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お出かけしましょ①

待ち合わせは3駅隣にあるショッピングモール。

お洋服や雑貨屋さん。本屋さんやCDショップ。さらには映画館からゲームセンターまで網羅されたここは近隣の若者の遊び場です。

目的がないならとりあえず行っとこう、な感じで、休みになれば人が集まるため、1人で歩いてれば知り合いの1人や2人はすれ違ったりするわけですが………。


「え〜〜、1人で暇なんでしょ?一緒に遊ぼうよ」

「待ち合わせ?じゃぁ、相手が来るまででもいいからさ」

お友達、というにはまだそれほど親しくないクラスメイトに囲まれてます。て、いうか、むしろ話したことほとんどないですよね、君たち。


困りました。

お断りしているのに、全然引いてくれません。

むしろ、なんか話しかけてるのとは別な人が電話でさらに人を呼んでるようなんですが。

ドウシテコウナッタ。


男の子だけじゃなく、女の子もいる混合グループなのがさらに断りにくくしている要因ではあるんですけどね。

「なんなら、ゆあちゃんも友達呼んで突発クラス会しようよ〜」

あ、陸斗君目当てですかそうですか。分かります。


うーん、みんなの勢いに視線が泳ぐなぁ。

基本人見知りなんですよ。

集団に囲まれて捲し立てられると、どうにも上手い対応が思い浮かばないというか。

助けて、ドラ○もーん。


「……………ゆあ?何してんの?」

突然、怪訝そうな声が響いて、反射的に振り返った先には、長身茶髪の男の子。おしゃれなサングラスが似合ってますね!

「優くん!お待たせしました!すみません。映画に遅れますね!サァ、行きましょう!!」


勢いのままに捲し立て、優くんの腕を掴みグイグイ引っ張ります。

「お………おう?じゃ、そういうわけでゴメンな?」

あっけにとられながらも、周りに集まってた子達に片手を上げて挨拶する優君を引きずるように角を曲がり、誰も追いかけてこないことを確認してから、ズルズルとその場に座り込みました。

よし、逃げ切った。


達成感から力が抜けて座り込んだ私に呆れながらも、

今度は優君が腕を引いて立たせてくれます。

「なんか状況はよく分からないけど、とりあえずもう少し移動しようぜ?本当に映画に行きたいわけじゃないんだろ?」

「あ、はい。巻き込んじゃってすみません。助かりました」

「うん、まぁ、それはいいから」

慌ててお礼を言えば、手を引かれて歩き出されました。適度な速度が合わせてくれてるんだなぁって感じです。

あんなガキ大将だったのが嘘みたいなエスコートっぷりですね。


そうして、近くにあったカフェの外からは見えにくい席に座ってひと息。

「つまり、知り合いに絡まれてた、っと」

「はぁ、絡まれてたというか………」

頼んだアイスティーを飲みながら歯切れ悪く答えると笑われました。


「まぁ、半端な知り合いって逆に対応しにくいよなぁ。てか、1人で出歩けるようになったんだな」

コーラを飲みつつ笑う笑顔が優しくて、嬉しい反面、なんだか申し訳なくなります。

優君も昔を知っているので、心配かけてたんでしょうね。

「おかげ様で。ただ滅多に1人で行動しないせいでこういう時の対処が下手くそで」

わざとおどけて肩をすくめて見せれば、屈託無い笑顔が返ってきます。


「美花のやつ呼び出せばよかったじゃん。あいつなら、喜んで付き合うだろ?」

「う〜ん、本当はこんなに早く着く予定じゃなかったんですよね。朝のワイドショーで新刊情報見ちゃって本屋さんに行きたくなっちゃって」

「で、速攻捕まった、と」

本当ならあと1時間は遅く来るはずで、それなら兄とほぼ同じ時間になるはずだったんですよね。

ただ、本屋に行くなら余裕が欲しいじゃないですか。


「そういえば、優君は何か用事があったんじゃないですか?」

「今、そこを聞くか?相変わらず、トロいなぁ」

ハッと気づいて慌てれば、ケラケラ笑われました。うぅ。

「すみません。頭真っ白な中優君がいたものでつい反射的に」

がっくり項垂れれば、慰めるように頭を撫でられました。


「冗談だよ。俺も暇つぶしだから、大丈夫。近くのスタジオでダンスレッスンあるんだけど、それこそ早く着いちゃってさ」

そういえば、芸能人してるんでしたね!


「それじゃぁ、サングラスも顔隠すため?今はかけてなくていいんですか?!」

「じゃぁ、の意味がよくわかんないけど、こんな駆け出しどころか走り出してもいないような奴の顔知ってるのなんて早々いないって。コレは単なるファッション!」

キョロキョロする私にデコピンが炸裂しました。

アゥ、地味に痛い〜〜。


「てわけで、時間的にも丁度良さそうだし、合流できるまで付き合ってやるよ」

額を押さえて悶絶していると、感謝しろと偉そうな声が降ってきました。


顔をあげれば行儀悪くストロー咥えて笑う優君。が、スマホ構えて写真撮ってました。

「美花に送っちゃおうぜ。悔しがるぞ?」

………笑顔が黒いです。

でも、多分後で報復されるの優君ですよ?

言いませんけど、ね!



読んでくださりありがとうございました。


ちなみに優君は現在別に好きな人がいます。

初恋(笑)は実らないものなんですよ〜。

今は純粋に友人として付き合ってます。

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