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中学生になりました③

妬み・僻み・恨み。

買う気はなくてもいつの間にか買っているものなんだって言う事を、今世が幸せすぎていつの間にか忘れていました。

目立つ友人といればそれだけ自分も注目を浴びるものなんです。

そしてその注目が好意的なものだけと限らないのもお約束。


不慮の事故ではかなくなった前世。

散々それで苦労して対処法もしっかり身についていたはずなのに、順調で穏やかな日々にすっかり忘れてました。


いえ、一度は面倒に巻き込まれましたけどね?

小学生の良いところの子供の起こす面倒なんてかわいいもので・・・・まあ、解決するのに私の精神力はゴリゴリと削られましたけど。




「ちょっと、聞いてるの!?」

目の前で大音量で叫ばれて我に返ります。

ああ。あまりの事に現実逃避していました。

場所、人気のない裏庭。

校舎の壁を背に立つ私の前には同級生のお嬢さんが一人、二人…六人ほど立ちふさがっています。


さて、ここでおさらいです。

中等部になり生徒の人数が倍増しました。知らない子がいっぱいです。

中には、当然上流階級(笑)な方もいらっしゃいます。


そして、愛梨ちゃんも陸人君も洸夜君も、さらに言えば小等部から仲良くしている子たちのほとんどが良いところのお家の子たちなのです。

まあ、そういう学校ですからね。

伊達に授業費が高いわけではないんです。

最高の教育と共に最高のセキュリティーを売りにしているのです。つまり、誘拐対策で、我が家もここに魅かれて学校を選んだわけです。


そして、小等部はもろもろの狭き門を潜り抜けた「エリートの集まり」(家柄・頭脳・経済面とかですね)と目されている中で、生まれも育ちも庶民の私が混ざりこみ仲良くしているのは、中等部から入ってきたお嬢様方のプライドをビシバシと刺激してしまったようです。


「庶民のくせに、どんな汚い手を使って取り入ったのよ!」

「どうせ汚い手を使ったのでしょう?!陸人様たちは騙されているのよ!」

「まあ、なんてひどい!」


で、お約束のように呼び出されて取り囲まれているというわけです。

呼び出しに庶民も上流階級も関係ないみたいです。

呼び出しから言われることまでほぼ同じとか、なんだか懐かしささえ覚えますね。


え?同じ庶民の美花ちゃんはどうなんだって?

彼女は全国区で有名な空手少女ですから。

実力があれば変に絡まれることもないわけですよ。


一応、私も学力トップの看板は背負ってますけど、現時点で成績は公表されて無いですからね。

中間テストで発表があれば少しは落ち着く・・・・と、いいなあ。

まあ、家柄容姿とトップクラスの集団に私がいることが気に食わないだけですから、望みは薄そうですけど、ね。


とはいえ、友人関係を一方的に詰られて素直に頷くかと言えばそんなわけはないです。

友達の温かさを知ってしまった今、ボッチに戻るなんて出来ません。

ノーッボッチ、イエスットモダチ100人計画。




「無視するなんて何様のつもりよ!」

1人心の中でこぶしを振り上げていたら、どんっと肩に衝撃が走りました。

ぼうっとしていた為バランスを崩してよろけ、後ろの壁にぶつかってしまいました。

ううっ、地味に痛いです。


「ナ・・・・何よ、大げさね!」

思っていたより激しく私がよろけてしまったためか、若干声を上ずらせながらも突き飛ばしてきた子が「私は悪くない」アピールをしています。

まあ、確かに私がぼうっとしていたせいでもあるんですけどね。

そもそもあなたが突き飛ばさなければこんな事にはなっていないんじゃないかと思うんです。


そんな気持ちを込めてじっと見つめれば、お嬢さん方にますます動揺が広がります。

「何よ!その目。あなたが悪いんでしょう!!」

わ~~い、逆切れ発言、いただきました。

正面に立つ少女の手が振り上げられ、来たる衝撃に備えぎゅっと目を閉じました・・・・・が・・・・。




「何してるの、君たち?」

不機嫌そうな低い声に恐る恐る目を開けると、振り下ろされたであろう手を途中で捕まえている少年の姿。

「あ、陸人君」

よく知る横顔に思わずつぶやけば、不機嫌そうな表情のままに陸人君がこっちを振り向きました。

うわあ、怒ってますね。

普段穏やかに笑っている顔が表情を無くすだけでこんなに怖いとは知りませんでした。

「陸人君、じゃないよ。何してるの、こんな所で・・・」

「・・・・・・・え・・・っと、女子会?」


眉間のしわが怖いです。

思わずごまかすようにヘラりと笑って見せると、ますます眉間のしわが深くなりました。

「結愛、後でお話し合い、ね」

口元だけ、笑みの形になっての宣告に体がビキリと固まります。

それ、絶対楽しい会話とかじゃないですよね?

説教する気満々ですよね?


涙目になった私から私からいい笑顔のまま目をそらした陸人君は、くるりと女の子達の方に向き直りました。

ああ、皆さん顔色悪いですね。

分かります。怖いですよね。

なんか、魔王様降臨的な。笑顔なのに目が笑ってないとか、ダレトクなんですか?

あ、一部の方々には受けそう・・・。


おびえたようにじりじりと後ろに下がる女の子たちに陸人君が大きく息を吐きました。

背中から感じていたプレッシャーがすうっと薄れていきます。

「大体想像はつくから何をしていたか問い詰めることはしないよ。ただ、一つ、覚えているといい。結愛に危害を加えるのは、僕にケンカを売っているのと同じ事と捉えさせてもらう。その覚悟を持って今後の行動を決めるといい」


訂正します。

怒気もなく淡々とした言葉のほうがよっぽど怖かったです。

後ろで聞いてるだけでも泣きそうだったのに、正面から聞いてしまった彼女たち・・・・・・・。

青通り越して真っ白な顔色で座り込んでしまいました。


「さて、行こうか、結愛」

そんな彼女たちなどすでに眼中にない様子で、陸人君は私の手を取ると歩き出しました。

どこに向かっているのか、怖くて聞けません。

誰か助けてください!

愛梨ちゃん!美花ちゃん!助けて~~~~!!!




そんな心の声もむなしく、私はずるずると陸人君に引きずられていくのでした。

合掌。














読んで下さり、ありがとうございました。


なんだか陸人君が魔王化してます。

まあ、腹黒の片りんは前からありましたけど・・・・・あれ~~~?

次回は陸人君視点予定です。

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