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最強傭兵団でこの先生きのこるには  作者: 蛇色の海
フローデ・・・イタリア語で詐欺
20/27

王女専属使用人ソシェ

ソシェが馬鹿でかい銃をぶっ放したせいで

俺は65535ある素早さのギアを65000ぐらいまであげる必要があった

銃口の先にいるのは歯の抜けた中年の禿頭の髭モジャの男だった


こういう時ピンチになるのは美少女だったりするんじゃないのか?

なんだってあんなモブ禿歯抜け髭モジャ親父を助けなきゃならないんだ

頭ではそう考えながらも体はあいつを助けようと必死に動いている

まるでDNAに人助けをしなさいと組み込まれているかのようだ

ソシェの銃から放たれた銃弾は、まあ銃弾なのだからものすごい速度で禿親父に向かって飛んでいく

だがその銃弾に追いつかなければならない俺は

更に早い速度を出す必要があった


禿親父に向かっていく銃弾は9メートル、8メートルと徐々に距離を詰めていく

大して俺はその倍以上の距離が離れている

徐々に銃弾との距離は詰まっているがそれでもこのままでは禿親父の光り輝くその頭頂部に一筋の光が差すのは時間の問題だった

どうすればいいのかあれこれ考えているうちに銃弾はすでに禿親父の6~5メートル先まで来ていた

更に全力で地面を蹴り出してみるがそれでも間に合いそうにない


まあいいか禿が一人死んだって

アルメルとは関わりはあまり無い事だし

というか疲れた

俺一人張り切ってトマトでチョッキを作って結局それは没になって

まったくもってどうしょうもない

それにしてもあの禿親父どこかで見たことがあるような、、、

ああそうだこの間一緒にカードゲームをした親父だ

ちくしょうあの時の親父かよ!

あーもう本当に、、、

あんまりだなと思った

ほんの一瞬関わっただけなのに

あんなに小汚い鼻毛の出たおっさんなのに

それでもわざわざ死ぬことはないと思ってしまった


俺は汚い禿親父の為に歯を食いしばり足を踏み込む

だがそれだけではどうにもならないことはわかった

何かないかとあちらこちら体中を弄ってみる

そうすると二つの玉が見つかった

これをぶん投げればもしかしたらあの禿を救えるかもしれない

だがその為にせっかく授かったこの玉を使っていいのだろうか

悩んでいる暇はない

俺は露店からもらったビー玉を握りしめると全力の全力で

禿に向かって飛んでいく銃弾を狙って投げつけた


俺が投げたビー玉は空気を切り裂いて

そして銃弾を追い越して禿頭の額にめり込むように砕け散った

やばい

失敗した

そう思ったが禿げ頭はその衝撃で大きく仰け反り、そのおかげで鉛玉は

禿頭に当たらずに済んだ

まあ少しばかりビー玉がめり込んではいたがそれは良しとしよう

禿も許してくれるはずだ、多分


ソシェは勢いよく倒れる禿頭を見て

銃弾が命中したと思ったのか次の標的に狙いを定めた

ここで俺がソシェを妨害したらどうなる?

何か問題はあるか?

ジュリィ団長はもっと肩の力を抜けと言っていた

俺は考える事を辞めて先にソシェにタックルをかます

ずざざざと地面を滑って止まった所で俺はソシェに話かけた

「いやー危なかったね!後ろから敵が君を狙っていたんだ!

もう少しで頭がかち割られる所だったよ!」


「あ、ありがとうございます、あなたはたしかフロメルの突撃隊長、、、」


「よしここは危険だから急いで避難しよう!さあこっちだ!」


俺は口笛を吹いて自分が乗ってきた馬を呼ぶ

その合間にソシェは話しかけてきた

「隊長さん私なら大丈夫です、傭兵団のみなさんは私なんかに

かたぬきを教えてくれて、その上ぽっぽ焼きも分けてくれました

ぜひ私にも戦わせてください、、、あれ、あの赤髪のツインテールの女の子」


まずいソシェの目線がチカチーに向かっている

チカチーはベルが向かってくるのを見たからか

一目散に向かって行っていた

俺はその様子に気づかない振りをしてソシェのほほを両手で抑え込み

無理やりこちらを向かせる


「あの子ってどの子!君は王女殿下の使用人だろ?君に何かあったら

俺たちまで怒られるんだ、わかるよね?だからここはすぐにでも立ち去るべきなんだ」


「そうかもしれません、だけど私に何かあっても王女殿下は何とも思いませんわ

あれあの緑がかった肌をした大きな男の人、、、」


ソシェは俺の肩越しにユーリ団長に向かって大槌を振るジュリィ団長を見ていた

俺はソシェの腰を抱き、そのまま上体を逸らさせて上を向かせた


「緑色!?ピッコ〇かな!?

ああ、君たちにナ〇ック星の話をしてもわからないよね!」


「あの二人はフロメルの陣営地で見ました

まさか敵だったなんて、、、

あんなに親切にしてくれたのに、、、」


お?なんか反応が予想と違う?

彼女がフロメルの陣営地にいる=グルになっていると考えると思い込んでいた

ジュリィ団長に言われたことを思い出しながら呼吸を整える

柔軟に、肩の力を抜いて、、、そうして彼女に話しかける


「、、、あいつら!スパイだったんだ!アルメルの!俺たちの陣営地に忍びこんで情報を得ようとしていたのか!くそー!なんて奴らだ!君は顔を知っているのかい!何もされなかった!?」


「スパイ、、、アルメルの、、、」

いつも無表情だった彼女の瞳にじわっと涙が浮かぶ

もしかして、発言ミスった?

泣くほどショックなの、、、?何があったんだよ、、、?

俺がいない間にかたぬき屋で何が起こったんだよ!!

そんな事を考えていると今度はベルがこっちに突っ込んできた


「コラ―――エリオ!てめー私のいる前で何しとんじゃい!!」

ものすごい勢いで突っ込んでくるベル

だが彼女は何を言っているんだ?

何をしているってソシェの腰を抱いて上体を逸らさせて顔を近づけて

会話しているだけだけど、、、


「さっさとそいつから離れんかい!」

何を言っているんだ、ソシェから離れたら誰が彼女を守るんだ

それより不味いのはすぐ目の前にチカチーがベルを追ってやってきた事だ

ベルは俺たちの周りを馬に乗った状態で

ぐるぐる回りながらチカチーの相手もこなしていた

俺はまるで社交ダンスを踊るかのように

ソシェの視界にチカチーが入らないようにしていく

ここで余計な会話をされたら、、、いや待てよ

今まで俺の考えはどれもこれも見当違いだった

ここは裏の裏をかけばいいんじゃないか?

俺はソシェを抱っこした状態でチカチーの前に降り立った

そうしてチカチーとソシェは相対する形となる


「あれ!ソシェちゃん!?だめだよ危ないよ!

早く陣営地に戻ったほうがいいよー(≧ヘ≦)!」


「チカチーさん、、、どうして、、、?

あなたアルメルなの、、、?」


俺は必死でチカチーに目くばせをする

ぜ、った、い、アルメルだって、いうな、と言った表情をチカチーに向ける

「え?え、えーとえーと違うよチカチーはスパイなんだよ!」


「やっぱりスパイだったの、、、?せっかく仲良くなれると思ったのに、、、」


ソシェは目にいっぱい涙を溜めて今にも泣きだしそうだ

これはまたしても俺の采配ミスだろうか


「そうだよ!アルメルをスパイしているフロメルのスパイだよ!」


「え?それってつまり」


「ソシェちゃんの味方って事だよ!だからまた、かたぬきしよーよ!

チカチーとの約束だよo(*^▽^*)o!」


「チカチー、、、」


なんて感動的な場面だ

俺はこれで一件落着するという安堵から涙が流れそうだった


そして待望の一言が放たれる


「もうだめだ!お前ら引くぞ!退却退却ー!!」


絶妙なタイミングでジュリィ団長がアルメルに退却を指示してくれた

目を合わせるといいタイミングだろと言わんばかりの笑みを見せて

アルメルを引き連れて退却していった


「またねー、ソシェちゃん!チカチーはまたすぐ戻るよー!」

ばか、そんな大声で戻るとかいうスパイがいるかよっ

だがソシェはそんな細かい事は気にしてないようで優しい微笑みを浮かべていた


終わった

色々と予定外の出来事が多かったがそれでもこれで終わったのだ

完全に俺の仕事は終了した

まあ、王女と副団長がこちらへ向かってくる姿は見えるが

ユーリ団長が相手をしてくれるだろう


「待てよ!アルメル!今日こそ息の根を止めてやるよ!」


団長は退却するアルメルと一緒にアルトリゾネ方面に馬を駆けさせていった

まあいいさ、あの人はもう俺の手には負えない

じゃあベルだ、ベルがうまい具合に話をしてくれるだろう


「バカエリオ!私はもう帰るからね!あんたはそいつと一緒に楽しくかたぬきでもしてればいいんだボケ!」


なるほどベルも帰って行った


だがまあ問題はない、アルメルは追い返しました、王女殿下わざわざ来てくれて

ありがとう、これで終わりだ


「あの、ベルさんはなんであんなに怒っているんでしょうか?」


「さあね、かたぬきがうまくいかなかったんだんじゃないですか」


おっとソシェをいわゆるお姫様抱っこしたままだった

俺は彼女を降ろし

王女殿下と副団長の到着に備えてあっうんあっあっと咽喉の調子を整える


「ソシェ!あなたなんでこんなところに!」


「私は、お嬢様が迎賓館にいなかったから、、、

王女に何かあったらどうしようと思って、、、それで」


「ごめんね、ソシェ、ちょっと羽根を伸ばしたかったのよ

そして私の心配よりあなたよ!

戦場になんか出てきて、もしもあなたに何かあったらどうするの!?」


「お嬢様が私の心配を、、、?

ともかく昨日言ったじゃないですか、お嬢様よりも副団長が強いって、、、

お嬢様のプライドがずたずたになるまで完膚無きまでやられると思っていました

キーリ副団長、お嬢様の相手をしていただいて有難うございました

さぞ気を使われた事と思います」


「気なんて使ってないわ、レスビカはとても強かった

私が勝てたのはほんの少し彼女より長く生きていたおかげよ」


「お姉様、、、」


なんだか俺が入り込む余地はなさそうだ

このままフェードアウトしてしまおうか


「突撃隊長、、、エリオ君だったかしら?

傭兵団の戦い、見せてもらったわ

個の力もさることながら集団としての戦闘も見事ね

一人一人が各個撃破している中、あなた遊撃として敵を散らしていく

そして最後に伏兵として団長に、、、多分、騎兵長よね彼女?

二人の要を敢えて伏兵にする事で敵の意欲を削いで退却させる

中々できる事じゃあないわ」


王女の傭兵団の評価はかなり高かった

よかった、団長達が遅れてきた事もなぜかプラスに受け取ってもらった

チラッと顔あげてこちらを見るアルメルの死体役に指でまだ寝てろと合図する

あともう少しでこの緊張も終わる

最後まで気は抜けない


「今回の視察は本当にいいものだったわ

良い戦いも見れたし良い兵士にも会えた

あなた達が我が領土で戦ってくれる事を誇りに思うわ」


王女殿下はそういうとこちらに向かって右手を差し出した

俺はその手を受け取ってこういうんだ

こちらこそ王女殿下のような偉大な方とお会いできて感激で胸がいっぱいですと

そうしてこのイベントは終わりまたいつものだらけた傭兵生活へ戻る

王女が視察に来るまではこんな生活どうなんだろうと思っていたが

いざあの日々に戻れると思うと肩の荷が下りるようだ

俺は王女に向かって歩みを進め差し出された右手を握ろうと手を差し出す


俺はその際に足元にある石ころに気付かなかった

石ころにつまづいた俺は重心を支える手段を失い宙でばたばたと腕を振る

なんとか二つの大きな、柔かい隆起に捕まり事なきを得た

そうして俺は慌てて言おうとしていた言葉を口に出した


「王女の偉大な胸がおっぱいです!」


よし!終わった!これで明日からは平凡な毎日の繰り返しだ!

現実逃避は一瞬で終わりにして俺はすぐさま、胸から手を退けた

そうして再び体を支える事が出来なくなり王女のズボンに手をかけて

そのまま倒れ込んだ

倒れ込んだ衝撃で

勢いよく血のりを噴出させることができるトラットリア特製

血のりチョッキが誤作動を起こして地面にばしゃっと血のりが噴射された

こうして俺は王女のズボンをパンツごと地面に引きずり降ろし

他殺体のような恰好でうつ伏せになったのだった







真面目に考えたお話です

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