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シーサイド・フェスティバル  作者: 芳川見浪
第一章 激戦のフィリピン
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フィリピン決戦〜壱〜(山岡、香澄編)

クラーク国際空港より南方数百メートル、マニュエルAロハスハイウェイというこれまた長い名前の高速道路の側の斜面に身を隠している一団がいる。


エンジェル率いる混成部隊だ。


あれからケソンシティを探し回り、夕方頃にもう一つの小隊を見つけて合流する事ができた。


小隊名はブランゴ第一小隊、ブランゴセキュリティの小隊だそうだ。


現在時刻は二十一時、見とれてしまう程の満天の星空が綺麗だ。街の明かりが無いためだろう。


「空はあんなにも明るいのに地上は足元の石も見えないくらいの暗闇ですね」


「ああ、綺麗だな、星」


山岡と若宮は地面に大の字になって空を見上げていた。そんな彼らを傍らにいる他の部隊員達が物珍しげに眺めていた。


「随分余裕ですね、山岡さん、若宮さん」


「あっ、松尾さん」


視線を上にずらすと松尾の細長い体がこちらを見下ろしていた。エンジェルと同じく黒い強化スーツを着ているため、夜の暗闇にまぎれて見づらい。


「ああなるほど、そのスーツって夜間戦闘に重きを置いてるんですね」


「? いやまあ普通スーツはそういうものですよね、山岡さんも黒ですし」


「僕のはただ黒いだけですよ、デザインが普通のビジネススーツっぽいのも設計者の趣味です」


「俺もだ」


若宮は明らかに趣味である事がまるわかりである。銀色の騎士風の鎧なのだから。


まああれで実は最先端の技術が詰め込まれて普通の強化スーツの何倍もの性能があるというのが驚きだが。


「あ〜それで、もう時間ですか?」


「はい、各自持ち場に着くようにとのことです」


「ならば、行くか。山岡、俺達が最初に突入する部隊だ」


「わかってる、ていうか部隊って言っても僕達とエンジェルさんの三人だけじゃないか」


よっという掛け声を上げて飛び起き、「う〜ん」と伸びをするとボキボキとホントに骨が折れそうな音がした。


山岡は内ポケットから一枚の仮面を取り出して顔にあてる。カシュッと乾いた音をたてて頭部を覆った。


「それじゃいきますか」


――――――――――――――――――――


フィリピン上空、高度一万五千フィート


「あと十分で指定ポイントに到達します。各自降下準備に入って下さい」


莉子はモニターから聞こえる輸送機のオペレーターの声をBGMにしながらカドモスのコンディションチェックを行う。


バッテリー良し、パラシュート良し、各部損傷無し、弾薬良し、武装はアサルトライフルとスペツナズナイフ、そして大太刀。これはついさっきエッツェルに譲り受けたものだ。


「指定ポイントに到達、ハッチ開きます」


ガコンと一瞬揺れた直後、後方のハッチがゆっくり開いていく。


「それじゃお先にいただくぜ」


オープンにした通信機から他の戦車兵の意気揚々とした声が聞こえたと思ったら、カドモスの近くにいたM.Oが次々とハッチから飛び降りて行った。


大丈夫、降下訓練は学生時代に散々受けた。美海市を出るギリギリまでシミュレーションをやったのだ、絶対に大丈夫だ……大丈夫ですよね?


「えっと、カドモス出ます!」


ハッチまで直接歩かせ、淵のところで止まる。そのまま前のめりになるように体を傾かせてハッチから飛び降りた。


「ひ、ひぇぇぇあああああ!! やっぱり怖いですよぉ〜〜〜」


何を隠そう香澄莉子は高所恐怖症である。

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