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誘われしダンジョンマスター  作者: 北のシロクマ
第5章:熱き猛るダンジョンバトル
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タッグバトル、スタート!

前回のあらすじ

 魔法少女ヒカリとのバトルが終了し、今度はタッグバトルを行う事にしたアイリ。

ランダムでエントリーした結果、味方は知人でもあるトミーだった。

そしてお相手は、初見のマリオンとアイリファンクラブ会長の千手せんじゅとなり、許可なくファンクラブを立ち上げた千手に対して報復を決めたのであった。


ババル

『チィ~ッス。自分、悪魔族のババルって言いますんで、1つ頼んます』


 昼食後に再び4人が集まると、既に審判の悪魔族が待機してた。

何となくホークとクロを足して2で割ったような軽い男の印象を受けるけど、気にしない事にする。


ババル

『そんじゃま、全員揃ってるって事でカウントダウンさせてもらいますわ』


 今回は手持ちのDP(ダンジョンポイント)が全員同じ状態でスタートする。

所持ポイントは20000で、それを召喚モンスターや罠に割り振って上手くやりくりしなきゃならない。

 でも最終的には眷族の差が出そうだけどね。

昼食の時に眷族達の出番が回ってくる可能性を話したら、モフモフなんかは興奮して雄叫びを上げてたくらいよ。

直後リヴァイに食事中に騒ぐなと言われて、KOされてたけども。

 それに今回は、千手(せんじゅ)をブチのめすために眷族は惜しみ無く投入する予定よ。

精々今の内に調子に乗らせとこう。


ババル

『0! バストスタートですぜ!』


 さぁて、さっそくだけど、相手のダンジョン内部を偵察させるために大量のクロコゲ虫を召喚しよう。

投入先は、勿論のこと千手のダンジョンよ。

私が千手の相手をしてる間、トミーにはマリオンの方をお願いしとこう。


アイリ

『トミー、私がサクッと千手のダンジョンを攻略するから、その間マリオンは任せるわね』


トミー

『ま、しゃーないか。俺の方がランクが上だし、マリオンに手合わせしてもらうとするぜ』


アイリ

『うん、お願い。すぐに援護しに行くから』


トミー

『お、さすがにSランクの眷族を抱えてるだけあって頼もしい台詞だな。まぁ足元掬われないようにな』


アイリ

『勿論!』


 ひとまずマリオンはトミーに相手してもらう事で話が着いた。

私のダンジョンも、入口にレイクを転がしておいたから、当分は侵入されないと思う。

 あ、そうそうクロコゲ虫を召喚しなきゃ。


「アイカ、クロコゲ虫を1000匹召喚して、それ全部を千手のダンジョンに突入させて」


「お、お姉様、そんなに千手様がお嫌いですか?」

 DP20000→DP19000


 アイカがクロコゲ虫を召喚しつつもドン引きした目で私を見る。

更に周囲を見渡すと、失礼にもホークやアンジェラまでもが私から距離をとってるようだ。

さすがに1000匹は多すぎたかもしれない。

 そんな中でもルーだけは黙々とお菓子を食べ続けており、クロコゲ虫が視界に映っても微動だにしない姿は、ちょっとだけ頼もしい。


「まぁハッキリ言っちゃうと、勝手にファンクラブを立ち上げた報復なんだけども。でも千手は男だし、虫が徘徊する程度じゃ動揺したりしないわよね?」


 もし女の子が相手だったら失神するかもだけど。


「お姉様、男の人でも充分嫌がると思われますが……」


「そう? ならいいや。このまま全部突撃させてちょうだい。勿論、千手のダンジョンに」


「畏まりました。お姉様の命令なので実行しますが、相手から苦情が来てもしりませんよ?」


 暗にアイカ自身は乗り気じゃないと言ってきたけど、私は一歩も退くつもりはない。

()は徹底的に潰すのみよ!


「しかし(しゅ)よ、千手とやらを潰すならさっさと眷族(けんぞく)を投入したらどうじゃ? モフモフがさっきから落ち着きなくウロウロしててウザいのだがのぅ……」


 アンジェラが視線を送る先では、モフモフが落ち着きなくソワソワしてるのが分かる。

だけどモフモフの出番はまだ先よ。

まずはじっくりと嫌がらせをしてから叩き潰すから、それまでは我慢してもらおう。


「大丈夫。私が満足したらすぐにでもモフモフを突っ込むから」


「了解です。ならばドローンで千手様のダンジョンを撮影しときますね」

(千手様はお姉様に惚れてしまってるようですが、その恋は残念な末路を辿りそうですね)



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 ところ変わって、こちらはマリオン&千手のチーム。

彼等の方も、マリオンがトミーに、千手がアイリにという振り分けになり、それぞれ行動を起こすところであった。

もっとも、千手がアイリの相手をしたいと熱望し、どちらでもいいマリオンが了承した為にそうなったのだが、何れにしろ希望が叶った千手がやる気充分なのは間違いなさそうだ。


マリオン

『役割分担も済んだ事だし、一旦通信を切るわ。ピンチになったら知らせてちょうだい』


千手

『おう、任せとけ! バッチリとアイリを攻略してきてやらぁ!』


マリオン

『はいはい。頑張りなさいね』


 別の意味として取られそうな台詞を鼻息を荒くした千手が堂々と吐き出すと、これは重症ね……とでも言いたげなマリオンが額に手を当て、千手を尻目に通信を切った。


 残された千手は直ぐ様ダンジョンコアに向き直ると、アイリ(のダンジョン)を攻略すべくモンスターの召喚を命じる。


「いくぜ相棒(ダンジョンコア)、まずはジャイアントラットを100匹召喚だぁ!」


「了解です。ジャイアントラット――召喚GO(ゴー)

 DP20000→DP19800


「続いてグリフヤンマを30匹召喚し、上からの偵察を任せる」


 グリフヤンマ……掌サイズの大きめなトンボで、鋭い爪を持っている。

脅威ではないが、群れると厄介な魔物だ。


「了解。グリフヤンマ――召喚GO(ゴー)

 DP19800→DP19500


 魔法陣から出現したモンスター達が、ダンジョン入口に集結する。

その入口の先は地上へのリンクが絶たれてる状態で、行き着く先は3つに1つだ。

そして行先は、ダンマスやダンジョンコアが決める事で決定されるのである。


 それぞれアイリのダンジョン、トミーのダンジョン、マリオンのダンジョンの何れかから選ばなくてはならないが、当然の如く千手が選らんだダンジョンは……


「いざ行かん! アイリのダンジョン!」


 千手の意思により、入口はアイリのダンジョンへと繋がった。

その入口に次々と鼠やトンボが突入していく様子を見て、千手は満足そうに頷いた。


「とりあえず偵察はこれでいいな。後は今の内に罠を仕掛けとくか」


「はいマスター。向こうからも偵察部隊がやって来ると思われますので、足止めの為に急いで罠を――マ、マスター!」


「あん? どうした、急にデカイ声出して。アイリからの通信でも来たか? だった……ホァア!?」


 だったら両手振って歓迎するがと言おうとしてギョッとした。

無数のクロコゲ虫が千手のダンジョンに侵入して来たからだ。


「なんじゃこりゃ~~~っ!! なんだコイツら、いったい何処から沸いて出た!?」


「落ち着いて下さいマスター。相手から送り込まれた偵察で間違いありません」


 宥めようとするダンジョンコアだが、益々千手はヒートアップする。

スクリーンをバンバンと叩いて、「キメェよ! マジ有り得ねぇよ!」と喚きだした。


「くそっ! きっとトミーとかいう奴が嫌がせらせしてきたに違ぇねぇ! こうなりゃこっちも……」


「お待ちくださいマスター。このクロコゲ虫の群は、アイリ様のダンジョンから放たれたモンスターのようです」


「は? どゆこと?」


「ですから、アイリ様が送り込んだモンスターという事です。それ以上でもそれ以下でもありません」


 ダンジョンコアが解析した結果、クロコゲ虫はアイリが放ったものと判明し、その報告を聞いた千手が間抜け面を晒し、キョトンとした顔でダンジョンコアを見る。


「――それってもしかして……」


「はい、ご想像の通り、マスターはアイリ様から嫌われ「言うなぁーーーーっ!!」


 それ以上は聞くまいと、耳を両手で押さえ、後ろにズデーンと倒れ込む。

そして譫言(うわごと)のように「もうおしまいだ……嫌われた……」等とブツブツ呟き出す。

口の悪い千手は、メンタルはそれほど強くないようだ。


「あのぅ……マスター? 失恋で落ち込んでるところ申し訳ないのですが、クロコゲ虫が1階層の森林エリアに散り散りになったようなので、ボス部屋が見つかるのも時間の問題と思われます」


「すまねぇ相棒。俺は暫く立ち直れそうにない。悪いが少しばかり時間をくれ……」


 完全にアイリから嫌われたと思い込んでる千手は、ダンジョンコアに託したようだ。

まぁ可哀想なのは、アイリに嫌われてるのはほぼ当たっているという事なのだが。


「――はぁ。どうなっても知りませんよ。では1階層のボス部屋にオーガを召喚GO(ゴー)

 DP19500→DP17300


「更に罠を……おや?」


「ん? どした?」


 ダンジョンコアの声から異変を感じた千手は、スクリーンを見上げる。

するとそこには、送り込んだ筈のジャイアントラットとグリフヤンマが舞い戻って来たところが映されていた。


「あれ? なんで戻って来たんだ? 偵察は済んでないよな?」


「それなのですが、彼等が言うには向こうのダンジョンに入ろうとしても何故か入れないと言ってます」


「へぁ? どゆこと?」


「つまりですね……」


 本来ならダンジョンを次元的に隔離する事は出来ないので、必ず入れるようには成っているのだが、アイリが配置したファイアードレイクのレイクにより入口が封鎖(本人は寝転んでるだけ)されてるので、上手く侵入出来ないのであった。


「要するにアレか? 何か特殊な方法で入り込めないようにされてるって事か?」


「恐らくは……。ですが、基本そのような事は出来ない筈なので、何かルールの抜け穴のようなものを発見されたのかもしれません」


「ホゲァ? マ、マジで!? だったらスゲーよ、マジ最高じゃんアイリ!!」


「感心してる場合ですか……」


 しかし、そうとは知らない千手側は、全然違う方向に思考を傾けてしまったようだ。

そしてダンジョンコアの言う通り、アイリ側よりモフモフが颯爽(さっそう)と現れた事により、本当に感心してる場合ではなくなる。


「お、おい、アレってもしかして……」


「はい。クロコゲ虫が邪魔で少々見辛いですが、デルタファングで間違いありません」


「………………」


 クロコゲ虫を掻き分けてボス部屋に一直線に進むデルタファングを見た千手は、突如現れたSランクのモンスターに言葉を失う。


「アイリがSランクのモンスターを眷族にしてるって話、アレって本当だったんだな……」


 どうやら本人は、モフモフの存在をただの噂話としか思ってなかったらしく、突き付けられた事実に気が抜けてしまったようだ。


「大変ですマスター、ボス部屋に配置済みのオーガが、デルタファングによって討ち取られました!」


「ママママジかよ!? このままじゃ俺の強さを見せつけて、俺様マジかっけぇぇぇが出来ねぇじゃん!」


「いえ、そんな事よりもバトルの方に専念して下さい……」


 モフモフによって一瞬で首を掻っ切られたオーガの最後を横目に、コアルームでは千手が右往左往しながら思考を巡らす。


「わ~ってるっつ~の! しゃあねぇ、こうなりゃ自棄だ。こっちがやられる前にアイリ(のダンジョン)を攻略してやらぁ!」


 ブンブンと頭を振り頬をパチンと叩くと、スクリーンを指してアイリ(のダンジョン)攻略を宣言した。


「畏まりました。ではオーダーをどうぞ」


「オーガヘッド1体とオーガ4体を召喚し、塞がってる入口を強引に抉じ開けろ!」


「了解です。オーガヘッド1体とオーガ4体――召喚GO(ゴー)

 DP17300→DP700


 ダンジョン入口に集結したオーガ達が、オーガヘッドの指示で突撃する。

手に持つバカデカイ棍棒を入口に向かって殴り付けた。

すると殴った瞬間「ンンゴォォォ!?」という悲鳴と共に塞がってた入口が明るくなり、その向こう側には松明の灯された洞窟エリアが見えていた。


「マスター、とうやら入口を塞いでたのは、相手方のモンスターだったようです」


「みたいだな。終わってみりゃなんて事ないトリックなんだが、見事に騙された気分だ」


 いや、実際に騙された訳だが、この男、認めたくないらしい。


「おっし、こっからは時間との勝負だ。ジャイアントラットとグリフヤンマにボス部屋の捜索を急がせろ!」


「了解しました。こちらのダンジョンは如何致しますか? 現在デルタファングが2階層を走り回ってますが……」


 スクリーンには、縦横無尽に走り回ってるモフモフが映されている。

それと同時に、ところ狭しとクロコゲ虫も存在感をアピールしており、とても直視出来る状態ではなかった。


「……とりあえず、8階層のボス部屋に眷族達を集めとけ」


「以上で宜しいですか?」


「うん、もういいや。つ~かなるべく見たくないから、お前ももう気にしなくていいぞ」


「了解です」


 アイリによる嫌がらせは、予想以上の効果を与えてるようだ。


アイリ「少しは思い知ったかしら?」

千手「まだまだぁ! 皆、オラにパワーを分けてくれ!」

アイリ「誰が分けるかぁ!」

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