵入してきたマリオンの眷属を倒したアイリは、マリオンの本隊がトミーのダンジョンで足止めされてる内に、逆に侵入させたジャイアントラットがコアルームに到達した事で勝利した。

これによりアイリはEランクへと昇格したのであった。



 トミーとのタッグバトルの後も日を改めてバトルした結果、週末である今日までに14勝3敗というところまで記録をのばす事が出来た。

次のDランクは15勝で昇格出来るので、後1勝という状態な訳なのよ。


「でもお姉様の舐めプによって、2敗してしまいましたけどね」


「舐めプ言わないの! ちょっと油断して手加減を誤っただけよ! そもそも向こうの出した条件に合わせて遊んでたから負けちゃったのよ!」


「そうですか……」

(それを舐めプと言うのですがね)


 とまぁ油断して2敗しちゃったけど、大きく勝ち越してるんだから問題ないわ。

そして今日、週末って事でバトルロイヤルが行われる日なんだけど、これで勝利すればDランクになれるのよ。


「そういえばお姉様、冒険者ランクの方はEランクで止まったままですが、よろしいのですか?」


 あまりよろしくはないわね。

確かキチンと活動してないと除名されるって言ってたような気がするから、その内冒険者として何か依頼を受けに行こう。

少なくとも今はダンジョンバトルの強化週間だから、それが終わったらになるけども。


「冒険者はまた今度ね。兎に角今はバトルロイヤルに集中しないと」


「そうでしたね。バトルは3時間で強制終了なので、それまでに他のダンマスを片っ端から倒しまくりましょう! 後20分でスタートします」


 もうすぐ始まるバトルロイヤルは、本ダンジョンを使用したガチのバトルよ。

当然DP(ダンジョンポイント)も手持ちのDPを使用しなくちゃならないし、設置してる罠や宝箱は取られたらそのまんまになるから、荒らされたくない階層は予めバトルの範囲外に指定する必要がある。

そうしないと私のダンジョンの場合、5階層の街が荒らされちゃうからね。


 ただし唯一例外なのが眷族(けんぞく)及び眷属(けんぞく)で、彼等は死んでもバトル終了後に復活する。

まぁ、これが無いと怖くて眷族を出せないだろうしね。


「因みにですが、バトルロイヤルの参加者が多かった場合、幾つかのブロックに分けられるらしいです」


「そうなの? だとすれば勝者は複数出る可能性が高いわね」


 何せ審判が不足するくらいだから、参加者がわんさか居ても驚かない。

っていうより、ここぞとばかりに出てくるでしょうね、自信の有るダンマスなら。


「お姉様、審判からの通信です」


 どうやらカウントダウンが始まりそうね。


ペルフィカ バトルロイヤルの会場

『皆さん、今回バトルロイヤルの審判を勤めさせていただきますペルフィカと申します。どうぞ宜しくお願い致します。間もなくバトルがスタートしますが、準備はよろしいですか?』


 出たこの人(天使族)。

以前ホークが下品な仕掛けを施したせいで激怒したのよね。

もう怒らせたくないから、ホークには真面目にやるようにキツく言っとこう。


「お姉様、名前横の説明がダサく見えるのはわたくしだけでしょうか?」


 ペルフィカさんの横に表示されてる【バトルロイヤルの会場】ってやつの事ね。


「アイカだけじゃないと思うから気にしないように。それと間違っても本人には言わない事。いいわね?」


「了解です」


 言ったらダンジョンの平和が脅かされる事に成りそうだから気を付けないと。

もう長時間正座させられるのは嫌よ。


ペルフィカ バトルロイヤルの会場

『カウントダウンに入ります。10、9、8、7、6……』


 さぁて、どんな強敵が出てくるか楽しみね。

ランク無制限だからAランクのダンマスと当たるかもしれないし、手加減して負けましたじゃ面白くない。

もう私自身かなり有名になっちゃったから、全力で戦おう。

当然眷族は全員出撃よ。


 あ、リヴァイだけは別ね。

5階層の管理を任せてるから。


ペルフィカ バトルロイヤルの会場

『0。バトルロイヤル、スタートです!』


 さ、私の眷族達を解き放つわよ!


「お姉様、早速侵入者です。それも複数のダンマスから同時に送り込まれたようですね。如何致しますか?」


「それゃあ勿論……」


「勿論?」






「放置するわ」


「へ?」


 腕組みしたまま堂々と答えた私を、何言ってんのこの人みたいな感じで見つめるアイカ。

この上なく失礼な視線なんだけど、その気持ちも分からなくはない。

でもこれはチャンスなのよ。


「いいアイカ? 私のダンジョンにリアルに侵入してきたのは、レミエマとギブソン、それにヤゴレーだけよ。レミエマとギブソンは途中で保護したし、ヤゴレーは直接転移してきたから罠に掛かってはいないでしょ?」


「その代わりホークの罠に掛かっちゃいましたけどね」


 そうだったわね。

アレは端から見てる分には面白……って、それはいいのよそれは。


「つまりね、実際に冒険者がやって来たらどうなるかを見たいのよ。こんな機会は滅多にないじゃない?」


「成る程! そういう事でしたか。つまり今回のバトルロイヤルを利用して、侵入者を想定したシミュレーションが出来るのですね?」


「そういう事」


 出来れば最下層まで来てくれると有り難いんだけど、そんな強者は多分現れないと思う。

いや、現れると普通に困るんだけども……。


「そういえば、侵入者同士はどうなってるの? 互いに争ったりはしてない?」


「はい。出会い頭で一瞬戸惑ってましたが、目的はあくまでもこのダンジョンですからね。争って漁夫の利を与える真似はしないようです」


 流石にそこまでバカじゃないか。

例えヒカリでも、敵地で堂々と喧嘩売る訳ないだろうしね。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「おっしゃーっ! あたい以外は全て敵だ! 全員ぶっ殺しちまえ!」


「マスター、効率が悪すぎます。ここは他者のダンジョンなのですから、侵入者同士で共闘すべきです」


「ああん? んな事チンタラやってられっかよ! 全部ぶっ倒しゃいいじゃねぇか! ぐだぐた言ってねぇでさっさとシバかせろ!」


「はぁ、了解しました」


 ダンジョンコアは溜め息をつきながら、侵入させたホーネットに周囲にいるモンスターを襲うように指示を出す。

突然背後からホーネットが飛ばした毒針を受けて、ゴブリンやオーガ、それに狼や虎などのモンスターが次々と負傷していく。

 こうなるとその場は阿鼻叫喚の地獄絵図となり、奇襲を受けたダンマス達は当然慌て出す。


ロムネック

『おいおい、どういうつもりだ! こんな他人のダンジョン入口で戦闘なんざ、そこのダンマスが助かるだけじゃないか!』


キャメルー

『そうよそうよ! 何て酷い事すんのよ、最近の若い女は!』


シゲオ

『う~ん、所謂(いわゆる)1つの反抗期というやつかねぇ』


ヒカリ

『るせーっ! ゴチャゴチャ言ってねぇで掛かってきやがれ!』


 アイリの予想は外れ、ヒカリは堂々と敵地で喧嘩を吹っ掛けていた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 今一瞬、ヒカリが喧嘩を吹っ掛けてる場面が頭に浮かんだ気がするけど、気のせいよね?

うん、気のせいという事にしとこう。


「お姉様、1階層の洞窟エリアはジャイアントラットとクロコゲ虫しか居ません。共にGランクな上、設置されてる罠も突然足下が数センチ沈んで転倒させるものや、天井からタライが降ってくるというユルいものしか無いので、余裕で突破されそうです」


「それならそれでいいわ。要は実験なんだし」


 でも天井からタライが降ってくる罠なんて設置した覚えはないんだけど……ま、いいか。


「もうすぐ先頭集団がボス部屋に到着します。モンスターや罠がユルいので、欠員なしのようですね」


 先頭集団って言われると、何だかマラソンや駅伝を連想するわね、どうでもいいけど。


「まだ1階層じゃない。だからそのくらいでいいのよ」


 1階層は小手調べ的な感じで丁度いい。

5階層の街までは安全に来てもらいたいし、命が惜しかったら帰ってくれても構わないしね。


「お姉様、ボス部屋が突破されました。数の暴力とGランクという弱さが重なり、あっという間でした」


 うん、寧ろそうでないと困るわ。

()()()()()()安全に来れるようにしてあるんだから。


「だから欠員が出ない方が「お、お姉様少々問題が発生しました」……問題?」


 ボスを倒しておいて何の問題が……と思ってスクリーンを覗いたら、ボス撃破の報酬で出現した宝箱を誰がゲットするかで揉めていた。


「コイツら、さっきまで共闘しといて何やってんのかしら……」


 まさか宝箱1つで揉めるとは思わなかった。

しかも1階層の宝箱という事で、中身は大した物を入れてない。

因みに中身は下級ポーション1つよ。

まだ開けられてないけど……。


「今回のバトルは、ダンジョンで入手した戦利品を持ち帰る事が出来るからでは? 少しでも特をしようと考えてるならば当然の行動です」


 ――という事らしい。

勝つか負けるかで考えれば負ける確率の方が高いと思うのは当然で、負けても損はしたくないと思ってるダンマスが宝箱漁りに走ってもおかしくはないって事になる。


「どうやら4つのグループが宝箱を諦めて先に進むつもりのようですね。残り3つのグループはまだ残ってますが」


 先に進んだ連中は賢明な判断だと思う。

恐らく次々と侵入者がやって来るから、もたもたしてると後続の連中に奪われるだろうし。


「あ、見てくださいお姉様。後続の侵入者がボス部屋になだれ込んで、今まで居た3チームが飲み込まれました」


 やっぱりね。

こういう場合はやったもん勝ちになるんだから、無視して先に進むか四の五の言わずに奪い去るのが知恵者よ。

まぁ何れにしても……


「ククク、6階層まで来るのが楽しみね」


 有る意味6階層からが本番なのよ。

言うなればそれ以前はサービスエリア。

侵入者はその落差に驚き戸惑うでしょうね。


「お姉様の笑みが黒いです。自重してください」


「黒い笑みとは失礼ね。気分が高揚してるだけじゃないの」


 アイカったら段々遠慮しなくなっ……いや、よく考えたら元からこんな感じだったわ……。


「それで、2階層の様子はどう? ここもGランクのモンスターしか出てこない仕組みだけども」


 2階層は森林エリアになっていて、出現するのもブッシュラビットとスピアバグの2種類のみの、共にGランクのモンスターよ。


「はい。1つのグループが巨木の根元で休憩してた時に偶然宝箱を発見したようで、それから他の同様の場所も調べ回ってますね」


 それは運が良かったわね。

エリア全体は広いけど、宝箱自体は多くは配置してない。

巨木の根元以外にも茂みの中に有るパターンもあるし、精々頑張って探してもらおう。

どのくらいの時間で見つけるかを知りたいから丁度いいわ。

報酬は宝箱の中身って事で。


「どうやら先頭集団はボス部屋に着いたみたいですね。ただ4つの内1つのグループは、宝箱の捜索を続けてて不在ですが」


「残りの3つのグループは合同で捜索してたの?」


「そのようですね。飛行タイプのモンスターも居るようで、上空からの捜索で大きめに造られてる木造のボス部屋を発見したようです。途中に仕掛けてあったタライ落下の罠も微妙な威力だったため、大したダメージにはなってませんね」


 またタライ? そんなものいつ仕掛けたのかしらね?


「あ、たった今、ボス部屋に居たブッシュラビットが撃破されました」


 中々早いわね。

やっぱりGランクだと楽勝過ぎたかな?

それに徒党を組んでるみたいだし、戦力が過剰になってるとみていいのかもしれない。


「ところでお姉様、わたくし達はこうして自分のダンジョン()()を見てる訳ですが、こちらから攻めに行かないのですか?」




「忘れてた!!」


 そうよ、折角強い眷族が居るんだからドンドン攻めに行かないと!


『皆、今からレイクとリヴァイ以外の眷族を他のダンジョンに送り込むわ。遠慮しなくていいから思いっきり暴れて来なさい!』


『漸く出番か。待ちくたびれたぞ(しゅ)よ』

『おぅ、任せてくだせぇ姉御。全員血祭りに上げて来やすぜ!』

『我が剣の切れ味、特とご覧あれ!』

『ホーク、行っきま~す! やで!』

『ではでは~、歌声を聴かせて来ます~♪』

『私達も行きますよ。早くなさい』

『ギ、ギンちゃん待つッスよ~』


 このバトル、当然勝ちに行くわ!

アイリ「あれ? 1人足りない気がする」

ルー「気のせいです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ