第2話「私を選んだ理由」
しばらく閻魔様の仕事を見ていたけど、やっぱり地獄が多かった。
世知辛い世の中だしね。
「やっと終わったよー」
並んでた列を捌ききった閻魔様は、私が座るソファに寝転んだ。
頭を私の膝に乗せて仰向けに…。
なんで膝枕?
「んふふ〜」
気づいたら閻魔様の頭を撫でていた。
閻魔様の頭を撫でるのは不敬かもしれないけど、喜んでるし、私も違和感ないから深く考えないでおく。
むしろ考える余裕がないぐらい楽しいし、落ち着く。
なんでだろ?
「あの…なぜ私を天使にするんですか?本当に外見だけなんですか?」
「ん…。じゅる…。外見もなんだけど趣向がボクに似てるのもあるね。あと、できることが多いのもポイント!」
撫でられて気持ちよかったのか、うとうとしていた閻魔様。
涎を啜った後質問に答えてくれた。
内容に問題はないんだけど、私の中には少し残念な気持ちが芽生えた。
なんでだろう?
「趣向とかできることって何ですか?」
「あれ?何も覚えてないの?」
「いえ、名前と…あれ?大きな学校に通っていたのは覚えていますが……他のことが思い出せない…」
なんで?!
家族の名前も出てこないし、どんな生活をしていたのかも覚えてない!
「落ち着いて!今は混乱してるだけで、ちゃんと考えれば思い出せるから!」
何も思い出せないことに怖くなって震えだした私を心配して、閻魔様が声をかけてくれた。
思い出せるんだ…よかったぁ…。
ホッとした私は、動揺して止まっていた手を動かして閻魔様の頭を撫でる。
すると閻魔様はフニャっとした笑顔になる。
癒される〜!