横行跋扈(おうこうばっこ)のチカチーロ
完全に油断していた俺は完全にベルにぶった切られたと思っていたが
ベルの剣は完全に俺の頭上で静止していた
正確にはベルの剣は
鉄のような物でできた棒状の先に棘の付いた鉄球が付いた物2つと
切り結ぶように静止していた
「どけぇ!バカエリ!」
叫び声をあげながら鋭い蹴りが脇腹を襲った
それを受けながら俺が思ったのはキーリさんの蹴りがどれだけ人間離れしているのかと言う事だった
それでも人並みに横に吹っ飛んだ俺はやっと状況を理解する
今ここに俺とベル以外にもう一人いる
ベルともう一人は切り結んだ状態から間合いをとった所で侵入してきた人がベルに話しかけた
「ハロー♪ベアトリーチェ、元気にしてたヾ(*・∀・)/」
「その名前で呼ぶな!今はベルナデッタ・アルドロヴァンディーニだ!
チカチー!そいつはフロメル傭兵団の一員だ!勝手に殺す事は許さない!」
チカチーと呼ばれた相手は褐色の肌に赤く長い髪を頭の左右で束ねていた
そして俺が居た世界で言う所のスポーツブラにスパッツのような恰好で棘の付いた鉄球が先についている棒を両手に一本ずつ持っている
「ええ!ちょっと待ってさっき入らないって言ったんだけど!?」
チカチーはにやりと笑って
ベルは歯ぎしりするように顔を歪ませた
「ハロー♪君はバカエリ君って言うのかな?私の名前はチカチーロ・ヴュイエルモーズ。チカチーって呼んでね(◍•ᴗ•◍)♡ ✧*。」
ベルのせいであだ名で覚えられてしまった
反論しようとするがその前にベルが口を挟む
「気安くバカエリに話しかけるなチカチー!そもそも何故今日ここにいる!」
「なんでって、、、つれないなぁ、暇だから遊びに来たって言うのに
ベアトリーチェったらひどくなーい。゜( ゜இ‸இ゜+)゜。」
ぶーっと頬を膨らませて息を吐きながら鉄球棒、、、これは中世で言う
モーニングスターと言う武器だろうか、をぶんぶんと手首の返しで振り回しながら文句を言うチカチー、だがふっと呼吸が変化したかと思うと
一直線にこちらに飛び込んできた
「あはっ!なんちゃって!バカエリ君は傭兵団じゃないんでしょ!じゃあ不審者で浮浪者で
この天幕に居るのはおかしいよねぇえええ?」
ベルがしまったと言う顔でこちらを見つめる
チカチーは凶暴な笑顔でこちらにモーニングスターを振りかぶって
飛び込んでくる
理由は分からないが部外者を排除するのがこの侵入者の目的らしい
それでベルは俺が傭兵団に入った事にしたのか
、、、腹が立つ
ベルの奴は俺の実力を舐めているのか?
つい昨日あんなふうにあしらってやったのに?
飛び込んで来るチカチーは獲物に
飛び掛かる野生の肉食動物さながらだった
常人ならなすすべもなく両手の
モーニングスターの餌食になっていただろう
だがそのチカチーの動きを俺の目は完全に捉えていた
ベルに吹っ飛ばされて膝立ちになっていた状態の俺は
大振りでこちらに向かってくるモーニングスターの柄と鉄球の間に
拳を打ち込みそれをへし折る
チカチーがそれに気付かずに柄だけになったモーニングスターを振り切りろうとしている内に
もう片方のモーニングスターも同じようにした
キーリさんのせいで少し自信を喪失していたが
やっぱり俺
相当強い
イタズラ心にチカチーの髪留めもぽいぽーいと二つとも外してベルの近くまで行き
彼女の髪形をツインテールに変えてやった
柄だけになったモーニングスターを振り切ったチカチーが笑顔で誰も居ない
場所に話しかける
「あはっ♪頭潰れちゃっ、、、てっ、あ、あれ?私の武器は?
あれぇ!髪留めもなくなってる(; ・`д・´)!?」
ばさっと広がって一束に収束していく赤髪はまるで血の滝のように
激しい色をしていた
「バカエリ!あんたは余計な事しないで
、、、ってあれ!?ツインテールになってる!?」
驚くベルの顔を見れて少し溜飲が落ちた
それにしても急に起こった出来事に数々の疑問が湧いてくる
「まあまあ、二人とも落ち着いて
ちなみの俺の名前はエリオな、来須エリオ、OK?
、、、とりあえずベル、彼女は何者なんだ?
後ベアトリーチェって、、、OKその事に関しては今は何も聞かない」
ベアトリーチェと言った瞬間に睨まれたのですぐにフォローしておいた
それは正解だったらしいツインテールにするといういたずらも
なかった事のように説明が始まった
「、、、彼女はアルメルの特攻隊長よ
通称傍若無人のチカチーロ
アルメル最凶の戦闘狂、、、
ルールも何も気にせずこうやって気が向くままに行動する
迷惑千万な問題児」
「(´;δ;`)」
「泣いたってダメ!、、、ともかくあんたはもう武器も壊れたし
さっさと自分の陣営に帰りなさいよ!」
「つれないなーベアトリーチェは、それにしてもエリオ君がやったの?これ?
あなたって、、、すごく強いのね(*˘︶˘*)
ねぇ!アルメルに来なよ!その方がきっと楽しいよ(ฅ^・ω・^ ฅ)!」
アルメルと言えば残虐非道でベル達の敵だ
そんな相手から今度はスカウトされた
だけど
「ごめん即答するけど入る気はない
それにフロメルに入る事も断ったし
傭兵になるつもりはないんだ」
悲しそうに涙目になるチカチー
面白くなさそうに彼女は応答しだす
「ええー!!いいじゃんいいじゃん!試しに入ってみたら!!
本当に本当に入る気ないのー!!?」
ベルの表情に焦りの色が現れた
だが俺はそれに気が付かない
「入らないと言ったら入らないよ
これはもう決めた事なんだ」
もう一度強く否定すると
チカチーは押し黙った
良く見ればまだ子供のような年齢だ
まあ俺もまだ17だけど
おそらく俺より若い
なんだか可哀相な事をしちゃったなと思う
天幕の沈黙を破ったのはベルだった
「バカエリ、悪い事は言わないからチカチーとは戦わないで
チカチーは、、、チカチーは、、、
あーもう!チカチーは!!本気で殺しに来るから!
あんたがいくら強くったってただじゃあ済まない
彼女の本当の力は、、、」
何度か言葉に詰まりながらベルは俺に戦うなと言ってくる
ベルの剣幕を見る限り冗談で言っているわけではなさそうだ
それよりも気になるのは本気で殺しに来るって言うセリフだ
それじゃあまるでまだ本気を出していないって言うのか?
「本気でって言ったってもう彼女の武器はないし
もしそうだとしても俺なら大丈夫だよ
見ただろ今の俺の動き?
それとも目で追う事もできなかった?
俺よりもベルの方が危ないんじゃないか?」
まったく本当にこいつは俺の事をどれだけ舐めているんだ
このままチカチーを圧倒してしっかりと俺の実力を教えてやらないといけない
そう思ってチカチーの方へ体を向けようとする
「あ、あれ?」
体がうまく動かない
というか全然力が入らない
なんとかチカチーの方へ向き直ると彼女はブツブツと何かを唱えていて
全身の肌からは紋様が浮かび上がり赤く発光していた
何かを唱え終わるとチカチーは俺の目を見つめてきて
天真爛漫にニカッと笑った
「あはっ♪エリオ君は呪術の事何も知らないみたいだね
それと私の武器がどうとかって言ってたけど、、、
それってこれの事かな∩( ✧Д✧)∩」
見ればただの棒になったモーニングスターの柄の先に電気の塊が丸く収まっている
バチッバチと破裂音が天幕内に響き渡る
そしてチカチーはそれを持ってこちらへ突進してきた
「ちょっちょっと待って、、、」
駄目だ声も満足に出ない
あれに当たったらちょっとやばそうだ
なのに足がまともに動かない
なんだよステータス65535じゃないのかよ!
もしかしてステータス異常にまるで耐性ないとか???
だとしたらやっぱりあの雷属性っぽいモーニングスターはちょっとどころではなく絶対に不味い
「アリーヴェ・デルチ♪エリオ君(つω`*)」
これまでかと思った時、俺の目の前にしなやかで張りのある
金髪が目の前で翻った
そして全身を発光させる
「うぁあああああああ!!!」
ベルの悲痛な叫びが天幕に響き、やがて止まった
ベル??
なんで?
どうして?
さっきまですぐそこに、、、
「あーー!!何やってんのベアトリーチェ!!
何てね♪
ライトニングスターはもう一つあるんだなこれがฅ(๑◕ω◕๑)ฅ」
チカチーは倒れたベルを一瞥すると
すぐさまこちらへ歩みよってきた
彼女がライトニングスターと呼んだ
電撃の塊は今度こそ俺に向かって振り下ろされた