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それからどした。

アドルフォさんとレオは、日本に来てから2週間で自国へともどっていきました。


どうも、今回は短期留学というよりお試し交流会みたいなものだったようで、お二人の他にも数名来ていたようです。

残念ながら高等部の方のみだったので、中等部(こちら)には、殆ど関わりがありませんでした。


そして、4月にアドルフォさんとレオは、改めて1年間の留学という形でやってくるそうです。


本当はレオはあまり乗り気ではなかったそうです。

まぁ、前世日本人ですからね。

ほとんど変わりないので、今更来ても新鮮味は皆無でしょうし、学ぶことも無いですよね〜。


歴史やコンビニなどのチェーン店も名前までほぼ同じ。

前世は地方都市住みだったのでここから遠いし、なんだか怖いからやってませんが、調べればもしかしたら『私』のお墓もあるかもしれませんね。


「まぁ、結愛もいるし、本当にゲームがスタートするのかも気になるからアドルフォに付き合うつもりだ。拒否権もほぼ無いしな」


アドルフォさんが本家でレオは分家の息子なので、幼馴染というか従者っぽい役割を求められていたみたいで、扱いは基本ワンセットだそうです。

まぁ、今では完全にお目付役で暴走するアドルフォさんのブレーキと化してるようですが。


「難しいと思うけど、一応『主人公』の存在も調べてみるが、まぁ、〈庶民の子供〉くらいで過去の記述は薄かったから難しいだろうな」

首を傾げながらも、やれそうなことはやってみる、と言ってました。

私としては、ここまで来たら、もう気にしてもしょうがないので放って置いていいと思うんですけどね。




あれから後も、何度かレオと会って話しているうちに微かに残っていた違和感も消えて行きました。

前世(まえ)の『敦史』のイメージと現世(いま)のレオが完全に重なったというか。


前世(まえ)に比べてレオは、冷静沈着で行動に移す前に深く考えるタイプの様です。

言葉も少なめで、普段は表情もあまり動きません。

考え方は、少し兄に似ている気がしました。


そんな風に無意識に比べているうちに、私が『結愛』である様に、彼も『レミジオ』なんだと心が納得したんでしょう。


多分、レオも同じ様な時間を経て、『結愛』という存在を受け入れてくれたんだと思います。

会うごとに、違和感が消えて行きましたから。



もちろん、毎回2人きりで会ってたわけではなく(誤魔化して抜け出すのも限界がありますので)、兄の元に遊びに来たアドルフォさんに巻き込まれて、4人で観光に出かけたりもしました。


メジャーな観光スポットから、ネットで見かけたと言うよく分からない場所まで、かなり色々連れまわされました。

まぁ、楽しかったのでいいのですが、いく先々で女の子をナンパしようとするのは如何なものかと。

そんなことしたいのなら、私を連れて行かないほうがいいと思うんですけど。


「下手に成功されても後々面倒だから」

とレオが呟いていたので、明らかに虫除けだったんでしょうね、私。

なんだか、複数の男の子に囲まれる図って複雑な感じなのですが。周りの女の子の視線がビシビシ刺さって痛かったですしね。

ワタシムカンケイデスよ〜〜。


「なんだか、アドルフォさんって『敦史』に似てるよね」

「やめろ」

そんな中、コッソリと耳打ちしたら、心の底から嫌そうな顔をされました。けど、似てると思うんですよね〜。

いつも笑顔の中心に居るところとか、女の子大好きなところとか。

嫌そうな顔しても、少し目が笑ってましたから、自覚はあるんでしょうね。

「あそこまで節操なしじゃなかった!」って力説してましたけど。






「寂しい?」

お休みの日だったので兄と共に見送りに来た私は、展望所から飛び去っていく飛行機をのんびり眺めていました。

振り返ると、隣に兄が並びます。


「いえ。プライベートジェットが飛び立つところって初めて見たなぁ〜〜って」

再び空に視線を戻せば、みるみる小さくなっていく機影がありました。

「……まぁ、今回は人数も多かったし、警備の関係を考えたら一機出した方が簡単だったみたいだよ?」

少し苦笑気味に教えてくれた兄に、改めて住む世界の違う人たちだったのだなぁ〜と思いました。


誘拐の危険が日常とか嫌過ぎます。

…………まぁ、営利関係なく攫われたことがある私が言うのもなんですが。

一緒に遊んでいる時も、隠れて護衛らしき人が付いて来てましたからね。

目立たない様にかちゃんと日系の人っぽかったですけど、あれって日本の警備会社の方なんでしょうか?

今度聞いてみましょう。


「来年にはまたいらっしゃいますし、寂しくないですよ?」

どちらかといえば、兄の方が寂しそうです。

なんだかんだと仲良くしていたようですから。


「その間は、私がいっぱい一緒にいますから、お兄ちゃんも寂しくないでしょ?」

にっこりと笑って見上げると、少し目が見開かれた後、クスクス笑い声が降って来ました。


「"その間"じゃなくて、ずっと一緒でいいんだけどね?」

肩を引き寄せられ、甘えるようにコツンと頭が寄せられます。

それがなんだかくすぐったく感じて、私もクスクス笑ってしまいました。


《ずっと》

簡単のように見えて、その約束が実は大変なのは、よく知っています。

だけど、それを望まれるのも望むことができるのも、とても幸せで。


私は、幸せな気持ちのままコクリと頷きました。


四月に、本当に『主人公』がやって来るのかは分かりません。

そこに波乱が生まれるのかも、不明です。

でも、そこに兄が巻き込まれるとしたら、きっと、私は全力で戦います。

だって、私の居場所はここ(・・)なのですから。





「もちろん。それが『結愛わたし』の幸せですから」









読んでくださり、ありがとうございました。



なんか、ここで終わりでも良いんじゃないかとチラリと思ったりもしたのですが………。

モヤっとします?

『乙女ゲーム編』すると、私の思考回路だとどうにも変な〈主人公〉しか、出てこないのですが。


あ、後、結愛ちゃんのお父さんの事を書くのも忘れてた!


って、訳でもう少し続きますm(__)m

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