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最強傭兵団でこの先生きのこるには  作者: 蛇色の海
メルチェナーリョ、、、イタリア語で傭兵
8/27

社燕秋鴻(しゃえんしゅうこう)ベルナデッタ

雷撃が俺の体にほとばしる

かに見えた


先ほどまで俺の目の前には電撃の塊を振り下ろすチカチー

その後ろで力なくうつ伏せになったベルだけがいた

それ以外には誰もいなかったし気配もなかった

なのにそこには雷撃でできた塊を革の手袋をした右手でそれを受け止める人がいた

すらりとした長身

短めの黒髪にボディラインが協調されるようなタイトな服装

本来右目がある場所は黒い帯で覆われている


彼女は


「キーリさん!」「げっ、キ、キーリ副団長」


俺とチカチーは同時に彼女の名前を呼んだ


「エリオ君大丈夫、、、ああ呪術にやられたのね

ちょっと待って」


キーリさんは人差し指を鋭く立てると

そのまま俺の首すじの辺りをまっすぐに突いてきた


「痛ったぁああ!!? ってあれ?体が動く!

それよりキーリさん、ベルが!ってうあああああその右手大丈夫なんですか!!」


キーリさんの右手はバチバチと唸りをあげる雷撃を宿していた

キーリさんは、ああこれ?っと軽々しく言うと

こそこそと天幕を後にしようとする人物に話しかけた


「チカチーロ、待ちなさい」


「は、はい!ふへへ、副団長久しぶり、、、今日は会合に行ってるって聞いたんだけど、、、」


先ほどまでの軽いノリが嘘のように背筋を伸ばして受け答えるチカチーにため息交じりに話しかけるキーリさん


「団長がバカみたいに酔っぱらっててね、気分が悪いって言うからすぐに切り上げてきたの

ともかくジュリィにこの件は報告させてもらうわ」


「は、はい、、、」


淡々と話ながらも右手に雷撃を宿したキーリさんはまるで地上に権現した戦女神ようだった


「それとルチオにも、もちろん報告する」


「ぇぇえぇえ、、、ル、ルチオにも、、、」


ジュリィだとかルチオだとか聞いたことがない名前が2つも出てきた

だけどその2つの名前が出たことによりチカチーは

これ以上ないほど意気消沈していた


「そして今度もし同じような事をしたら、、、」

キーリさんは途中で言葉を切ると、右手に携えていた雷撃を

拳を握りしめて弾けとばした


「もうしません!!さ、さよならーー ε=。 ゜(゜ノ´Д`゜)ノ゜。!」


チカチーはびゅーんと音が聞こえそうな俊敏な動きで

天幕から出て行った、、、


「っておい!追い返すだけ!!?今にも殺されそうだったんだけど!!?」


先ほどまでベルと話していたせいかノリツッコミのような勢いで話しかけてしまったがキーリさんは一呼吸おいて冷静に、冷淡に言い放った


「、、、フロメルの契約は街の防衛よ

無駄に命を奪う事はしないわ

そしてエリオ君、ここは戦場なの

陣営地とは言え、それは変わらない

そこで自分の身を守れないなら

そこまでと言うしかない

それが例えベルであっても」


キーリさんの発言を聞いて俺ははっと思い出した


「ベル!そうだベルは!!」


すぐさまうつ伏せに倒れたまま動かないベルの元へ駆け寄る

体を反転させて仰向けの状態で抱きかかえるとわずかだが

呼吸をしていた


「バカエリ、、、あんたがとろいから、、、ひどい目にあったじゃない、、、」


息も絶え絶えな様子のベルを見て俺は急に怖くなった

あれ?さっきまで普通に話してたのになんだこれ?


「え、おい?どうしたんだよベル、さっきまであんなに元気だったのに、、、ははは、なんかおかしな気分になってきた

ええ?なんで?俺は強いんだぜ?お前が急に飛び出してくるからこんな事になったんだろ、、、?」


「そう、、ね、、、あんたは強いもんね、、、

けど、、、チカチーの呪術で動けなくなってたじゃない

ほんっとバカエリ、、、ね、、、」


「何がバカエリだよ!お前!俺はその呼び名嫌いだからな!

ちゃんとエリオって呼べよ!」


「ふふっ、、、いいわよ、、、そのかわり、もしも私が生まれ変わったら、、、あんた、、、なんでも私の言う事を聞くのよ、、、いい?」


待て、待て待て待て!!

この雰囲気はやばい!

ここで言うべき言葉は慎重に選ばなくてはならない


「嫌だよ!!

いや、嫌ではないけどここで分かったって言ったら

駄目な気がする、、、

いやけど、、、いいよ!分かった!!何でもいう事を聞くから!!

だから目をしっかり開けろベル!」


「ふふ、分かったですって、、、

今の聞いてた副団長、、、?

私はちゃんと聞いたからね、、、エリオ、、、」




そもそもベルと出会ったのは昨日の事で

まともに会話したのは今日が初めてだ

彼女と俺の間に絆のだとか情だとか

そういったものが生まれるには

俺たちが一緒に居た時間はあまりにも短い時間だった


それでも今、動かなくなった彼女の前で

俺は気の利いた一言も言えない程に

何も考えられないでいた


「エリオ君、、、外に出てなさい

後は私が処理するから」


処理だって

さすが傭兵団の副団長ともなると

こういった事にも慣れっこなのだろうか


言われるがままに俺は天幕の外に出る

天幕の入口のすぐ横に赤い顔をしてすぴーすぴーと

鼻息を経てて横になっている人物がいた


「団長、、、」


そこで急に涙が出てきた

つい先ほどまで話していた女の子はもうここには居ないのだ

そんな事とは露とも知らずに寝息をたてる団長を見ているとなぜかひどく面白くない気分になった



「うーん、、、あれぇ会合は、、、?

あれれ!!エリオ君じゃんよ!!

何々どうしたの!?

ベルに嫌な事でもされたの!!?

ちょっと困るなーあいつにはもっとちゃんとして貰わないと」


「ベルは、、、今、、、そこの天幕で動かなくなりましたよ、、、」


きょとんとした表情でこちらを見つめる団長は

特に今の発言を気にする様子はなかった


「動かなくなった?ベルが?あー、、、

それってどういう状況?」


俺は天幕の中にキーリさんが居るから彼女から聞いてほしいと伝え

その場に座り込む

団長は頭を掻きながら

けだるげに天幕の中へと消えて行った




どれくらい時間が経っただろうか

しばらくするとキーリさんが天幕から出てきた

その後に何人かの人がやってきて

担架のようなもので白い布でくるまれた物を運んでいった

そうして最後に団長が中からでてくる


団長はあーとか、んーとか言いながら

しばらく頭を掻いていたが

決心したかのように俺に向かって話しかけてきた


「あーエリオ君、こんな時になんだけど、、、

結局どうする?傭兵団入る?」


「他に言う事ないのかよ!!」


団長の言葉に俺は声を荒げてしまった

俺は団長にどんな言葉を期待していたというのか

ベルの事は残念だったとでも言ってもらえば

満足できたのだろうか


「すいません、、、ただ心の整理がつかなくて、、、」


俺はすぐに自分の非礼を謝った

団長は団長でひどく申し訳なさそうにしている

そこへキーリさんがやってきた


「団長、後は私が、、、」


ああ頼むよと、団長はこの場を後にした


「エリオ君、どうかしら、ベルのおかげで

傭兵になると言う事がどういう事かよくわかったかと思う

彼女の事、あなたは何も気にしなくていいわ

むしろ無関係なあなたを巻き込んで申し訳ないと思ってる」


俺は黙ってキーリさんの話を聞いていた


「、、、しばらくはこの陣営地に居てもいいし

すぐ近くにちゃんとした街がある

そこまで行けばここよりしっかりとした寝床があるわ

、、、どうしたいか決まったら教えて

出来る事なら何でも協力するから」


どうしたいか?

俺はどうしたいんだっけ?

ベルには旅に出ると言った

だけど

そのベルが俺をかばって

いなくなって

あー生きてて良かったこれで心おきなく旅に出られる

はいさよならって





それは違うんじゃあないか?


「キーリさん、、いえ、副団長

この傭兵団に入れば、、、また会えますかね?

あの赤髪の女の子に」


俺の言葉を聞いた副団長の感情は読み取れなかったが

それでも今までとはどこか雰囲気が違っていた


「それって

入るって事でいいのかしら?私達の傭兵団に」


その問いかけに俺ははっきりと答えた


「はい、俺で良ければ、入団させてください

地上最強の傭兵団、フローデ・メルチェナーリョに」


「死ぬかもしれないわよ、明日、いきなり」


「かまいません

そういう職業なんでしょ」


キーリさんはじっと俺の目を見つめて

そしてふっと笑った


「フロメルにようこそ、エリオ君」


あの赤髪の女の子、チカチーロだったっけ

彼女に会うために俺は傭兵団に入る

そして彼女にもう一度会ったその時は、、、


「これからよろしくお願いしますユーリ団長」


俺は傭兵団の新人として天幕の影に隠れていた団長に声をかける

団長はバツが悪そうに口笛を吹きながら出てきた

と思ったらいきなりテンションMAXで俺に話しかけてくる


「いやー!!!入団してくれるって!?ありがとうエリオ君!!それとキーリ!よく勧誘してくれた!飲み行こうよ!みんなでよ!今日は

新人歓迎会よ!」


「私は何もしてませんよ団長、彼が自分で決めた事です

それと明日は会戦があるから飲みは却下」


団長は飲みを却下されあからさまに残念そうな顔になる

だがすぐに笑顔でこちらを向くと俺に向かって話しかけてきた


「さてエリオ君!

我が傭兵団に入団するにあたって3つ言う事がある!

一つは守ってほしい事!それはこの傭兵団に入った事で知りえた事を口外しないこと!!破ると問答無用でキーリに消されるからよろしくな!キーリよ、エリオ君ってかなり強いんだろ?もしもの時は大丈夫か?」


副団長は口元だけ緩ませて言い放つ

「ええ何も問題ないわ、いつでも始末できる、、、今すぐでもね」


今までなら副団長のこの圧力に気圧されていたが

今の俺は覚悟が違う


「ははっお手柔らかにお願いしますにょ」


、、、覚悟が違うつもりだったが

最後の所で声が震えておかしな発音をしてしまった


「はっはっは!!エリオ君も言うようになったな!!

2つ目は出奔禁止!

しゅっぽんってわかるかな?要するに脱走よ!

これをやるとキーリが探し出して内臓を引きずりだす!

絶対やめておいたほうがいい!まじで!」


覚悟が違う俺はそれを聞いても一切動じない


「心しておききます」

くそっまた噛んだ


「そして最後に!!」


ここ一番と団長の声に力が入る



俺は今度こそしっかりとした返答をしてやろうと身構える





「今日!!ベルがした説明!!あれはほとんど嘘だ!!ごめんよ!」





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