お出かけしましょ〜前夜〜
短いですm(_ _)m
「ゆあ、明日出かける約束、午後からにしても良い?」
夕飯の後、リビングでテレビを見ながらまったりしていたら兄がスマホ片手に困った顔でやって来ました。
「明日ですか?大丈夫ですけど」
もう直ぐお母さんの誕生日なのでプレゼントを買いに行く予定だったんです。
別段、急ぎでは無いので日にちを変更しても大丈夫なのですが。
「イタリアの姉妹校から交換留学生が来るんだけど、迎えにいく予定の奴が怪我しちゃって、代わりをして欲しいって連絡が来たんだよ。
どうも、うちのクラスで受け入れる生徒が修学旅行の交流会での相手だったみたいで」
兄の言う「修学旅行の交流会」は兄が中学の時のことです。
なんと、中学では修学旅行がイタリア・アメリカ・フランスの三箇所から選べるんです。さすが、セレブ!そこで、それぞれに提携してたり交流のある学校と「交流会」という名のパーティーがあるんです。
一応、会話が苦手な子の為に「パートナー」が決められるそうなので、その子の事なんでしょうね。
しかし、兄のいかにも「気が重い」と言わんばかりの表情は珍しいです。
苦手な相手だったんでしょうか?
私と違って外あたり良く誰とでもうちとける兄が「苦手」って?
どうも、心配そうな顔をしてたみたいで、兄が苦笑しました。
「あぁ、勘違いさせたかな?悪い奴じゃ無いんだよ。ただ、国民性の違いってやつか、どうも合わなくてね?」
頭をなでなでされてチョットホッコリしながらも内心首を傾げます。
国民性?
イタリア…………っていうと、陽気な愛の国って感じがしますね。
…………あ〜〜〜、確かに兄とはあわなさそうです。
良くも悪くも大らかに女性に愛を語る男性の横で、冷たい目のまま笑っている兄の顔が目に浮かびますね。
兄、モテモテなのに真面目ですし。
「急ぎでは無いですし、私の方は日を改めても大丈夫ですよ?」
「いや。1日付き合う義理もないし、空港で迎えたらすぐ戻ってくるよ。外で待ち合わせしよう?」
気の所為か「長時間付き合ってられるか」って副音声が…………。
うん。気の所為ですね。
まぁ、兄が大丈夫と言うなら、大丈夫なのでしょう。
「では、駅でいいですか?暇を潰しておくので、連絡ください」
駅ビルなら、いろんなお店があるし本屋さんもあるから暇つぶしには事欠かないですからね。
空港に迎えに行くなら、移動もその方が楽でしょうし。
「了解。そう、遅くはならないはずだから」
「お話し合い終わったなら、どっちからでもいいからお風呂はいっちゃいなさい」
兄が頷いたところで、キッチンからおばあちゃんの声が飛んで来ました。
「私、後がいいのでお先にどうぞ〜」
いってらっしゃいと手を振れば、軽く頭を撫でて兄がリビングを出て行きました。
「時間できたし、お洋服でも見てみようかな〜」
空いた時間の使い方を検討してたら、私の独り言が聞こえたらしく、お爺ちゃんから臨時収入ゲットしちゃいました。
遠慮しようとしたのですが、カウンター越しにお婆ちゃんが「貰ってあげて」と口パクしてたので、甘えることにします。
「お爺ちゃん、ありがとうございます」
お礼を言うと、笑顔が返ってきました。
とろけそうな笑顔です。
お爺ちゃんは孫バカなので私たちに甘々なのです。
たぶん、後で兄にもあげてるんだろうなぁ〜。
ありがとう、お爺ちゃん。大好きです!
読んでくださり、ありがとうございました。